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【マツダ3 総まとめ】欲しい!気になる!そんな方はぜひ。これまでの取材、試乗からまとめました。
Mazda3(マツダ3)の7モデルに試乗、総走行距離は5,000kmを超えました。そんな筆者が総力編集。細かすぎて伝わらなかったらごめんなさい!
これまでのマツダ3 試乗レポート記事
ファストバック
セダン
プロトタイプ(デビュー前の雪上取材会)
- Gベクタリングコントロール プラス
- i-ACTIV AWD
ファストバックとセダンの違い
マツダ3は5ドアハッチバックの「ファストバック」と4ドアセダンの2つのボディタイプをラインナップ。
ファストバック
セダン
ファストバックとセダンの顔付きの違い
ファストバックとセダンではフロントマスクを少し違うデザインに。「シグネチャーウイング」と名付けられているグリル下部から左右のヘッドライト下部へ1本のラインで伸びた装飾の色が異なり、ファストバックはブラック、セダンはクロームメッキ。グリルはメッシュタイプがファストバック、チェーンをきれいに並べたようなデザインがセダン。さらに、バンパー下部のデザインも異なっています。
ボディサイズ
ファストバックとセダンは全長以外、すべて同じサイズ。ファストバックよりセダンの方が20cm全長が長くなっています。
単位:mm | 全長 | 全幅 | 全高 | ホイールベース |
ファストバック | 4,460 | 1,795 | FF:1,440 AWD:1,445 | 2,725 |
セダン | 4,660 | 1,795 | FF:1,440 AWD:1,445 | 2,725 |
車両重量
車両重量はグレード毎に異なりますが、同一グレードで比較するとファストバックの方が10kg重くなっています。
単位:kg | 車両重量 |
ファストバック | 1,320〜1,520 |
セダン | 1,330〜1,520 |
ファストバックとセダンの価格の違い
マツダ3のファストバックとセダンは同じグレードであれば全く同じ新車車両価格が設定されています。(「バーガンディ セレクション」はファストバックのみの設定)新車車両価格は、約222万円から約394万円(100周年記念特別仕様車含む)。
居住性
スペック上の室内寸法はファストバック、セダン共通ですが、リアシート部分のボディ形状からセダンの方が後席の居住性は優位。ファストバックは頭周りが狭くやや閉塞感がありますが、そこはデザイン重視のマツダ3。欧州ハッチバックと並んでも胸が張れるファストバック。
エンジン
マツダ3のエンジンは4タイプ。ガソリンは1.5Lと2.0L、1.8Lディーゼルターボ、そしてもう一つが世界初の「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)」を実現した「SKYACTIV-X」。ファストバック、セダンの両方に4タイプのエンジンが同じグレード構成でラインナップされています。
最高出力・最大トルク
エンジン | SKYACTIV-X | SKYACTIV-G 2.0 | SKYACTIV-G 1.5 | SKYACTIV-D 1.8 |
排気量 | 2.0L | 2.0L | 1.5L | 1.8L |
過給器 | スーパーチャージャー | – | – | ターボ |
最高出力 | 132kW(180ps) /6,000rpm | 115kW(156ps) /6,000rpm | 82kW(111ps) /6,000rpm | 85kW(116ps) /4,000rpm |
最大トルク | 224N・m(22.8kgf·m) /3,000rpm | 199N・m(20.3kgf·m) /4,000rpm | 146N・m(14.9kgf·m) /3,500rpm | 270N・m(27.5kgf·m) /1,600- 2,600rpm |
モーター最高出力 | 4.8kW(6.5ps) /1,000rpm | – | – | – |
モーター最大トルク | 61N・m(6.2kgf·m) /100rpm | – | – | – |
燃料 | プレミアムガソリン | レギュラーガソリン | レギュラーガソリン | 軽油 |
