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ボディ剛性とは?サスペンション性能や乗り心地にも影響

ボディ剛性とは? 走行に必要な車体強度

©Golf_MHNK/stock.adobe.com

ボディ剛性とは、車体骨格のたわみにくさ(=強度)のことです。あくまで走行に必要なボディ強度を指し、ボディ剛性の高さは衝突安全性や衝突事故時の潰れにくさとは比例しません。

ボディ剛性の高い車であるほど、サスペンションをしっかりと動かせるようになるため、乗り心地がよくなる傾向にあります。また、路面からの入力によりボディが歪みづらいため、直進安定性とステアリングの応答性が向上し、車をより正確に動かせるようになります。

しかし、ボディ剛性を高めるほど車重も増えてしまうため、燃費性能や運動性能の面では大きなデメリットにもなりえます。メーカーではボディ強度と軽量化を両立させるために、車の設計方法や使用する素材、接着方法などを見直し、改善しています。

ボディ剛性が高い車の特徴は?

車が歪まない

ボディ剛性が高いほどボディの歪みが少ないため、ボディの耐久性も高くなります。ボディ剛性が総じて低かった昔の車は、長く乗り続けるとボディが歪み、ドアの閉まりが悪くなったり、歪んだまま戻らなくなる事例がありました。ボディ剛性が向上した現在の車では、乗れなくなるほどボディが歪んでしまうケースは非常に稀です。

乗り心地がよい

同じ硬さのサスペンションを装着した場合、ボディ剛性の高い方がサスペンションの反発力によるボディの歪み量が少なくなるため、サスペンションは柔らかく感じられるようになります。つまり、ボディ剛性が高いほど乗り心地がよくなる傾向にあります。

車内が静か

ボディ剛性が高い車ほど、風切り音が少なく車内が静かです。これは、ボディの歪みが少ない(=ボディ剛性が高い)ほどドアとボディパネルの隙間を小さく作ることができるため、ボディ周辺を流れる空気の流れが乱れず、風切り音が小さくなるためです。

たくさん荷物を積んでも安心

たくさんの荷物を積むために広大なキャビンを備えるミニバンやワンボックスカーは、ボディ剛性を高めるには不利な形状です。しかし、ボディ剛性を高めることができれば、じゅうぶんな走行性能を確保することができ、さらにたくさんの人や荷物を運べるようになっています。

オフロード性能がよい

凹凸やアップダウンの多い不整地での走行は、ボディにも大きな力が加わるため、高いボディ剛性が必要です。オフロード専用車には、ラダーフレームという強靭なハシゴ型フレームが用いられ、ボディ剛性も高められている場合があります。そのシャシーですべての力を受け止めることで、高いオフロード性能を発揮します。

コーナリング性能がよい

ボディ剛性が高い車ほど、コーナリング時の姿勢変化を最小限に抑えることができます。また、コーナリング中に路面のギャップに乗り上げても、安定したコーナリングが維持できます。

タイヤグリップや直進安定性がよい

ボディ剛性が高いと、ボディの歪みによるタイヤ位置やホイールアライメントの変化が起きづらいため、タイヤがサスペンション設計どおりに接地してくれます。これにより、タイヤグリップを有効に使うことができ、トラクション性能や直進安定性の向上に作用します。

車の挙動が機敏になる

ボディ剛性を高め、これまでボディが歪むことによって逃げていた力のロスがなくなると、ステアリングレスポンスの向上し、操作に対してボディが即座に反応するようになります。ただし、ボディ剛性が高すぎると車の挙動が機敏になりすぎてしまう場合もあるため、意図的に部分的な剛性を落として調整している事例も存在します。

【車種別比較】ボディ剛性で車はどう変わる?

トヨタ ハイエース/日産 キャラバンを比較

Toyota_Hiace_CBF-TRH211K-KRTEK_front_side
トヨタ ハイエース 2013年
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日産 キャラバン 2017年

商用車として長年のライバル関係にあるトヨタ ハイエースと日産 キャラバン。しかし、その人気はトヨタ ハイエースが圧倒的にリード。決め手となっているのはボディ剛性です。

初代から4代目までの日産 キャラバンはトヨタ ハイエースに比べてボディ剛性が弱く、車体がねじれるような状態ではボディが歪み、スライドドアが機能しなくなってしまう致命的なウィークポイントがありました。

2012年にモデルチェンジした5代目日産 キャラバンはボディ剛性を飛躍的に向上させて登場。トヨタ ハイエースとの差を埋めることに成功しています。

トヨタ ヴィッツノーマル/トヨタ ヴィッツ GRMNを比較

トヨタ ヴィッツ 2017年
トヨタ ヴィッツ 2017年
Toyota_Vitz-grmn_DAA-NCP131_front_side
トヨタ ヴィッツGRMN 2018年

3代目となるトヨタ ヴィッツは、代を重ねるごとにボディ剛性が高められているものの、あくまで乗用車レベル。しかし、特別限定モデルであるトヨタ ヴィッツ GRMNは、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットの荒れた路面でも全開走行できるように、ボディ剛性が本格的に高められています。

トヨタ ヴィッツ GRMNはノーマルのヴィッツに比べて、ボディの溶接箇所を増やして、ボディ剛性を向上させています。さらにフロアとサスペンションアーム支持部をつなぐように補強が加えられており、ボディの歪みを抑えるとともに、強化サスペンションの性能を引き出すボディ補強がほどこされています。

乗用車とスポーツカーを比較

Toyota_86_DBA-ZN6_front_side
トヨタ 86 2017年

2ドアクーペボディを採用している多くのスポーツカーは、乗用車に比べてボディ剛性が高めです。これはスポーツ走行を前提としているため、高い速度域でも安定した姿勢を保つ必要があるため。また、スポーツカーはボディを補強するアフターパーツのラインナップが豊富なのも特徴。タワーバーやブレースバーなどの装着は、ボディ剛性アップやハンドリング調整に効果を発揮します。

ただし、安直に補強パーツを装着しただけでは、ボディ剛性の弱い箇所に応力が集中し、ボディのゆがみやひび割れなどのメーカーが想定しないトラブルの発生が懸念されます。ボディ補強パーツは、チューニングの度合いや必要に応じて取りつける調整パーツです。

ボディ剛性を高めるアフターパーツには、次のようなものがあります。

タワーバー

タワーバーとは、左右のサスペンションアッパーマウントを鋼管でつなぎ、エンジンルーム上部の開口部を補強し、横方向の曲げ剛性を高めてハンドリングの応答性を高める補強パーツです。

ブレースバー

ブレースバーとは車体下部やフェンダー内に取り付け、サスペンションアーム周辺とその取り付け強度を増すパーツ。面積の広い製品はねじり剛性も高めます。

ドアスタビライザー

ドアスタビライザーとは、本来はボディ剛性には影響のないドアと、ボディを密着させることで補強材として活用するためのパーツ。ドア開口部のたわみを抑え、曲げ剛性・ねじれ剛性ともに向上するアイデアフルなパーツです。

パフォーマンスダンパー

パフォーマンスダンパーは、たわみと復元を繰り返すボディのわずかなバネ成分を抑え、ボディのたわむスピードをコントロールするやや変則的な補強パーツです。ボディのフロントエンドやリアエンドなどに装着し、車の安定性を高めます。

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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