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車両総重量と車両重量・最大積載量との違いは?重量税はどれを見る?
目次
車両総重量と車両重量の違いは?
普段何気なく生活していると、あらゆる物に税金がかかってくることを忘れがちかもしれません。身近な消費税や所得税と同様に、車にも税金がかかってしまうんですよね。これを自動車税と言います。
その中でも「なんとなく」で済ませがちな「車両総重量」と「車両重量」の違いや重量税について解説していきます。
まず、両者の違いについて解説する前に、それぞれの定義について、正確に知っておきましょう。
車両重量の定義
車両重量とは、「燃料を満タンにした状態の車体本体の重量に加え、規定量のエンジンオイル・バッテリー・規定量の冷却水・スペヤタイヤ・車載工具(ジャッキなど)を含めた重量」のことを言います。
場合によってはスペヤタイヤ・車載工具を含まないこともあるようです。
車両総重量の定義
車両総重量とは、乗用車の場合、上述した車両重量に加え、車に最大乗車定員が乗った状態の総重量になります。商用車の場合は、さらに最大積載量の荷物を積んだ状態での総重量になります。
つまり、車両重量と異なり、「積めるだけ積んだ状態で、路面に掛かる総重量」という定義です。
車両総重量の計算方法
- 乗用車:車両重量+乗車定員数×55kg
- 商用車:車両重量+最大積載量+乗車定員数×55kg
※法規で乗車定員1人の重量は55kgと決まっています。
重量税は「車両総重量」と「車両重量」のどちらを見る?
自動車重量税は、車両重量にも、車両総重量にも課せられる国税の一種です。また、道路運送法において自動車は
- 自家用・・・業務用自動車以外の自動車
- 事業用・・・自動車運送業務に使用する自動車
の2種類に分けられ、それぞれ課税方法が異なります。
重量税の支払いタイミングについて
重量税は新車購入時と車検時に支払うものです。
新車購入時は次回車検までの3年間分、車検時は次回車検までの2年間分の税が課せられ、分割払いという考え方はありません。
乗用車は「車両重量」を見る
車両重量税は車検証(自動差検査証)の用途の欄が「乗用」となっている車両が対象になります。
乗用車は、ナンバープレート上部にある3桁の分類番号が、
- 3→普通乗用車
- 5→小型乗用車
となっているものが該当します。このナンバーの重量税は「車両重量」で計算されることになります。
3ナンバーと5ナンバーについて詳しく
「貨物」「乗合」「特殊」車両は「車両総重量」を見る
車両総重量税は車検証の用途の欄が「貨物」「乗合」「特殊」となっている車両が対象になります。ナンバープレートの分類番号が
- 1→貨物用途の普通自動車(トラックなど)
- 4→貨物用途の小型自動車(バンなど)
- 2→乗合自動車(バスなど)
- 8→特殊用途自動車(パトカー・キャンピングカーなど)
となっているものが該当します。キャンピングカーは例外ですが、営業目的で使用する車に対しての重量税は「車両総重量」で計算されます。
1・4・2・8ナンバーについて詳しく
車の重量税の基本と例外
基本的な考え方として、車両重量(乗用車)は0.5t、車両総重量(乗用車以外)は1tごとに課税されていきます。ただし、この考え方をベースにして様々な例外が存在します。
重量以外で計算方法が変わるケース
- エコカーで、且つエコカー減税の適用がない場合、自動車重量税法に基づく「本則税率」が適用される
→本則税率は、法的に定められたもので、乗用車は0.5t毎に年2,500円、乗用車以外は1t毎に2,500円とされています。
- エコカーで、且つエコカー減税が適用される場合、本則をベースに「全額免除・75%軽減・50%軽減・25%軽減」が、燃費基準達成率に応じて減税される
- 事業用の用途の場合、自家用の用途の場合よりも安くなる
- 車検時に登録から13年以上経過した車は、通常よりも重課され、18年以上経過するとさらに重課される
車両総重量に基づいた乗用車以外の重量税計算
車両総重量に課税される乗用車以外の場合・・・
3,300円/年をベースに、車両総重量が1t増える回数と、まとめて払う年数を乗算します。
※13年経過の場合は4,100円/年・18年経過の場合は4,400円/年
※2.5tを超えると計算基準が少し異なります
例えば、2年自家用(車検時)で、総重量が1tの場合(自家用トラックを想定)
3,300円/年+3,300円/年×1回×2年=13,200円
といった計算になります。
車両重量に基づいた乗用車の重量税計算
車両重量に課税される乗用車の場合・・・
4,100円/年をベースに、車両重量が0.5t増える回数と、まとめて払う年数を乗算します。
※13年経過の場合は5,700円/年・18年経過の場合は6,300円/年
例えば、3年自家用(新車購入時)で、重量が1,050kgの車であれば、
4,100円/年+4,100円/年×3×3年=36,900円
といった計算になります。この場合、50kg軽ければ、12,300円も安くなる計算になるので、重さはかなり重要となってくるのです。
軽自動車の重量税は例外?