SKYACTIV-Xは、マイルドハイブリッドで燃料がプレミアムガソリン仕様となっています。
SKYACTIV-X(スカイアクティブX)
スカイアクティブXの良さは、初めて乗った瞬間にそのすべてを感じることは難しいだろう、というのが筆者の正直な所感。しばらく乗り続けると、いいエンジンだなと感じます。
スカイアクティブX搭載車の試乗レポートはこちら。
SKYACTIV-G 2.0
スカイアクティブ2.0Lガソリンは今やマツダの定番エンジン。静かで扱いやすいエンジンで燃費も良好。
SKYACTIV-G 1.5
ロードスターと同じエンジン。チューニングはマツダ3用に変えてありますが、元気なエンジンで軽快な走りをみせます。回転を上げるとエンジン音が大きくなりますが、逆にそれが走りの楽しさに。
SKYACTIV-D 1.8
低中速域のトルクモリモリの力強いディーゼルエンジン。低回転では多少の振動、音が出ますが走り出してスピードが乗るとガソリンエンジン並の静粛性に。
トランスミッション
マツダ3は全車に6速ATを標準設定、ファストバックの1.5Lガソリンの2WDと、スカイアクティブXの2WDとAWDの両方に6速MTが設定されています。
6速AT
変速ショックが少なく扱いやすいAT。スカイアクティブXと2.0Lガソリンモデルには、パドルシフトとスポーツモードが付きます。
6速MT
「人馬一体」を提唱するマツダは、マニュアルトランスミッションに強いこだわりを持っています。マツダはOEM車を除くとCX-8以外のすべてのモデルに6速MTを設定しています。
ATとMTの価格差
普通はATとMTで新車車両価格に差が出ることが多いですがマツダ3は同じ価格で設定されています。ちなみに、マツダ6、ロードスター以外は同じようにAT/MT同価格設定となっています。
駆動方式
マツダ3は2WD(前輪駆動)とAWDの2タイプを全グレードに設定しています。
AWDは「i-ACTIV AWD(アイ・アクティブ)」と名付けられたマツダが開発した電子制御四輪駆動システムで、四輪駆動が必要ではない路面状況のときには燃費が良い2WD走行、後輪の駆動が必要となったとき、必要な力を後輪へ分配して4WD走行へ切り替えてくれます。この後輪への駆動力分配は、0:100から50:50の直結四輪駆動同等まで変化し、その変化を与えるための演算は1秒間に約200回行うものとなっています。
マツダ3に搭載される「i-ACTIV AWD」はバージョンアップされた新しいもので、マツダ3に初めて装備されました。その後、SUVのCXシリーズなど順次マツダのAWD車に装備されています。
AWDと相性がよかったディーゼル
i-ACTIV AWDが適切に後輪へ駆動力を伝えることで、コーナリングの安定性の向上、フィーリングの良さに繋がります。特に、低中速域でトルクが太いディーゼル車は、コーナリング中にアクセルを強く踏むとフロントタイヤが軽く空転するなどします。トラクションコントロールを備えているのですぐに制御が入りますが、ディーゼル特有のトルクパワーを使った加速とコーナリングは、AWDの方がフィーリングが上。AWDとディーゼルの相性は良いものでした。
2WDとAWDの価格差
マツダ3は全車、AWDは2WDの新車車両価格より、税込236,000円高い設定となっています。
四輪駆動モデルのみの装備
マツダ3の4WD車には、リアフォグランプ、フロントワイパーデアイサー、ヘッドランプウォッシャー、ヒーテッドドアミラー、大型ウォッシャータンク&ウォッシャー液残量警告灯が装備され、降雪地帯や悪天候の走行時に役立つ仕様となっています。
燃費
エンジンタイプが4種類、駆動方式とトランスミッションがそれぞれ2種類あるマツダ3ですが、カタログスペック上は総じて燃費に大差がありません。筆者の試乗時は、そのコースや混雑状況がバラバラですので、カタログ燃費と対比して比較するのは些か正確性に欠けますが、一般ユーザーのカーライフにおいてもこれは同じ状況でしょうから参考として「普段使い」、「遠出」というざっくりした分け方で実燃費を算出してみました。
単位:km/L | WLTC | 実燃費 | ||||
総合 | 市街地 | 郊外 | 高速道路 | 普段使い | 遠出 | |
SKYACTIV-X | 17 | 14 | 18 | 19 | 12 | 14 |
