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WRCでも活躍した小型軽量FRターボのスポーツセダン、通称「ランタボ」!~三菱 ランサーEXターボ~【推し車】

偉大なるランサーの「第2章」はターボエンジンを得た

海外のヒストリック系やローカルラリーでは今も現役らしいランサーEXターボ
出典:flickr.com Author:smerikal CC BY 2.0

名車のはずなのになぜか今まであまり紹介されていない、それはベース車の地味さゆえか、それとも後の「エボリューション」があまりにも偉大すぎたゆえか…今回は1970~1980年代の名車に準ずるクルマを紹介する「プレイバック70-80’」枠で通称「ランタボ」を紹介。

ランサーEXへと改名した2代目ランサーへ、当時まだ黎明期にあったターボエンジンを搭載した小型FRスポーツセダンで、国内外のラリーでの活躍から有名になり、後の「ランエボ」と並ぶ「ランタボ」の名で親しまれました。

三菱デザインの潮流を決定づけた「ランサーEX」

1981年発売当時のランサーEXターボはグロス130馬力だった

主に1990年代以降、ある意味での重厚さから「ガンダムルック」などとも呼ばれる三菱車のデザインですが、フロントマスクや装飾の違いはあれどもボリュームのある角ばったプロポーションが基本で、その始まりと言えるのが1979年発売のランサーEXでしょう。

角ばったボクシーなスタイルは3代目ギャランの後期型(1978年)にも表れていますが、近代的なフラッシュサーフェス化を取り入れ、より本格的なデザインとしたのは「Exceed=はるかに優越した」を略してサブネームとした2代目ランサー、ランサーEXが初(※)。

(※1980年にモデルチェンジした4代目ギャランが、むしろ拡大版ランサーEX的なデザイン)

駆動レイアウトこそ保守的なFRでしたが、高いルーフでボディサイズの割にキャビンには余裕があり、FRゆえの素直な操縦性で、スポーツ性と快適性を両立した、「玄人好みするよいクルマ」でした。

豪快な小型FRスポーツセダン、「ランタボ」誕生

1983年にマイナーチェンジでフロントグリルが変更されるなどデザインが変わるとともにインタークーラーを追加、グロス160馬力へとパワーアップ

しかし、後にアレコレと装飾がついたり迫力あるフロントマスクやエアロパーツで存在感を増す三菱車のボクシーなデザインも、フロントマスクがアッサリしていたランサーEXではかなり地味な印象であり、販売面では成功と言い難かったようです。

そのため、テコ入れとして当時流行のターボエンジンを取り入れた「ランサーEX1800ターボ」が1981年に登場、輸出向け2000ターボのエンジンはギャランに搭載されたため、国内販売戦略上ランサーEXは1800止まりだったと思われますが、それでも十分でした。

まだ「どっかんターボ」の時代だったとはいえ、パワーバンドにさえ入れていればターボチャージャーのブーストはレスポンス良好、操縦性には元から定評のあった小型軽量FRセダンですから、振り回してターボパワーで豪快に加速するには最高と言われます。

もちろんそのような用途がもっともふさわしいのはラリー競技で、先の見えないコーナーへ派手なドリフトアングルで突っ込み、猛烈なホイルスピンで落とさなかったブースト圧でそのままクリッピングポイントを突き、次のコーナーへ襲いかかっていったのです。

後には空冷インタークーラーも追加してグロス135馬力から同160馬力へ強化、ランサーEXターボを略した「ランタボ」は大いに名を上げ、後にランサーエボリューションが登場しても、エボ以外のターボ車は自動車誌などで「ランタボ」と言われ続けました。

4WDターボ時代のWRCでも活躍

ボクシーなデザインの小型軽量ボディへパワフルなターボエンジンを積んで豪快に走る姿は、往年の三菱ファンにとっても懐かしいだろう
出典:flickr.com Author:smerikal CC BY 2.0

1981年には輸出仕様のランサーEX2000ターボでWRC(世界ラリー選手権)へ参戦、既に4WDターボのアウディ クワトロが猛威をふるっていましたが、翌1982年の第9戦1000湖ラリー(フィンランド)では3位入賞する好成績を収めています。

ただ、こうした「ランタボ」の活躍は、後の「ランエボ」や、日産のスカイラインGT-R、ホンダの「タイプR」と同様、高性能モデルにクルマ好きの人気が集まる一方で、必ずしもスポーツ要素を好まない一般ユーザーからは格落ちのように思われ、敬遠されたようです。

さらに1982年にはミラージュII(2代目ミラージュ)セダンの姉妹車で、FF車の「ランサーフィオーレ」が登場、FRのランサーEXと人気を二分するというより、一般ユーザーにとっては新時代の大衆車でベーシックなFF車の方がウケたとも言われます。

同様の話は同時期にFR車とFF車を併売したトヨタのコロナやカリーナ、いすゞのジェミニでも見られたことで、それらがマニア受けする高性能モデルやタクシーなど業務用を除いてFR車を廃止する中、ランサーEXも1987年に廃止され、最後のFRランサーとなりました。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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