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ランサーエボリューション(ランエボ)とは?歴代車種や性能など解説!

ギャランVR-4後継のグループAマシン、「ランエボ」

市販車ベースのグループAマシンでWRCで勝利すべく、強力なグループAベースとなるエボリューションマシンを!というのが、ギャランVR-4後継を託されたランサーエボリューション本来の姿だった

もはや日産の事実上傘下で、SUVならともかく独自に日本国内向け小型セダンを作る余力などないのは誰にもわかっていて、しかしそれでも復活を今なお待望せざるをえない、究極の高性能4WDターボ・スポーツセダン、「ランサーエボリューション」。

ミドルクラスセダンのギャランVR-4から受け継いだ強力な4WDターボシステムを1クラス小さい小型セダンのランサーへ詰め込み、最初は苦戦して熟成にやや時間はかかったものの、インプレッサWRXという出自の似た「戦友」を得て、実力を高めました。

最初のエボI発売から31年、最後のエボXファイナルエディションの販売終了から7年を経てなお人気は高く、程度のいい中古車を安価で購入するのは至難の技でしょう。

急造ながら大人気となったエボI(1992年・CD9A)

今見ると、「なんかフツーの地味なセダン」にしか見えないが、当時はこれでド派手な高性能マシンだったエボI GSR

WRC(世界ラリー選手権)のメインカテゴリーが、高性能ではあるものの事故率が高くて危険とされたグループBから、最低生産台数が多い市販車ベースのグループAへと改定された1987年に発売された三菱 ギャランVR-4。

早速WRCへ投入され、幾度かの勝利を上げるも2リッターターボ4WDのグループAマシンとしては大きく重いギャランの戦闘力には限界があり、1992年には本来のミドルクラスセダンとして史上の要求に応えた大型化が必至でした。

そこでより小型のランサー(4代目・1991年発売)へとベース車を切り替え、ギャランVR-4の2リッターDOHCターボエンジン4G63とフルタイム4WDシステムを詰め込んだのが、最初のランサーエボリューション。

ハイパワーエンジンの高熱を逃がすボンネットのエアアウトレットや、リアスポイラーなど、改造範囲が狭いグループAのベース車として、市販状態で可能な限りのカスタマイズが施されたものの急造感は強く、1993~1994年の2シーズンで優勝はなりませんでした。

なお、エボII登場以降は「エボI」と呼ばれるようになり、ベースのランサーGSR(1.8リッターターボ+4WD)を「エボゼロ」と呼ぶ人もいます。

真のエボリューションモデル、エボII(1994年・CE9A)

このへんから見た目もエボリューションしてきたエボII GSR

WRCでの成績はやや不本意だったものの販売は好調で、早々にバージョンアップが可能となったのでエボIでのネガ潰しを徹底、ホイールベースやトレッドすら拡大して、標準のランサーとは全く異なる型式(CD5Aに対しCE9A)になるほど変わったのが、エボII。

1995年のスウェディッシュラリーで初勝利を上げ、「ランエボ」という方向性が間違いない事を証明しましたが、次第に標準型ランサーセダンとの差が広がっていき、ランサーの販売に役立つというより、ランエボ自体が販売の主力へ移る流れを決定づけたとも言えます。

冷却・空力性能リファインで派手なエボIII(1995年・CE9A)

バンパーやリアウイングもさることながら、ダンデライオンイエローがイメージカラーで派手さが極まったエボIII GSR

メカニズム的にはエボIIで完成の域に達していたため、大型バンパーによる冷却性能向上、大型リアウイングによる高速安定性向上など熟成を目的とした第1世代(4代目ランサーベース)最後のランエボ。

1996年のWRCでトミ・マキネンが初めてドライバーズチャンピオンを獲得し、国内モータースポーツでもラリーやダートトライアルといった悪路系競技だけではなく、ジムカーナのような舗装系競技でも十分な戦闘力を得て活躍が目立つようになりました。

280馬力自主規制値に到達したエボIV(1996年・CN9A)

新しいランエボはスッキリしたねぇ~なんて言ってられたのもこのモデルだけの話。エボIV GSR

第2世代(5代目ランサーベース)では初、そして5ナンバー枠では最後のランエボで、ついに当時の国内乗用車の自主規制値である最高出力280馬力に達しました。

そのほか、現在までの三菱車で競技車に限らず、電子制御4WDの要としてAWC(オールホイールコントロール)へ発展していくAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)が、一般向けのGSRへ初搭載(競技ベース車のRSには非搭載)。