ここまで軽自動車について触れてきませんでしたが、理由は軽自動車には例外的な計算方法が採用されているからです。
軽自動車の場合、重量税は重量に関係なく一定なのです。エコカー減税適用なしの場合は、3,300円/年となります。 適用ありの場合は、乗用と同様の計算になります。
トラックの車両重量&車両総重量と免許
免許別最大積載量と車両総重量一覧表
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員数 |
8トン限定中型免許 (H19年6月以前取得の普通免許) | 8トン未満 | 5トン未満 | 10人以下 |
準中型免許 | 7.5トン未満 | 4.5トン未満 | 10人以下 |
5トン限定準中型免許 (H29年3月以前取得の普通免許) | 5トン未満 | 3トン未満 | 10人以下 |
普通免許 (H29年3月以降取得) | 3.5トン未満 | 2トン未満 | 10人以下 |
トラックなどの貨物運搬の車には、車種ごとに貨物積載量の限度が定められています。この制限を「最大積載量」と呼びます。
車両総重量は「車両総重量=車両重量+乗車定員×55kg+最大積載量」の式で求められます。普通免許・準中型免許とも乗車定員は10人までですが、乗車人数が多い場合は自ずと貨物積載量が減ってしまうことに注意しましょう。
車両総重量と最大積載量の違いは?
車検証を見ると貨物車両の場合、最大積載量と車両総重量の記載があります。
- 最大積載量(荷台に積むことのできる荷物の最大重量)
- 車両総重量(車両本体と荷物等すべて合わせた時の最大重量)
つまり、最大積載量は以下で決まるということを覚えておくと簡単に理解できます。
車両総重量-車両本体の重量=最大積載量
そのため、一般的にはたくさんの金属を使うウィング車よりも平ボディー車の方が最大積載量は大きくなるのです。また、燃料タンクも2つよりは1つの方が、車両重量が軽くなるため、最大積載量は上がります。
車両総重量オーバーは違反!罰金と違反点数は?
最大積載量を上回る大量の荷物をトラックなどに積むことは、過積載(かせきさい)という違法行為にあたります。
公共の道路や橋は、使用目的によって強度などの基準が設けられ設計されています。しかし、積載量の基準を超えたトラックなどが通行すると、荷物が道路に散乱するリスクや、道路や橋が損傷し、事故が起こりやすくなるリスクがあります。
トラックなどの貨物車両が最大積載量を超えた状態を過積載と言います。この状態で走行すると、ブレーキの利きが悪くなり追突事故が起こりやすくなります。
当然、衝突時の衝撃も重量に比例して大きくなります。大きな事故の原因にもなり、バランスも悪くなるため、対向車線にはみ出したり、カーブで横転することも。このような事態を避けるために車両の最大積載量が決められているのです。
トラックの過積載の違反点数と反則金
過積載の割合が5割未満(中・大型トラック) | ||
違反点数 | 2点(酒気帯び14点) | |
反則金 | 3万円 | |
過積載の割合が5割以上10割未満(中・大型トラック) | ||
違反点数 | 3点(酒気帯び15点) | |
反則金 | 4万円 | |
過積載の割合が10割以上(中・大型トラック) | ||
違反点数 | 6点(酒気帯び16点) | |
反則金 | なし(罰則金のみ) | |
罰則 | 6月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
車両総重量や最大積載量は減らすことができる?
車両総重量を減らす
カスタムの際、オーディオ機器などを後付けすると車両総重量をオーバーしてしまうことがあります。この場合、カスタムした車両は車検を通りません。
しかし、シートを外して乗車定員を減らした改造を行った場合、本来の主要諸元上の車両総重量と差ができます。この部分をカスタムによる重量増に回すことができるというルールが存在するのです。
これは、あくまで乗車定員も含めた車の重さ=車両総重量であるという考えに基づいたものといえます。
最大積載量を減らす
最大積載量を減らし、運送できる荷物の量が減ることを減トンと言います。
減トンのメリットは「自動車税」と「自賠責保険」のコストを抑えることができることです。トラックの自動車税は最大積載量と比例関係になるので、減トンすることで自動車税が下がります。
減トンはどのように行われる?違法ではない?
架装によって車両重量が増加することで最大積載量が減トンされます。このような意図的な方法でも違法改造ではありません。ただし、構造変更手続きが必要であることは覚えておきましょう。
車両重量と車両総重量の違いを把握しておこう
車両重量と車両総重量の違いを把握しておくことは、税制の観点で非常に重要です。
自分の乗る車両の状態から、重量税を計算する便利なツールもありますので、自動車の購入時や車検時には重量税について念頭に置いておくようにしましょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...