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FCV(燃料電池自動車)とは?仕組みやトヨタ・ホンダの代表車種からメリット・デメリットまで
目次
FCV(燃料電池自動車)の仕組み
FCV(燃料電池自動車)は水素で動く
FCV(燃料電池自動車)はFuel Cell Vehicle(Fuel = 燃料 Cell = 電池 Vehicle = 自動車)の頭文字からなっています。
FCVの基本構造は、燃料電池内に酸素と水素を取り込み、その化学反応からの電気エネルギーでモーターを回しています。燃料電池自動車は水素を燃料とすることから、普通のガソリン自動車のように水素ステーションで水素を補給します。
それ以外の特徴としては、FCVは従来のガソリン自動車の二倍以上のエネルギー効率を持っています。FCVは化石燃料、いわゆるガソリンなどを使わないため、石油枯渇の対策として有効とされています。
また、燃料電池自動車は酸素と水素の化学反応で発電するため、運転時に排出されるのは水だけです。大気汚染の原因になる二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などは一切排出されないため、究極のエコカーとして世界的に注目を浴びている次世代自動車とされています。
FCV(燃料電池自動車)・EV(電気自動車)・ハイブリッド自動車比較
EV(電気自動車)の弱点である長距離運転をカバーできるという意味では、FCVは実用性がある次世代の自動車と言えるかもしれません。ですが、水素ステーションの普及が進んでいないという課題もあります。少なくとも現時点では、FCVはガソリン自動車と同じように利用することはできません。
FCVのコンセプトカー トヨタ Fine-Comfort Ride
東京モーターショー2017にて、トヨタから新型FCVのコンセプトカー「Fine-Comfort Ride」が初公開されました。
「プレミアムサルーンの新しいかたち」をコンセプトに開発された「Fine-Comfort Ride」はミニバンのような形をしており、エスティマの後継車なのではないか、とも噂されています。
「Fine-Comfort Ride」の航続距離は約1,000kmにも及びます。
ただし、 新型コンセプトカー「Fine-Comfort Ride」の詳細スペックについては明らかになっていません。
FCVの代表車種トヨタ ミライ
世界初の量産型ハイブリッドカーを世界に広めたトヨタからの新しいイノベーション
トヨタは世界初の量産型ハイブリッド自動車を販売しただけでなく、またも世界初の量産型FCVを販売しました。世界初の量産型FCV、その名もMIRAIです。まさに新しい自動車の未来を走っていくような名前です。新車価格は7,236,000円ですが、補助金が出るので実質価格約5,220,000円です。
実はこのミライ、開発自体は1993年から始まっていて、トヨタはその時からもうすでに水素社会に視野を広げていました。現時点では水素社会が実現するのはまだ先のことですが、日本はFCV普及の最前線を走っていて、安倍晋三首相(当時)は、2020年東京五輪に向けて「水素社会の構築」を目標に掲げています。
MIRAIの安全対策
トヨタのMIRAIはその燃費や走行性のみならず、安全対策にも力をいれています。
まず、3層構造の高圧水素タンクの導入で水素を漏らさないようにし、水素ディテクタを使い問題が起きた場合に自動でタンクバルブを遮断、そして水素が社内にたまらないように水素が拡散しやすい構造になっています。
- 最新「MIRAI」中古車情報
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本日の在庫数 121台 平均価格 233万円 支払総額 74~658万円
FCVの代表車種ホンダ クラリティ FULE CELL
世界トップクラスの一充填走行距離を達成した クラリティ FUEL CELL
新車価格:7,660,000円
一回あたり水素充填時間:3分程度
一充填走行距離(参考値):約750km
ホンダもFCVに力入れています。クラリティ FULE CELLは脅威の一充填走行距離750kmを叩き出しました。ゼロエミッションビークルでトップクラスのこの記録は、燃料電池自動車の実用性を証明しました。
現時点でこの クラリティ FULE CELLはリース専用での販売となりますが、今後個人の方への販売を行う予定です。また、これから生産規模を拡大し、日本のみならず、米国や欧州への展開も予定しています。そしてクラリティ FULE CELLにもMIRAI同様で補助金が出るため、実質価格は約5,220,000円です。
FCVの可能性
ホンダはクラリティ FULE CELLの他にPOWER EXPORTERを販売しています。このPOWER EXPORTERはクラリティ FULE CELLの外部配電性能を家庭用電源に変換できます。合計最大9.0kVAの出力が可能なため、避難所などで非常時に配電できます。容量としては一般家庭の約7日分の電力を配電可能です。
メーカー希望小売価格:1,180,000円
ミライとクラリティ FULE CELLの違いが気になる方はこちら
FCVのメリット・デメリット
FCVのメリット
ここではFCVのメリットを紹介していきます。
まず最初のメリットは、上述のとおり、FCVは二酸化炭素を初めてする大気汚染の原因を一切出さないことです。次に、酸素と水素の化学反応によって発電を行うため、化石燃料を必要としません。また、FCVはガソリン自動車よりも効率的なエネルギー変換が可能です。そして、騒音をほとんど出しません。
また、FCVはEVと同じようにエンジンを持たないため、騒音が少ないというメリットもあります。
さらに、 FCVはエコカー減税など税制優遇の対象になります。現時点では、自動車取得税と自動車重量税のどちらも全額免除対象になります。
FCVのデメリット
FCVの大きなデメリットは、水素ステーションがまだ足りないことです。
FCVは、EVのように自宅で充填ができず、水素ステーションからでしか充填できません。ですが、水素ステーションは全国に約80箇所程度で、特に地方の方だと数がぐんと下がるため、FCVの利用シーンは限られています。
それ以外にも、燃料である水素の運送や貯蔵にも多くのコストがかかうえ、燃料電池自体の価格も高いという実情があります。そのため、FCVは環境に優しくても、補助金がなければユーザーのお財布にはあまり優しくはないかもしれません。
FCVは次のイノベーションとなるのか!
FCVはEVを超えるポテンシャルを持っている車です。ですがその実用化には様々な課題がまだ残されています。
EVのように自宅で燃料を補給できないFCVは、水素ステーションの設置を必要とするため、普及には時間とコストがかかります。
燃料電池開発のコスト削減のため、メーカー間での国際連携が各国で行われています。世界中にFCVが広がるかはそれぞれのメーカー間の共同開発と各国政府にかかっています。
これからの各国政府の動きとメーカーのFCVの普及に注目です。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...