「最後にして最強の5ナンバーランエボ」ということで、3ナンバーワイドボディには抵抗がある、あるいは駐車場へ物理的に止められない一般ユーザー向けにはGSRが根強い人気のあるモデルでした(小型軽量という意味で競技ユーザーが好んだのはエボIIIのRS)。

ワイドボディで舗装路性能を増したエボV(1998年・CP9A)

ワイドフェンダーの3ナンバーで筋骨隆々、遠くからでも「ランエボだ!」ってわかるようになってしまったエボV GSR

小型軽量・パワフルでグループAマシンとしては最強クラスの実力となった「ランエボ」ですが、パワフルで現実的な価格で購入可能な大衆車ベースの4WDターボなど日本以外ではほとんど作っていないという状況から、WRCでは新たに「WRカー」が導入されます。

これは最小生産台数や改造範囲がグループAより大幅に緩和されたものでしたが、市販者へのフィードバックへこだわる三菱ではグループAでの参戦継続を決断、ベース車よりワイドフェンダーでワイドトレッド化&タイヤサイズ拡大した3ナンバーボディとします。

これで舗装路でも1G旋回が可能と言われるほどコーナリング性能が向上、レースでも活躍できる実力を発揮して、市販車ベースの競技ではライバルのスバル インプレッサWRXへの差を次第に広げていきました。

しかし、ベース車からの相違点が増えすぎてもはや別車のようになり、結果的に技術のフィードバックという形でその後の市販車開発に好影響を与えたのは確かですが、ランエボそのもの以外の販売促進という意味では一層厳しくなっていきます。

一般ユーザーを意識し始めたエボVI(1999年・CP9A)

インタークーラーが冷えそうな機能重視と思いきや、ファッションで乗る人向けにソフト路線のサスセッティングだったエボVI GSR

WRC向けグループAマシンとして、さらに国内外の各種競技・レース向けベース車としてひたすら進化を続けてきたランエボの方向性に初めて若干の変化を魅せたのがエボVI。

エボIII同様に空力&冷却性能向上を目的としたフロントバンパーやリヤウイングの改善が行われる一方、スポーツ走行をせずに半ば以上ファッションでランエボへ乗るユーザーも無視できなくなり、一般向けのGSRではサスペンションセッティングがソフトになります。

競技ベースのRSは従来通りだったものの、GSRにはスポーツ走行から日常用途までランエボでこなすユーザーも多く、特に競技でもGSRに乗るユーザーからは不評でした。

しかし、進化を繰り返すほどベース車のランサーの存在が希薄(※)になっている状況では仕方がありません。

このあたりから「本来は市販車の販売促進が役割であるはずの、ランエボの存在意義」が、本格的にゆらぐものの、日産のスカイラインGT-RやホンダのタイプRと異なり、「今さらランエボをやめたところでランサーの販売が回復するのか?」という葛藤が始まります。

最後のグループAランサー、エボVI TME(2000年・CP9A)

こんなド派手なランエボに乗るやつがどこにいる!かと思うと結構いたもので、エボVI TMEはグループA時代のランエボにとって、いろんな意味で決定版だった

存在意義のあやふやさに悩み始めたランエボですが、一方でWRCでは1998年に初のマニュファクチャラーズ(メーカー)タイトルを獲得、1996~1999年にはトミ・マキネンが4年連続ドライバーズタイトルを獲得するなど、絶好調。

そこで半ば景気づけ的な意味合いもあったのか?2000年型のランエボはエボVIIとせず、トミ・マキネンの偉業を称えるエボVI TME(トミ・マキネン・エディション)として空力改善を狙ったフロントバンパー変更、ターボのレスポンスアップなど実用性能を向上。

さらにターマック(舗装路)ムキにローダウンサスペンション、オプションでTME専用のワークスマシン仕様スペシャルカラーリングも用意されました。

しかしそろそろグループAで戦い続けてきたランエボの戦闘力も限界に近く、特にリアのマルチリンクサスペンションは耐久性やメンテナンス性に問題があって、ついにこのエボVI TMEを最後にランエボはWRCから退場、WRカーのランサーWRCへ後を託します。

