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さとうきびで走れる日産の燃料電池車「e-Bio Fuel-Cell」は本当に発売されるのか

バイオエタノールで走る燃料電池車「SOFC車」とは?

バイオエタノールの原料のひとつ、さとうきび
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SOFC車とは、バイオエタノールを燃料とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)によって発電した電力で走行する車のことです。

燃料電池で走る燃料電池車(FCV)の一種ですが、通常のFCVが水素を外部から補給するのに対し、SOFC車は水素を車内で作り出しています。

燃料となる「バイオエタノール」は、さとうきびやとうもろこしなどを原料にしています。

FCVは発電の化学反応により二酸化炭素が発生しますが、バイオ燃料自動車であれば原料となる植物の成長過程で二酸化炭素を吸収しているため、発電時の二酸化炭素が相殺される、というサイクルにより環境性能が高くなるのが特徴です。

SOFC車は従来の燃料電池車(FCV)とはどう違うの?

©kyo/stock.adobe.com

FCVより低コスト!車両本体価格が安くなる

従来の燃料電池車(FCV)はEVに比べて部品数が遥かに多く、製造にコストがかかります。

クルマ自体はエコですが、車両本体価格も高額になってしまうため、ユーザーが増えにくいという課題があります。特に高額なのは水素を重鎮しておくためのタンクです。

しかしバイオ燃料自動車はサトウキビなどから取れるバイオ燃料を使用するため、高額な水素タンクが不要。従来のFCVよりも製造コストを抑えることができ、車両本体価格も低く販売できるというメリットがあります。

水素ステーション不要でインフラ整備がいらない

従来のFCVは燃料となる水素をステーションで補充する必要があります。

ガソリンスタンドの建設費は7~8千万円と言われていますが、なんとステーションワゴンは5~6億円とも。建設費用が高額なうえ、FCVユーザーも増えにくい現状では、水素ステーションの設置数を増やすのは用意ではありません。

しかし、バイオ燃料自動車はバイオ燃料を化学反応させることで水素を作り出しますので、水素の補充が不要。つまり水素ステーションを建設しなくても、燃料電池車を走らせることができます。

これによりインフラ整備が不要となり、水素ステーション建設が困難な地域や国にも導入しやすいというメリットがあります。

日産のSOFCテクノロジー「e-Bio Fuel-Cell」とは?

e-NV200 e-Bio Fuel-Cell

燃料電池車(FCV)といえば、トヨタ MIRAIやホンダ クラリティFUEL CELLが有名です。

いずれも水素を充填しながら走るという従来のスタイルを踏襲していますが、なんと日産も燃料電池車を開発していたことを知っていますか?

日産はSOFCテクノロジー「e-Bio Fuel-Cell」を搭載したプロトタイプ車両(e-NV200)を、2016年にブラジルにて発表しています。

当時のプレスリリースによれば、

「ブラジルの一般道にて本プロトタイプを用いてフィールドテストを実施し、技術や車両の市場性などを検証の上「e-Bio Fuel-Cell」の更なる研究開発を行います。」

「エタノールの入手性の高さや、エタノール混合水の可燃性の低さにより、インフラの制約が少なく市場導入がしやすい技術と考えられます。」

とのことで、当時の社長兼CEOのカルロス・ゴーン氏も市場成長を見込んで太鼓判を押していました。

ちなみに、e-Bio Fuel-Cellを搭載すれば、100%エタノールでも水55%を混ぜた「エタノール混合水」でも走ることができるそう。可燃性の高さも課題に挙げられる水素補填式FCVの欠点もカバーできます。

日産のバイオ燃料自動車は本当に発売される!?

当時、ブラジルで公開されたe-NV200 e-Bio Fuel-Cell

日産は、ダイムラーおよびフォードと量産型FCVを共同開発していました。しかしこの計画は2018年をもって見送りとなり、日産初のFCVの発売の目処は立っていません。

しかしこれは、日産が上に挙げた理由により従来のFCVの環境性能および生産コスト、市場成長に限界を感じたためと言われており、e-Bio Fuel-Cell自体の開発を辞めたわけではないとのこと。

日産から”究極のエコカー”であるバイオ燃料自動車がいつ発売されるかはわかりませんが、量産化が実現すればカーボンニュートラルへの大きな一歩を踏み出すことになりそうです。

今後はCO2と水素の合成液体燃料「e-fuel」の時代に!?

e-NV200 e-Bio Fuel-Cellのインフォメーションディスプレイ。SOFCの文字が見える

2020年、トヨタ、ホンダ、日産は合成液体燃料「e-fuel」の、本格的な研究開発に乗り出し始めました。

e-fuelはガソリンやディーゼルといった従来の燃料に混合して使える液体燃料で、原料は水を電気分解した際にできる水素と二酸化炭素で合成されている再生可能エネルギーです。これにより、ハイブリッド車などのエンジン搭載車が排出する二酸化炭素量を減らすことを目的としています。

現在世界の自動車メーカーが推進する電動化。「ラインナップすべてを電気自動車にすること」だと思われがちですが、実際はまだ「ラインナップすべてをハイブリッド車に」という段階です。

EVは走行中は二酸化炭素を排出しませんが、火力発電により電力を生成している場合、エネルギー生成段階で二酸化炭素が発生します。

カーボンニュートラル社会の実現に向けては、車の走行中だけでなく、車の製造過程やエネルギー生成段階で排出される二酸化炭素量も考慮する必要がありますので、EVが本当に環境に優しいのかどうかは、一概には言えないのです。

e-fuel搭載のハイブリッド車はEVよりもエコ?

e-fuelの狙いは、エネルギー生成段階を含むハイブリッド車の二酸化炭素排出量でEVを下回ること。工業的に生成できるうえ、大量生産にも向いているということで、3社ともに実用化に向けて本格的に研究を進めていくとのことです。

EVやFCVは従来のエンジン搭載車に比べて、走行中の二酸化炭素排出量は少ないメリットがありますが、エネルギー生成段階まで考慮した際、本当にエコなのかは疑問視されています。さらに普及率も伸び悩んでいる現状では、なかなかその実力も評価されにくいでしょう。

そんな中、日産のバイオ燃料自動車は従来のFCVの課題を解決する次世代のエコカー。現時点では、日産が開発中とされる新型車にはバイオ燃料自動車はないようですが、e-fuelの研究も進めながらe-Bio Fuel-Cellも実用化に向けて、前進してほしいものですね。

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