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水素自動車の仕組みと水素エンジンとは|燃料電池車との違いは何?

水素自動車は、「カーボンニュートラル」や「脱炭素」と、自然環境を守るために技術開発が進められている中で注目されているジャンルの1つです。水素自動車にういて、仕組みや種類ごとの違いを交えて解説します。

水素自動車とは?どんな仕組み?

マツダ RX-8 ハイドロジェンRE

水素自動車は、水素を燃料に使用している車を指します。

車に使われている燃料として、真っ先に思い浮かぶのは「ガソリン」や「軽油」などの化石燃料ですが、水素自動車では水素を活用し、車両に搭載されるエンジン(内燃機関)にエネルギーを供給して車を走らせる仕組みです。

1970年代から、武蔵工業大学(現・東京都市大学)が一般の市販車をベースに水素燃料を使用するエンジンを搭載した実験車を開発し、テスト走行を行っていました。

21世紀に入り、日本国内で水素エンジン車を官公庁や企業向けへのリース販売を実現したのは自動車メーカー「マツダ」でした。

マツダ プレマシー ハイドロジェンRE

マツダは、スポーツカー「RX-8」やミニバン「プレマシー」をベースに、マツダの十八番であるロータリーエンジンを水素燃料が使えるように改良した車両を開発。「デュアルフューエルシステム」という構造によりガソリンも使用可能としたことで、水素補給ができない環境でも車を走らせられるようにしているのが特徴です。

また、2009年、東京都市大学が開発した水素エンジンを搭載するマイクロバスで、公道走行を実現したことで話題となりました。

「水素エンジン車」は、化石燃料を使った車や電気をエネルギーとしたBEV(電気自動車)と同じく一般ユーザーにも普及するよう、自動車メーカーや教育機関で開発と研究が進められているのです。

水素エンジン車と燃料電池車との違い

@scharfsinn86/stock.adobe.com

水素自動車と聞いて、勘違いされやすいのが「燃料電池車」は水素自動車ジャンルの一種と扱われている点です。

燃料電池車(FCV)は、水素を車を動かすためのエネルギーとして使っているのは、水素エンジン車との共通点です。

しかし、使われているエネルギー水素でも、構造自体は大きく異なります。この項目では、水素エンジン車と燃料電池車の違いをピックアップして解説してみました。

水素エンジン=水素を直接燃やして車を走らせる

水素エンジンは、水素を直接燃やして車の動力となるのが特徴です。

ガソリンや軽油などの化石燃料と変わりなく、空気と一緒にエンジン内へ取り込む仕組みを採用。燃料を水素に置き換えただけで、根本的な構造はガソリンエンジンやディーゼルエンジンと比較しても大きな変化がありません。加えて、1基あたりのエンジン製造コストがかかりにくくなっているのも特徴に挙げられます。

燃料電池=化学反応を起こしてエネルギーへ変化し、モーターを動かして車を走らせる

一方、燃料電池は、水素と酸素が化学反応を起こす過程が含まれているのが特徴です。

燃料電池車は、タンクへ補給した水素を燃料電池へ送り込み、空気内に含まれる酸素と反応させて電気を生み出します。生み出された電気は動力用モーターへ送られて、車を動かす仕組みです。

水素エンジン車とは異なり、バッテリーを経由してからパワーユニットとなるモーターへエネルギーが送られます。上記の仕組みからBEV(電気自動車)に近く考えるべきでしょう。

水素自動車のメリット

@Mike Mareen/stock.adobe.com

近年では、カーボンニュートラルや脱炭素が掲げられており、水素エンジンを搭載した車は問題解決に繋がる手段の一つと考えられているようです。2つのポイントに着目して水素自動車のメリットを挙げてみました。