WRCのグループAラリーカー時代を終えたランサーだが…

グループAマシンとしての役割は終わったけど、それで終わりじゃユーザーが許さない…という意味では、BNR32スカイラインGT-Rと同じ末路をたどったと言えるかもしれない

第2世代(5代目ランサーベース)でWRC用グループAラリーマシンのベース車としての役割を終えたランエボですが、もうその頃には市販車に近いグループN、そして国内外のラリー、ダートトライアル、ジムカーナ、レースで、もう欠かせない存在になっていました。

特に国内最大のライバル、インプレッサWRXが2代目GDB以降は改造範囲の狭い規則での競技向けでは戦闘力を次第に失いつつあり、アマチュアユーザー向けの4WDターボマシンとしては一層存在感を増し、進化しない事が許されない状況に。

もはやランサーの販売促進を目的としたエボリューションモデルではなく、「ランサーエボリューションとして売りさばく」のを目的に、第3世代(6代目ランサーベース)以降は、一般ユーザー向けを視野に入れた独自の進化も遂げていく…という話は後編で!

次世代のランエボ!2023年モデルは電動化で歴代最速、次期WRX打倒を狙う

グループAマシンでなくとも引っ張りだこなランエボの後半生

新旧ランサーエボリューションと、右上はランエボならぬWRカーのランサーWRC

本来戦うべきだったWRC(世界ラリー選手権)はグループAマシン時代が終わり、少ない生産台数でも大幅な改造が認められたWRカー時代へ突入、ランサーWRCもランエボではなくランサーをベースにしたもので…あれっそれじゃランエボもういらないのでは?

ところがドッコイ、もはやWRC以外の各種モータースポーツで欠かせない存在、中古車も新車も引っ張りだこな一方、ライバルがだんだんショボくなってきたランエボ需要は衰えず、悲しいことにやめたところでベースのランサーが売れるわけでもありません。

競技ベースだけでなく、単純に「高性能スポーツセダン」としても…なんならスポーツワゴンとしても期待されるようになり、オートマでも乗れなきゃ!と際限なく広がりそうなランサーエボリューションの歴史はどう終わるのか?

サクっと紹介ランサーエボリューション、後編です。

WRCと分離した「お買い得仕様」エボVII(2001年・CT9A)

性能アップでお買い得、中古車価格もVIIIやIXより比較的手頃なランサーエボリューションVII GSR

ランサーWRCは普通のランサーセディア(6代目ランサー)がベースとなり、役目を終えたかに見えるランエボですが、既にモータースポーツに関係あろうとなかろうと「ランエボを買いたいユーザー」は列をなしてます。

おまけにベースのランサーセディアは元から地味なうえにセダン需要激減、三菱もリコール隠しだのいろいろ見つかって怒られ、イメージダウンで販売激減、もはやランエボを売るしかありませんし、お詫びのつもりかバーゲンプライスのエボVIIはこうして継続しました。

今度は取ってつけたワイドフェンダーではなく自然に3ナンバーですからファミリーセダンとしても違和感ありませんし、機能的にもインプレッサについてて羨ましかった、サイドブレーキ引けば後輪の駆動が解除されるACD(アクティブセンターデフ)もついてます。

車名も先代までは「ランサーのRS(競技向け)かGSR(一般向け)のエボリューション」だったのが、「ランサーエボリューションのRSかGSR」になりましたし、もうランサーセディアよりランサーエボリューションを売る気マンマンです。

価格もエボVI TMEがRSで259.8万円、GSRで327.8〜329.8万円だったのに、新しくて高性能になったエボVIIはRSで251.8万円!GSRなんか299.8万円!しかも今なら…と、オマケまでついてきそうなお買い得っぷりでした。

ベース車が少し大きく重くなったんで心配された戦闘力も問題なく「最新が最強」で、中古車価格も含め歴代ランエボでもっともオトクだと思います。

地味でATがいいお客様〜!エボVII GT-A(2002年・CT9A)

「エボに見えないよう努力したランエボ」感が漂うエボVII GT-A

さらにエボVIIは競技ユーザーのみならず、高性能ファミリーセダン、それもAT限定免許しか持っていなかったり、パートナーやお子さんがそうだったりするユーザーにもしっかり売り込むべく、シーケンシャルモードつき電子制御5速AT「INVECS-II」仕様のGT-Aも追加!

