更新
【スズキセルボは初代SS20型が人気?】カスタム例から歴代車の評価も
目次
スズキの軽自動車「セルボ」とは?
スズキのセルボの名称はイタリア語で牡鹿を指す「Cervo」に由来しています。自動車の系列上は名車だった「フロンテクーペ」の流れを受け継いでいて、販売は1977年からでした。一度はその名も消えてしまいますが、2006年に復活、2009年まで生産され、既存の2代目MRワゴンに統合される形で販売が終了します。
今回は歴代のセルボを紹介するとともに、スズキにはアルトがあるのにも関わらず、なぜセルボが別のラインナップとして開発されていたのかを紐解いてみました。
初代SS20型セルボとは?
初代セルボSS20型は、先代のフロンテクーペのデザインを純粋に受け継いだ550ccの軽自動車です。フロンテクーペとのデザイン的な変更点はヘッドランプを丸型に、フォグランプを角型としてフロントグリル内に移動、フェンダーミラーをスクエアなデザインに変更されました。外装はこの他にバンパーの大型化も行います。
内装は規格の大型化と共に大幅に変更され、フロンテクーペは2シーターに近いシートレイアウトだったのをリアシートを大型化し、可倒式としてラゲッジスペースとしても使えるように改良されました。
エンジンは水冷2ストローク直列3気筒539ccを後部に配し、リアエンジン、リアドライブ駆動になっています。室内確保とエンジンルームが後部にあるため、前席はボンネット下の中ほどまで足を投げ出すというスポーツカー的な運転姿勢でした。
その独特なドライブポジションにより今でも人気のある車種なのですが、現行で中古を探すのは難しくなっています。
初代セルボのスペックは?
SS20型の気になるスペックは以下の通りです。
■全長:3,190mm
■全幅:1,395mm
■全高:1,210mm
■車重:550kg
■排気量:539cc(水冷2ストローク直列3気筒エンジン)
駆動方式はRR、4速MTのみの設定でした。
2代目SS40型セルボは女性がターゲット
ユーザーに寄り添った車に1982年にフルモデルチェンジされた2代目セルボ(SS40 型)は、女性をターゲッティングに置いていたこともあり、2速ATもラインナップ。
高度成長期真っ只中の日本において、潤沢に資金を開発に回せたためか、アルトをベースにしながらも当時としては珍しいターボモデルもラインナップにありました。
2代目セルボからエンジンはフロントに配し、駆動もフロントとなりました。先代のSS20型からは似ても似つかないデザインになったのですが、このSS40型はターゲッティング通り女性に受け入れられ、車をより身近にした軽自動車なのです。
今ではもう見かけない、中古市場にはほぼ見ない車になっています。
アルトのおすすめ記事はこちら!
2代目セルボのスペックは?
セルボSS40型のスペックは以下の通りです。
■全長:3,195mm
■全幅:1,395mm
■全高:1,290mm
■車重:535kg
■排気量:543cc(水冷4ストローク直列3気筒SOHCエンジン)
1988年に生産を終了して、3代目セルボに移行しました。販売年数は6年、その間には派生車も何台か販売されています。どちらも人気を博し、当時のスズキはアルト、セルボの2機種にジムニーが加わり、軽自動車はスズキというブランドを確立させました。
3代目CG70V/CH72V型セルボはクーペからスポーツワゴンへ
初代から続くスペシャリティー路線は続けながら、クーペモデルからスポーツワゴンを意識したボディに変化しています。この頃から軽自動車の一般的な形が決まりつつあり、現在のようにトールワゴン全盛になるまでこのセルボとアルトの形が軽の定番になっていました。
このセルボ発売後に追加されたモデルには、世界初の機構となる電動式パワーステアリングが採用されます。ただし、奇抜過ぎるデザインがあまり受け入れられず、1988年から1990年までの2年半という短命のモデルでもありました。
3代目セルボのスペックは?
3代目セルボのスペックは以下の通りです。
■全長:3,195mm
■全幅:1,395mm
■全高:1,330mm
■車重:590kg
■排気量:547cc(直列3気筒SOHC12バルブエンジン)
このモデルは女性のバイクチーム「チームアンジェラ」がサファリラリーに参加して見事クラス優勝をもぎ取る快挙を成した車なのです。
4代目CN21S/22S/31S/32S型セルボはハイクオリティ軽自動車
1990年に販売された4代目セルボは先代のスペシャリティー路線から外れ、オーソドックスな2BOX軽セダンにモデルチェンジされました。ただし、当時販売されていたアルトの上位モデルとして販売されます。1989年にスバルが果たした軽の4気筒エンジンに触発され、セルボも4気筒化されました。
軽自動車の企画変更に伴ない660ccに拡大されたエンジンとハッチバックを持つ「セルボモード」と名称を変更し、ナンバーは軽4ナンバーから軽5ナンバーに変わりました。
当時はホットハッチがブームで、セルボも例に漏れず、アルトワークスの足回りに軽自動車として初となる直列4気筒DOHC16バルブインタークーラータボにピレリP700を搭載し、最上級ホットハッチ軽自動車の「SR-Four」も販売されます。欧州ではこのモデルに1,000ccエンジンを積み、「アルト」のネーミングで販売されていました。
4代目セルボのスペックは?