ガソリン2.0L | 16 | 12 | 16 | 18 | 10 | 13 |
ガソリン1.5L | 17 | 14 | 17 | 19 | 12 | 13 |
ディーゼル | 19 | 16 | 19 | 21 | 11 | 15 |
WLTCモード燃費は、エンジンタイプを主軸に複数あるトランスミッションと駆動方式をまとめた平均値で算出しました。トランスミッション、駆動方式の違いによる燃費の差は概ね1〜2割、顕著な差異はありません。
実燃費の「普段使い」は平均速度が20km/hぐらいになる都市部の走行から郊外市街地の一般道の走行、「遠出」は市街地を出て信号が少ない道路、山岳路と高速道路の走行という棲み分けにしてみました。それぞれの道路別走行割合は試乗車毎に大きく異るため、試乗中は随所随所の走行シーンで燃費表示を撮影、感覚的に按分して算出したものです。
数値には顕れない燃費
どのエンジンタイプも均してしまうと似たりよったりの燃費になりますが、走行シーンによっては平均値から大きく剥離します。これは、マツダ3のエンジンの特性というより、それぞれのエンジンタイプそのものの基本的特性が大きく影響します。次項で各エンジンの燃費特性をまとめます。
SKYACTIV-G 2.0
2.0Lガソリンはマツダ3の中で、言うなれば最も普通なエンジン。ベンチマークとなるエンジン、燃費特性も基準的にして以下を記述します。
SKYACTIV-G 1.5
1.5Lガソリンでは、エンジン回転数が上がらない市街地などの走行では違いがでませんが、山岳路や交通量の多い高速道路で加減速が頻繁に起こると燃費が悪化します。エンジンが非力な分、回転を上げた走行をする頻度が多くなり、消費燃料が増加します。
SKYACTIV-D 1.8
1.8Lディーゼルでは、高速道路の巡航では著しく燃費が向上します。空いている高速道路で23km/Lを示したこともありました。また、登り下りの多い山岳路では、ガソリンエンジンより燃費が良好となります。ディーゼルエンジンは最大トルクを低回転から中回転まで広い範囲で発生させるためですが、マツダのディーゼルはフラットなパワー特性がありますので、さらに顕著となります。
SKYACTIV-X
スカイアクティブXは、マイルドハイブリッドとスーパーチャージャーが組み合わせられていますので、市街地走行の燃費は良好。信号待ちが多くストップ&ゴーを繰り返す走りが長ければ長いほど、スカイアクティブXの燃費は有利に働きます。
乗り心地
この記事をお読みの方は、他のWEBサイトなどでマツダ3の試乗記で「リアサスペンションが固い」というインプレッションを見かけたことでしょう。たしかに、リアサスは固め、高速道路の継ぎ目、段差、踏切などは突き上げ感があります。しかし、そうでないところでは固くもなく柔らかくもなく、ナチュラル、ニュートラルな乗り心地。筆者の場合、リアサスの固さを感じる路面に何回も遭遇するうち、いつしか慣れてしまいましたし、道はそれほど悪くはないので致命的な乗り心地ではないでしょう。
ファストバックとセダンで少し異なる乗り心地
ファストバックとセダンのボディ形状の違いは、乗り心地の違いにも顕れています。セダンの方が構造的に後輪周りの剛性が強くなるため、乗り心地もおとなしく落ち着いたものとなります。全長がセダンの方が20cm長いことも影響していることでしょう。
シートのつくりが良い
マツダ3のシートも徹底的にこだわって開発されています。骨盤を立てて座るようにシートが設計され、人間がもともと持っているバランス保持能力を活かし、乗り心地の良さ、疲労軽減、快適性へ繋げています。詳しくはこのシートの開発者の取材レポートをご覧ください。
タイヤ・ホイール
ファストバック、セダンともにタイヤサイズは、215/45R18が標準(最安価グレードの「15S」および一部グレードにオプションで、205/60R16)となり、スカイアクティブXモデルがファストバック、セダンそれぞれ別のカラーのホイールが設定されています。
ファストバック スカイアクティブX
セダン スカイアクティブX
ガソリン・ディーゼル
最安価グレード「15S」を除くガソリン、ディーゼルはファストバック、セダンともにグレーメタリック。ホイールのデザインは、ファストバックとセダンで少し異なります。