「あらやだわ、ボンネットに穴なんて開いてたら雨漏りしてエンジン壊れるんじゃない?トランクの空飛びそうな羽根も下品だし、これでスーパーへ買い物なんか行けないわ…」というユーザーも安心すべく、ボンネット穴もウイングもない仕様を準備!

競技の世界でもジムカーナのATクラスでは最強でしたし、ファミリーセダンとしても…実はそんなに売れなかったらしいのですが、ともかく「これからのランエボはフツーの人にも売ります!」と高らかに宣言したのがGT-Aでした。

富士山グリルは横から見ればイケるエボVIII(2003年・CT9A)

ブーレイ顔をランエボに持ち込まなくても…と嘆かれたエボVIII RS

もちろんWRCでグループAがどうとかいう話がなくとも、「最強のランエボは最新のランエボ」ですから、本来の高性能マシンとしての性能アップも怠りなく、VIIの翌年にはエボVIIIがしっかり登場しました。

今度は6速MTやガソリンタンク容量拡大、電子制御デフのAYCもトルク容量を拡大したスーパーAYCへと更新。

オリビエ・ブーレイという雇われデザイナーが三菱車へ採用した富士山グリル(ブーレイ顔)はエボVIIIでもカッコ悪いと不評なうえ、冷却性能も空力性能も落ちたぞ!と怒られますが、なんだかんだでシーズンが始まると競技会場には最新のエボVIIIが並びました。

伝統の「三菱レーシング」、エボVIII MR(2004年・CT9A)

軽量化など「MR」にふさわしい内容だったエボVIII MR GSR

エボVIIIからは小刻みなマイナーチェンジ程度だとバージョン数を変えなくなり、代わりに三菱レーシングの略である「MR」をつけるようになりました。

とはいえ変わらないのは富士山グリルを含む基本的な外観のみで、ルーフやドア内部のサイドインパクトバーをアルミ化して、重心から遠い位置の軽量化に着手、エンジンやタービンも高回転向きのブン回して速いセッティングへ変更するなど、戦闘力は着実にアップ。

ただのマイナーチェンジと思うべからずで、標準とMRなら確実にMRの方がイイ!と言えるだけの改良が施されています。

伝家の宝刀4G63をMIVEC化したエボIX(2005年・GT9A)

RS以上GSR未満グレードの設定が新鮮だった、エボIX GT

いよいよ第3世代(6代目ランサーベース)最後となるエボIXでは、伝家の宝刀4G63ターボがついに可変バルブ機構のMIVECを搭載!

スペック的にはエボVIII MRと決定的な違いがないようにも思えますが、最大トルク発生回転数が500rpmも下がって3,000回転からですし、RSはタービン羽根もマグネシウム製になってレスポンスアップ(※)、下からモリモリ来て上まで気持ちよく吹け上がります。

(※ただし耐久性が低くて割れやすく、対策品は結局従来のアルミ製)

さらに、装備の一部をGSRより簡素化して一部はRS仕様、RS以上GSR未満の価格でお買い得グレードともRSの快適仕様とも受け取れる新グレード「GT」を設定、よりキメ細かいユーザーの要望に応えるラインアップとなりました。

そして何より不評だったブーレイ顔は廃止され、VIIのアッサリ顔ともまた異なる精悍でスポーティなルックスと、空力&冷却性能を取り戻しています。

最強の高速ツアラー、エボワゴン(2005年・CT9W)

確かにセダンよりワゴンの方が需要はあったらしいエボワゴン GT

エボVII GT-Aの販売が芳しくなかったのは「ファミリーセダンだともしかして需要ない?」と考えたからなのか、エボIXで再チャレンジされた一般向け仕様はランエボ初のステーションワゴン

ベースは標準のランサーワゴンではなく、エボIVのボディ後半をワゴン仕様に仕立て直しており、走行性能は重量増加分を差し引くとはいえエボIXとほぼ同格。

長いルーフでダウンフォースが増しているのを考えれば、高速道路などでの安定性はむしろ増しているだろう、というわけでスーパー耐久レースにも参戦し、加速性能こそセダン版に劣るものの、最高速やコーナリング能力では互角以上とされました。

