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「マツダ車のよいところをかき集めた」ほぼ全てが新開発…初代アテンザの凄さとは【推し車】

再興したマツダの新たなフラッグシップ

経営危機を脱した新時代マツダを象徴する初代アテンザのうち、マツダミュージアムに展示してあるのは5ドアのアテンザスポーツ

1990年代、夢にあふれた5チャンネル販売体制はバブルとともに崩壊、深刻な経営危機に見舞われ、フォード傘下で経営再建に努めたマツダは、暗い暗黒時代を過ごしました。

しかし、初代デミオやボンゴフレンディのヒット、ロードスターやRX-7といったスポーツカーの魂を守り続けた執念も実り、2000年代に入った頃にはどうにか存続できるほどに回復、イメージチェンジのため、モデルチェンジを機に主力車種も改名します。

2002年に誕生した初代アテンザもその1台で、直接的にはカペラ後継、さらに2000年に生産を終えた大型のセンティア後継も兼ねた、新時代のフラッグシップセダンです。

4ドアセダンや5ドアステーションワゴンも設定されましたが、主力となったのは5ドアハッチバックセダンの「アテンザスポーツ」で、一見トランクが短いノッチバックセダン風のため、現在の高級輸入セダンに多い、テールゲートつき4ドアクーペの一種とも言えました。

この5ドア版アテンザスポーツは、新時代のマツダを象徴する1台として現在もマツダミュージアムに展示されています。

最新「アテンザスポーツ」中古車情報
本日の在庫数 25台
平均価格 65万円
支払総額 35~128万円

ラージ~ミディアムクラスを統合した、新時代のFFセダン

今見るとアッサリしていて質感もそれなりなインテリアだが、コストダウンのひどかった時代に比べて立ち直りを感じさせた

マツダのフラッグシップモデルといえば、古くはルーチェやロードペーサーといった、ロータリーエンジンも搭載したモデル、そしてルーチェ後継でバブル時代に発売されたセンティアと、姉妹車のアンフィニMS-9がありました。

それらはトヨタや日産に対抗するFRの大型高級セダンとして、小規模ながらもフルラインアップメーカーだったマツダを象徴するフラッグシップモデルで、レースにこそ出場したなかったものの、同じ立場だった三菱のデボネアよりは人気があって、恵まれた存在です。

ただし、1990年代に深刻な経営危機に陥り、規模を縮小して車種整理中のマツダが、派生車種もロクに作れない豪勢で贅沢なFRプラットフォームを存続できるわけもなく、2000年のセンティア廃止で初代ルーチェ以来の伝統は終了。

フラッグシップは1993年にユーノス800として発売後、改名して販売継続していたFF大型セダンのミレーニアに移っていましたが、さすがに2000年代には古さを隠せません。

さらに、バブル崩壊とともに経営危機と戦犯扱いされた「クロノスの悲劇」を経て、負のイメージまで受け継がないよう車名復活したカペラ(7代目・1997年)のモデルチェンジも必要とされていました。

そこで、新たに開発されるFFのミドルクラスセダンがセンティア/ミレーニア/カペラの統合された後継車となり、2002年に発売されたのが「アテンザ」、現在は3代目が「MAZDA6」へと改名された、新時代のフラッグシップモデルです。

Zoom-Zoom(ズーム・ズーム)イメージの第1号

1990年代の暗黒時代を経ても失われなかった、マツダ車のよいところをかき集めたように思えるデザイン

新たなフラッグシップ、アテンザ以外に、ファミリアもアクセラ(初代2003年)へ改名されるなど、イメージチェンジにこだわった当時のマツダですが、特にアテンザは当時のCMでもおなじみとなったブランドメッセージ、「Zoom-Zoom」と共に生まれました。

「Zoom-Zoom」とは英語圏で「ブーブー」、つまり子ども言葉での自動車そのものを表し、「子どもの時に感じた、動くことへの感動 」を、走る歓びにあふれたクルマづくりを通し、そのピュアな気持ちを世界中で共有していきたい、というマツダの願いです。

それだけに、ボルト&ナットを除く全てが新開発と言われる全面新設計、それも国内向けは不評だったフォードのV6エンジンを載せないというこだわりよう(意外な重要部品であるボルト&ナットも新設計だったのでは?と筆者は考えています)。

ミレーニアはともかく、どことなく野暮ったくてスタイリッシュにはほど遠く感じたセンティアやカペラの最終モデルとは一変、スポーティになったアテンザからは、「バブル時代を反省したマツダが、心機一転して出直した」という気持ちが強く伝わりました。

主力は5ドアのアテンザスポーツ

こうして真横から見ると、独立トランクにしてはテールが短く、リアウィンドウごと開くハッチバックセダンとわかる

現在マツダミュージアムに展示されている初代アテンザは、5ドアの「アテンザスポーツ」で、発売当時にはまだワゴンブームの余韻もあった「アテンザスポーツワゴン」と並ぶ、主力モデルでした。

真横から見れば、トランク部分が極端に短いため5ドアと気づきますが、斜め前方/後方から見ると4ドアのノッチバックセダンに見えます。

そもそも国産で5ドアセダンといえば、形は独立トランク式のノッチバックセダンそのものながら、実はリアウィンドウごと大きく開くダイハツ アプローズや、リアウィンドウ部分の膨らみが大きく識別が容易な日産パルサーやプリメーラ5ドア車のイメージです。

しかし、マツダは「4ドアクーペ」と称したスポーティな5ドアハッチバック車、ランティスクーペ(1993年)などでこの種のデザインにこなれており、初代アテンザスポーツはその集大成でした。

この実用性とスポーツ性あふれるデザインは2代目アテンザ(2008年)にも引き継がれましたが、「実用性よりデザインで選ばれている」というリサーチ結果から、3代目(2012年・現在のMAZDA6)では5ドア風デザインとした4ドアセダンに統合されています。

興味深かった4WDスポーツセダン、マツダスピードアテンザ

このアテンザスポーツで「マツダスピードアテンザ」を作っても、面白かったと思う

主力の5ドアではなく4ドアセダンにも、「マツダスピードアテンザ」という面白いモデルがありました。

最高出力272馬力、最大トルク38.7kgf・mを発揮する2.3リッター直噴ターボを6MTに組み合わせ、電子制御アクティブトルクコントロールカップリング4WDシステムで駆動する、4WDスポーツセダンです。

公認競技への出場に必要な「JAF登録車両」としても登録されたため、ジムカーナやダートトライアルでランエボやインプレッサと対決する場面が見られるかも、と少し期待しましたが、冷静に考えれば大きくて重すぎ、実戦的ではなかったかもしれません。

実際、レア車マニアである筆者の友人が所有しており、筆者主催のジムカーナイベントで走った事もありますが、ノーマルでは直線こそ速いものの、コーナリングやスラロームでは1,560kgに達した車重を感じさせる、かなり重そうな動きだったのを思い出します。

競技ベース車でもないのに6MT車のみで、レア車になってしまったマツダスピードアテンザですが、同時期の通常型に搭載した5速AT車を設定していれば、ラグジュアリー性の高いハイスピードツアラーとして、もっと人気が出たのでは?と惜しまれる1台です。

あるいは、アテンザスポーツにマツダスピード版4WDターボ車があればよかったのでしょうか?

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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