タイヤとボディ全体のバランスでも比較してみてください。
ガソリン1.5Lと他のモデルとの違い
ファストバック/セダンのSKYACTIV-G 1.5 搭載モデル「15S」グレードのみ、ヘッドライトのつくりが少し異なります。「15S」以外の全グレードには、ヘッドライト内のポジションランプがシグネチャー付きLEDとなります。画像はファストバックのみで一部再掲となりますが、ヘッドライト周りに注目してご覧ください。
また、リアコンビネーションライト内も「15S」以外はLEDシグネチャーランプとなります。
スカイアクティブXの他との違い
エキゾーストパイプの径が太いのがスカイアクティブX。
リア右側のエンジンタイプを示すバッジも異なります。
ボディカラー
マツダは「匠塗」と呼ぶプレミアムな独自開発のボディカラーをラインナップ。2019年のマツダ3のデビュー時に、それまでの「マシーングレープレミアムメタリック」と「ソウルレッドクリスタルメタリック」の2色展開から新色「ポリメタルグレーメタリック」が追加されました。
“匠塗”3色の他、ベーシックな白、黒、シルバー、紺メタリック、チタニウムグレーメタリックの計8色のボディカラーをラインナップしています。
インテリア
目玉は、赤系と白系のレザー内装ですが、ファブリックもなかなかの質感。レザー内装はブラック/チャコールも含めた3つのカラー、ファブリックはブラックの1色のラインナップ。
バーガンディ セレクション
ファストバックだけに設定されるグレード「バーガンディ セレクション」はご覧の落ち着いた赤系レザーインテリア。ポリメタルグレーメタリックとバーガンディの組み合わせはファッション感度高い人によく選ばれているよう。
カタログ表記では「パーフォレーションレザー/レッド」の内装色となります。
ホワイトレザー
カタログ表記では「パーフォレーションレザー/ピュアホワイト」。セダンだけに設定されます。下の画像はセダン X。
撮影した試乗車は約1万キロほどを走行していますが、色移り、退色は目立っていませんでした。ど新車はもっと眩しい感じの白色に。
ブラックレザー
カタログ表記では「パーフォレーションレザー ブラック/チャコール」。ステッチがチャコール。下の画像はファストバック スカイアクティブX Lパッケージ。
ファブリック/ブラック
下の画像は、ファストバック 15S ツーリング。
オーディオ
マツダ3は音にこだわって開発を進めたとのこと。フロントのメインスピーカーは通常、ドア内側に取り付けられているものですが、そこでは音が悪くなるのでボディ側、足元近くに設置。標準オーディオでも容量の大きいスピーカーボックスを備えているなどのこだわりを見せています。
標準オーディオの音質はナチュラル志向。BOSEサウンドシステムは、BOSEらしいドンシャリ系。標準の方が格下という訳ではなく音の好みで選択したい。筆者の耳ベースですがクラシックやジャズなら標準オーディオの方がマッチ、ロックやポップス、EDMなどではBOSEの方がマッチ。標準オーディオのFMラジオから流れる音楽でも十分音質が高く驚き。
マツダ3のオーディオの音場設定は、「全席」か「運転席」かの2択という珍しい設定。個別にフェーダーとLRバランスを使って設定もできますが、リスニングポジション設定を一発で運転席にできるあたり、マツダらしいこだわりを感じます。音にも「人馬一体」を追求したとのこと。
グレード構成
多彩なラインナップのマツダ3ですが、グレード構成はシンプルで体系的なものになっています。ファストバック、セダンの両方に同じように4タイプのエンジン、2つの駆動方式、2つのトランスミッション(ここまでがパワートレインを軸としたグレード構成)、2つのインテリア材質がマトリックス状に構成されています。このうち、除外される組み合わせが、1.5Lガソリンに革内装がない、パワーシートが付かない、セダンに赤系革内装がない、パワートレインでは、2.0LガソリンとディーゼルにMTの設定がないこととなります。
どのグレードを選んだらよいのか、についてはこちらの記事でまとめてお伝えしています。あわせてご覧ください。
【マツダのディーゼル車一覧】燃費や価格まとめ
マツダ3公式サイトはこちら。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...