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ランドローバー ディスカバリー スポーツ(ディーゼル)大改良2020年モデルに試乗!すみずみまで撮影
2019年11月29日から国内発売が開始された新型ランドローバー ディスカバリー スポーツ、2020年モデル。外装デザイン、インテリアが新しくなりました。見た目が変わったよりも大きなポイントは、フルモデルチェンジした新型イヴォークに採用されている新設計プラットフォームの導入です。これはもう実質フルモデルチェンジです。国土交通省の認可を受けて車検証に記載される型式も変わっていますので、フルモデルチェンジと言っても間違いではないでしょう。
それでは、ランドローバー ディスカバリー スポーツの試乗レポートをお届けします。
ディスカバリー スポーツに試乗したのは2020年3月上旬。記事を公開しようとしたところで新型コロナウィルス感染拡大が始まり、自粛要請が出ました。社内検討の結果、筆者の試乗記事は明らかにどこか遠くにドライブに出かけているので、公開を見合わせておりました。5月19日に県境をまたぐ移動の自粛の解禁となりましたので、このタイミングでの公開となりました。
目次
バランスよく、よく走る。ボディ剛性もいい。
まずは「ボディ剛性が良いと何が良いのか?」について、適切かどうか一抹の不安を抱きながらの例え話からお話しましょう。ご存知の方はどうぞお読み飛ばしくださいませ。
小さな子供になって考えてみましょう。ガタイがよく力持ちのお父さんの肩車と、細身で力のないお父さんの肩車、どちらが子供は楽しいでしょうか?
力のないお父さん、子供を肩に乗せるとその重みで姿勢がグラグラします。ちょっと走ろうとするなら子供は安定せず落ちそうになります。一方力持ちのお父さん、子供を肩に乗せてもビクともしません。肩車したまま走っても、肩に乗った子供は楽しくキャッキャ言っています。
ここで言うお父さんの安定した姿勢や動きは、車で言う「ボディ剛性」です。しっかりした頑丈な体格の車、その反対の車、どちらが走行が安定するか、ハンドリングが良いか、乗り心地が良いか、簡単におわかりいただけると思います。
例え話が長くなってしまいましたね。ディスカバリー スポーツは、ガタイのいいお父さんです。とてもしっかりしたアーキテクチャ(構造)で、乗り心地はよく、ハンドリングもよろしいおクルマでございます。
エンジンも良かったですね。試乗したディスカバリー スポーツは、最高出力180ps、最大トルク430N・mの直列4気筒ディーゼルターボで、ランドローバー イヴォーク、ジャガー XEなどにも採用されている「INGENIUM(インジニウム)D180」エンジンが搭載されています。パワフルなエンジンです。
このエンジンは素性が良く定評を得ています。良いエンジンに新設計のボディ剛性に優れたプラットフォームですから、悪くなるはずがありませんね。
以前、新型イヴォークのガソリンエンジン+マイルドハイブリッドで300馬力のモデルに試乗したことがありますが、乗り心地を比較するとディスカバリー スポーツの方がマイルド、快適性を重視した印象でした。
アウトドア「スポーツ」に最適な、と解釈したい。
「ディスカバリー スポーツ」という車名を聞くと、スポーツ走行に適しているようなクルマの印象を受ける方がいらっしゃるかも知れません。(こちらもご存知の方はお読み飛ばしください)
ディスカバリー スポーツはハイパワーエンジンを搭載し足回りを固めたようなスポーツSUVではありません。ランドローバーは「スポーツ」と名付けた由来を公表していないので、「アウトドア“スポーツ”に最適なディスカバリー」というのが筆者なりの独自の解釈です。
国産SUVに比べれば大きめのボディサイズにはなりますが、ランドローバーのラインナップでは小柄な部類で、山の中でも走りやすく、荷室空間も広く使いやすいアウトドアスポーツに最適な印象でした。
兄弟関係にあたるイヴォークは2列シート5人乗りですが、ディスカバリー スポーツは全長が27cm長くなって3列シート7人乗りがオプション設定されています(試乗車は3列シート車)。3列目シートは座面が床に近く、身長180cmの筆者が乗り込むには辛いスペースではありますが、いざというときのための3列目シートは何かとあると安心です。大人4人に子供2人の乗車のシチェーションが想定できる方にはもちろん。
こういったユーティリティの幅の広さも、アウトドアスポーツ寄りなパッケージングと言えるでしょう。
イヴォークがシティ派SUVに対して、ディスカバリー スポーツは、アウトドア派SUVといったところです。
高速道路ドライブも楽しく、オフロード走行もしっかり。
ランドローバーは四輪駆動車専門ブランド。その歴史は古く、歴代のレンジローバーやディスカバリーはオフロード性能は高く評価され続けていました。
ディスカバリー スポーツはランドローバーブランドではエントリークラスに属しますが、オフロード走行性能に抜かりはありません。かといって、高速道路が苦手といったこともありません。
トランスミッションは9速ATで、高速走行時のエンジン回転数が低く抑えられ、とても静か。もちろんAWD(四輪駆動)。パワーのあるディーゼルターボでぐいぐい加速しますので、高速道路での流入も楽ちん。高回転が苦手になるディーゼルでも、多段化されたATなら問題なし。トランスミッションとエンジンの相性も良し。
路面が荒れ、うねりや溝の深い山道を走りましたが、不安なく安定した走行が可能でした。サスペンションがよく動いて、セダンやステーションワゴンだったら通過できないような道もしれっと走ってくれました。
燃費
このクラスのクルマを買う人で燃費を気にして乗るということはあまりなさそうですが、一応ご報告。カタログスペックとあわせてお伝えします。
カタログ数値(km/L) | 実燃費 | |
WLTCモード | 12.0 | トータルすると9-10km/L。 |
市街地モード | 8.9 | 都心部では6km/L台のことも。都心以外の市街では7km/L台。 |
郊外モード | 12.2 | 山岳路で10km/Lを切ることがあったが、信号の少ない郊外では10km/Lを超える。 |
高速道路モード | 13.9 | 12-14km/L。渋滞にハマると10km/L程度に。 |
※実燃費は各WLTCモードに近いという条件にて記述。
軽油ですから、お財布にも優しめ。走りの良さがあってのこの燃費なら優秀です。
ディスカバリー スポーツは450万円から
試乗車は「R-DYNAMIC(Rダイナミック)」と名付けられた標準モデルとは差別化されたスポーティーな外装のタイプで、グレードは上級「SE」に約300万円ほどのオプションをてんこ盛りにして総額957.5万円也。(オプション等詳細は記事末尾に記載)メディアなどにに貸し出す広報車は基本、ハイグレードでオプションてんこ盛りなものです。
一方、ディスカバリー スポーツで最も安いエントリーモデルなら、ガソリンエンジンで450万円の価格設定。ディーゼルエンジンは60万円ちょっと高くなります。主な違いは、プレミアムな多機能LEDヘッドライトが普通のLEDヘッドライトに(ださくはない)、電動シートが付かない(ドライバーが複数となるファミリーユースなどでなければ無くても不自由しない)、シートはファブリック(試乗車は皮。別に皮シートでなくてもね。)ホイールが17インチになる(試乗車は19インチ。17インチでもみすぼらしくはない)といったところで、360°ビューのカメラやレザーステアリングホイールなど、だいたいのものは付いています。
グレード構成は標準モデルと「Rダイナミック」の2つのエクステリア違いの2タイプに、2つないし3つのグレードが設定されます。ガソリンエンジンはパワフルな200馬力と250馬力の2タイプの出力設定となっています。
詳しくは公式ページでご確認を。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...