セルボモードの気になるスペックは以下の通りです。
■全長:3,295mm
■全幅:1,395mm
■全高:1,390mm
■車重:730kg
■排気量:660cc
※エンジンは直3 SOHC12バルブ インタークーラーターボ付きエンジンをはじめ、4代目最上級車には直4DOHC 16バルブインタークーラーターボ付エンジンが搭載されていました。
このモデルは1998年まで生産され、その間、派生車としてレトロスタイルのセルボCが追加されました。軽自動車の規格改正の伴う車両再編が行われ、4代目セルボは一旦ラインナップから消えてしまいます。
5代目HG21S型セルボはライバルを凌駕した性能
5代目セルボは先代が生産終了された8年後に復活します。6代目アルトの機構部分をベースに、ボディーは円弧を基調としたデザインに仕上げられ、5ドアモデルとしてスズキの最上級軽自動車として販売されました。
復活から1年後に追加された「SR」は直噴エンジン+CVT+ターボという軽自動車規格では世界初となる組み合わせで、当時のコラムニストを驚かせました。セルボSRは今でも「最高の軽トールワゴン」との呼び声は高く、本来はダイハツ・ソニカを意識した作りだったのですが、SRは別格として扱われています。
燃費はカタログスペックでJC08モード燃費23.0km/L 、当時販売されていた軽トールワゴンでは一番燃費が良いとされていました。また、セルボSRも含め5代目セルボは軽自動車として初の環境対応普及促進税制車として認定されました。
5代目セルボのスペックは?
5代目セルボのスペックは以下の通りです。
■全長:3,395mm
■全幅:1,475mm
■全高:1,535-1,545mm
■車重:790-870kg
■排気量:660cc
※エンジンは直3 DOHC VVTエンジンをはじめ、最上級モデルであるSRには直噴直3 DOHC VVT+インタークーラターボ付きエンジンでした。
2009年に生産が終了して既存のMRワゴンに統合されたのですが、未だにその人気が衰えるところを知らず、中古市場で活発に取引されています。
スズキ セルボの中古車は?
2017年4月現在、中古市場でセルボは405台あります。平均価格は40万円程、高いものでも90万円と割りとリーズナブルに購入できます。
ただしSRは人気が高く、そちらは80万円前後と高値で取引されているのが現状です。狙い目はGリミテッドで、外観のデザインと燃費、走り心地が上手くマッチしていて非常に上品な軽自動車となっています。
スズキ セルボの最新中古車情報
- 最新「セルボ」中古車情報
-
本日の在庫数 145台 平均価格 35万円 支払総額 14~177万円
スズキ セルボのカスタムモデルは?
いまだの人気の高いセルボモードのSR4をレースモデルにカスタムされた1台です。この年代のセルボ、アルトワークス、スバルのヴィヴィオはレースカーとして人気が高く、カスタムされてレースに出場している機体もあります。
相当レース仕様にカスタムされているため公道は走れませんが、遊ぶ車としての人気は高いのです。
スズキ セルボの評価は?
セルボは特にトールワゴンになったセルボSRが人気が高く、低燃費だと評判の車でした。また、セルボモードは今ではワンメイクの軽自動車レースで使用する車としても人気の高い1台です。
実際に口コミサイトでの評価を紹介していきます。
車体が小さいので、狭い道だったとしても走りやすいという感想があります。子供を乗せることが多いのですが、車内が比較的狭いので、子供が視線に入りやすく、駐車もしやすいという点が良いです。初心者でも運転しやすいおすすめの車種です。
また外見がスポーティな分、車内の狭さが気になるという声もあります。一人で乗車している時には気にならなくても、大柄な方が後ろに乗る時に窮屈なのが気になるようです。少し異音が発生して、対策をしてもらう必要もあるケースもあったようです。
ターボを搭載しているので、燃費がそれほど良くないということもあります。軽自動車のタンクが大きくないこともあり、300kmごとに給油が必要になります。
女性が乗っていても威圧感がないほどのスポーツ感のある車。しかし子供がいる家庭の場合には、スライドドアがある車に魅力を感じるようになった方もおれるのも事実です。
故障が少ない、足回りがしっかりとしていて走っていて楽しいと高評価を受けています。
デメリットを口にするユーザーは見受けられなかったことから、高級軽自動車の代表格とも言える車です。中古車の購入を検討されているなら、セルボSRもおすすめの車種です!
買える範囲の自動車が若者に受ける現実
取材や新車発表会などでディーラーを訪れる機会が増え、懇意にさせていただいている営業様から「車が売れない」と口を揃えるように言われることがあります。これは若者が車に興味がなくなったのではなく、輸入車を含めたラインナップの多さが選択の多様性を産んでしまったことから来る功罪だと筆者は考えています。
それこそこのセルボSRの機構を利用して、フロンテクーペやカプチーノを復活させても面白いし、スズキ360を復活させれば興味のなかったユーザーの目を向けることができ、もっと自動車業界は活気づくはずです。
今の自動車メーカー各社はECOの名のもとに自動車の一番楽しいところを犠牲にして自ら閉塞感を出しているようにしか思えません。スズキやスバル、ホンダのようなユーザーが次に何を出すのかを期待が持てるメーカーに軽自動車でチェレンジしてもらいたいと切に願うのです。
スズキ セルボは次世代まで残る名車だ!
初代セルボから5代目セルボまで一気にまとめてみました。筆者は5代目セルボSRが販売された当時、ライバル車のダイハツ・ソニカの開発に少しだけ加わっていた経験があります。ソニカ販売の2年後、セルボSRが販売されて、スペックも燃費も全てにおける性能をスズキがソニカに合わせてきたことに脅威を感じていました。
軽自動車に搭載された660ccのパワーユニットを感じさせない走行性能はリッターカー並の走りと制動力。「これはとんでもなく面白い軽自動車」だと絶賛されました。残念ながらスズキのラインナップからは消えてしまったのですが、再びこのパワートレインで復活が待たれる1台です。
スズキの車に関するおすすめ記事はこちら!
軽自動車のおすすめ記事はこちら!
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...