二酸化炭素の発生を抑えて、環境に優しい

エンジンを回し、車を走行させる際に発生するのは、水や窒素酸化物(NOx)、エンジンオイルを燃やした際に発生する微量の二酸化炭素(CO2)の3種類となります。

ガソリンでは二酸化炭素、軽油では窒素酸化物の発生が問題視されており、いかに発生を少なく抑えるかが課題とされていました。
水素エンジンであれば、二酸化炭素と窒素酸化物の排出量を抑えられるのが強みとなります。自然環境を守れて、かつエンジンを通じて磨いてきた技術を活用し続けられる理想のパワーユニットなのです。

効率よくエンジンパワーを引き出せる

水素燃料は、ガソリンと比較して燃焼にかかるスピードとレスポンスがよく、ペダルを踏み込んでからの加速に優れているのが魅力。加えて、水素燃料のエネルギー効率はガソリンの約2倍となり、燃費性能にも優れています。

水素自動車のデメリット

@EZPS/stock.adobe.com

水素自動車は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンと比較してエネルギー効率に優れる反面、安全性に不安があるのが実情のようです。2つのポイントに着目して、水素自動車のデメリットを紹介します。

高い圧力がかかり、温度が上がりやすい

水素燃料はガソリンよりも素早く燃焼させる特徴がある反面、燃やしたタイミングでの圧力が高くなる弱点が存在します。温度が上がりすぎてしまうと、パワーを引き出す際の障害となりやすく、燃焼効率に影響が出ると懸念されているのが現状です。

”給水素”のインフラ整備に時間がかかる

水素燃料を安全に補給できる施設となる「水素ステーション」は1件ごとにガソリンスタンドの約5倍もの建設費用がかかるのがネックです。水素ステーションは、全国に約147箇所(2021年6月時点)が点在していますが、1つの都道府県あたり3件から4件程度となっており、身近ではない状況となっています。

今後、水素自動車が普及するには、燃料を身近で補給できるインフラ整備が求められるでしょう。

モータースポーツの世界では水素エンジン搭載車が活躍している

トヨタ カローラスポーツをベースにした水素エンジンのレーシングカー スーパー耐久シリーズに参戦している

水素エンジンは、一般ユーザーにも普及するように開発が進められているのは周知の通り。しかし、既にモータースポーツで走り始めているのをご存知でしょうか。

トヨタ自動車は、将来の市販化に向けて、水素エンジンを搭載したレーシングカーを走らせています。市販車をベース車両としたマシンが多く参戦する日本屈指の耐久レース「スーパー耐久シリーズ」へ2021年シーズンより参戦。

外観は現在市販されている5ドアハッチバック「カローラ スポーツ」がベース車両です。コンパクト3ドアハッチバック「GRヤリス」に搭載された1,600cc3気筒ターボエンジンに水素燃料の使用を可能としたセッティングを施し、「ST-Q」クラスに参戦しています。

ST-Qクラスは、将来に向けた技術開発を目的に、大幅な改良を施してガソリンエンジン仕様の車に交じりサーキットを走行するのが特徴。優勝を争うのではなく、車の性能を磨いたり実用化に向けた実験が行われたりしている点に魅力を感じるでしょう。

燃料電池車のMIRAIを開発したトヨタの手により、次は水素エンジンの実用化に向けた動きが進められているのです。

水素自動車はカーボンニュートラル時代の波に乗れるか

水素自動車は、二酸化炭素などの排出物質を抑えて環境に優しく、ガソリンよりもエネルギー効率に優れています。しかし、水素ステーションの建設費用がかかるなど、インフラの普及に課題があるのも事実です。

昨今、電気自動車やプラグインハイブリッド車が市販化されて街なかでも見かける機会が増えている状況。今後、水素自動車がカーボンニュートラル時代の波に乗るには、安全に水素燃料を使える環境と、水素ステーションが全国各地に建てられることが鍵となります。

水素エンジンによる車が、どのような未来を見せてくれるのか注目しましょう。

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執筆者プロフィール
長谷川 優人
長谷川 優人
1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。
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