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どうしてこれが「女子大生に人気のクルマ」に?初代レガシィから急にワゴンブームが始まった理由【推し車】

初代レガシィから、なぜ急にワゴンブームが始まったのか?

初代レガシィツーリングワゴン

1990年代に全盛期を迎えたRVブームの「RV」とは、よく誤解される「SUVの昔の呼び名」ではなくレクリエーショナル・ビークル、「SUV、ミニバンステーションワゴン、トールワゴンなど、古くからのセダンハッチバックに代わる新世代乗用車の総称」でした。

その中で唯一、1990年代に熱いブームとなり、そして他ジャンルと違ってほとんどが淘汰されて、今はほとんど残っていないのが、ステーションワゴン。

あの奇妙なブームから20年以上がたち、なぜあれほどみんな熱心になり、そして急に冷めたのかを考える第2回、本格的な火付け役となった初代レガシィを中心に振り返ります。

何もかもが新しく、そして何もかもが変わらなかった新型車

こちら旧型、3代目レオーネツーリングワゴン…レオーネがダメで、レガシィならよかったというのはデザインからはちょっとわからない

1989年2月に初代スバル レガシィが発売された時、「期待の新型車、スバルから登場!」と日本が沸き返り…など、全くしませんでした。

「10万km耐久走行記録における、平均速度世界記録達成!」と鳴り物入りでしたが、何しろスバルです。

4WDはちょっとスゴイなと思っていましたが、最低地上高は高くて腰高感ばかり目立ち、小型乗用車のレオーネも軽自動車のレックスも、1970年代のドン臭いか、1980年代に入ってからの白物家電じみた色気のないデザインが特徴。

アルシオーネに至っては「スバルなんかが作ってどうするの?」と変態扱いですし、1990年代に入ろうという頃でも「スバル360とサンバーのメーカー」だったわけでして。

実際、初代レガシィもレオーネとさして変わらぬドン臭いデザインのまま、なんとなく高級感だけ増したようなチグハグ感があって、「うわぁ、これ欲しい!」なんていうクルマじゃなかったんです。

今も昔も北米市場に大きく依存し、当時も北米での不振から自動車メーカーとしての存続がかかっていたスバル渾身の1台!すべてが新開発!なんて言われても、ユーザーとしては知ったこっちゃありません。

かくしてWRCでもなかなか結果が出ない4ドアセダンの方は盛大に空回りでしたが、「ツーリングワゴン」と呼ばれたステーションワゴンの方は、ちょっと違いました。

あれ?いつの間にか女子大生に人気のクルマに?!

デザインがイマイチという「定評」あるスバルだが、初代レガシィは5ナンバーサイズなのにゆったりした車内とシートというのが、意外に語られていない美点、つまり「乗りさえすれば強烈にわかるクルマ」だった。これは初代レガシィツーリングワゴンGT

そもそも「ツーリングワゴン」というネーミング自体、1981年に2代目レオーネへ追加されたのが初で、商用ライトバンの「エステートバン」と同ボディですから、それだけではただの「貧乏ライトバンの豪華仕様」でしかありません。

初代レガシィとは、基本的に「3代目レオーネ1.8リッターグレードの後継車」だったので、継続販売していた3代目レオーネ エステートバンの後継を作る必要がなかったのでしょう。

それでワゴン専用ボディ、バンでは普通ありえぬ4輪ストラット独立懸架サス、当時としては先進的なフルタイム4WD、1989年10月に追加された、セダンRSと同じEF20ターボを積む「GT」グレード…と盛ってはみたものの、見た目はしょせん「ライトバン」。

じゃあなんでブームになったのか…これがサッパリわかりません!

「気がついたら、いつの間にか人気になっていて、トレンディ情報誌でも女子大生が乗りたいクルマにランクインしてる!」という状況でしたから、もしかするとメディア側で誰か仕掛け人がいたかもしれませんが、明確な始まりはそのうち誰か研究するでしょう。

ひとつだけ言えるのは、どこかの誰かがステーションワゴンを流行らせようぜとなった時、パフォーマンス面で最高、かつトヨタや日産みたいな「古臭いオッサングルマ」のイメージが一般に定着していないクルマ…それがレガシィ ツーリングワゴンだったのでしょう。

運がいいというか、「時代が求めた時に、ちょうどよくそこにあれば、そりゃ売れる」という、典型的な例でありました。

RVブームも後押しした幸運

ワゴン専用ボディかつRVで惜しかったのがトヨタのスプリンターカリブで、画像は海外仕様のターセルワゴン。初代はターセル派生車で確かに安っぽい道具感だったが、ちゃんとスプリンター派生車になった2代目はスタイリッシュだった。

さらに当時は、3BOXのセダンやクーペ、2BOXのハッチバック車がマイカーとして一通り行き渡り、次の段階としてユーザーの多様な個性に合わせ差別化したモデル…「RV(レクリエーショナル・ビークル)」のブームがありました。

RVとは現在のSUVを含め、クロカンの代表格とされた三菱 パジェロ、当時はまだ1BOX車が多かったミニバン、三菱からミニカトッポが出たばかりのトールワゴンといった新ジャンル乗用車全般の事で、1980年前後からひっそりブーム、1990年頃に大ブームとなります。

本来ならステーションワゴンなど、「セダンを買えない人がよく乗ってた昔からのクルマ」なわけですが、視点を変えれば全く新しい付加価値が見えてくるではありませんか?

すなわち、セダン並の快適性や操縦性、動力性能を持ち、1BOX車とまでいかないまでも荷室容量は広く、4WDを選べば雪道や悪路も安心…。

なら、ライトバンでいいじゃないの?5ナンバー登録のビジネスワゴンだってあるし?というところで、「ライトバンと同じカタチじゃやだ!」となれば、当時はレガシィ ツーリングワゴンか、ボルボ240エステートなど高価な輸入車しかありません。

唯一惜しいのがトヨタの「スプリンターカリブ」で、レガシィの前年、1988年にデビューした2代目はターセル派生車だった初代から脱皮し、名実ともにスプリンター派生車、しかもRVルックだしフルタイム4WDもあるしと言うことないのですが…。

難がある点としては、「トヨタみたいにオヤジ臭いメーカーの、スプリンターなんてカローラじゃん要するに」というイメージと、別に4A-GEを積んでいるでもない平凡な動力性能でして。

実際乗ってみればカローラそのものだったスプリンターカリブに比べ、内外装の高級感はさておき、北米市場を重視して大柄な人でもゆったり座れるシートなど、乗ってみれば断然イイのはレガシィツーリングワゴンでした。

数々の幸運に恵まれた結果、「ワゴンブームの火付け役」となったレガシィ ツーリングワゴンですが、当時の「唐突に始まった感」を考えると、仮にレガシィがなくてもブームは始まっていたような気もします。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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