6速MTの「GT」と5速ATの「GT-A」が設定され、荷物満載で家族旅行でも仕事でも便利な高速ツアラーとして、エボVII GT-Aより好評だったらしく、次のエボIX MRにもワゴンは設定されています。

最後じゃないけど最強?!エボIX MR/エボワゴンMR(2006年・CT9A/CT9W)

最強のランサーエボリューション、エボIX MR

ベースのランサーセディアはまだ継続販売していましたが、セダンの販売不振により2007年にはランサーとギャランを統合、両者の中間的な車種を「ギャランフォルティス」(海外名はランサーなどまた別)として販売が決定。

ランエボもその新型をベースにするため、第3世代ランエボもついに優秀の美を飾ることとなり、エボIX MRがセダン、ワゴンともに発売されました。

これまで、なんだかんだでランサーとともに歩んできた「ランサーエボリューション」の集大成とすべく、エンジンやタービン、サスペンション、ACD、AYCといった細かい部分のセッティングや制御を改めてエボIXのネガを可能な限り潰した決定版。

次のエボXが新型エンジンを積んでパワフルになったとはいえ、大きく重くなったネガの方が大きく、競技によっては最低重量を50kgオマケしてもらう「特例」までつくほどでしたから、ハンデなしではこのエボIX MRが、「最後じゃないけど、最強のエボ」です。

最強かつ高年式ということで中古車相場も高く、今後も最強のランエボという事で、競技からストリート、あるいはコレクター向け投資物件として、価値が大きく下がることはないでしょう。

最後は豪華高級路線も…エボX(2007年・CZ4A)

カタログモデル化でいつでも買えて、豪華内装の「GSRプレミアム」も追加された最後のランエボ、エボXファイナルエディション

日本名「ギャランフォルティス」をベースとしながら「ギャランエボ」を名乗るでもなく、特例でランエボを名乗り続けた最後のランエボ。

エンジンは伝家の宝刀4G63からついに最新の4B11・2リッターDOHC MIVECターボとなり、エンジンスペック上は歴代最強ながら、大きく重いボディで競技用最強マシンというよりは、ライバルのスバルWRX S4同様、ラグジュアリーGT的な性格も与えられました。

MTも5速だけとなり、6速はGSR/GSRプレミアム向けのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)、「SST」のみとなっており、モデルチェンジでMTの変速段数が減るという珍しい例。

競技ベース車の「RS」も設定されていますが、ジムカーナやダートトライアルではエボIX MRなどの第3世代CT9A系を完全に置き換えるに至らず、GRヤリスの登場でむしろ短命に終わりそうですが、高性能ラグジュアリーセダンとしての価値は今後も高そうです。

2015年4月には歴代最強の313馬力へパワーアップしたほか、装備も充実した「ファイナルエディション」の予約を開始、そのデリバリーを終えるとともに、ランサーエボリューションの歴史も閉じました。

新たなランエボはありえるか?

グッバイ、ランサーエボリューション

エボXの販売終了後も、往年のスポーツブランド、「ラリーアート」復活(2021年)など、コトあるたびに「それでランエボの復活はどうなるんですか?」と聞かれては困ってしまう三菱ですが、実際問題としてベース車がありません。

今の三菱はSUVと軽自動車のメーカーになっていますし、事実上の親会社である日産にも国内販売しているセダンはないくらいで、三菱で可能性があるとすれば、台湾で生産・販売中の「グランドランサー」くらいです。

それをベースに…というより、トライトンやアウトランダーなどで人気のSUVを盛り上げる方が今の三菱には必要ですし、遠い将来、EV(電気自動車)でベースになりそうなクルマが出てきたら、「往年の名車復活」があるかも…くらいでしょうか。

それだけに今ランエボを持っている人はバージョンに関わらず大切にした方がいいですし、競技で使うにしてもナンバーつきから改造車、もっと改造範囲の広いジャンルまで使い倒せるクルマですから、やはりできる限り走り続けてほしいものです。

そしてこれからランエボが欲しいという方も、こんなクルマが純エンジン車で発売されることはもうないでしょうから、多少高くともスーパーカーを買うより実用的でマシだと思い、買えるうちに乗っておくのをオススメします。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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