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車のイグナイターとは?寿命と交換の目安と点検・故障診断方法
目次
車におけるイグナイターとは?
イグナイターとは、点火装置全般を表す名称のことを言いますが、車・バイクにおけるイグナイターは「エンジンの点火システムの制御」を担う電気回路部品のことを言います。
イグナイターの役割は、以下のとおりスイッチのようなものになります。(フルトランジスタ方式と呼ばれます)
- エンジンのコンピュータ(ECU)からの命令を受け、イグニッションコイルの一次側に電流を流す
- 直後、再びのECUからの命令で流していた電流を切る
イグナイターは、基本的にはエンジンの1気筒ごとに設置されており、イグニッションコイルとセットであったり、独立している場合もあります。
イグナイターの役割の重要性について、これだけだとわかりづらいかもしれません。そこで、簡単にエンジン点火の仕組みについて説明したいと思います。
イグナイターとCDIの違い
イグナイターは、CDI(キャパシター・ディスチャージド・イグニッション)と同じ言葉として使われることもあるようが、CDIはイグナイターとは別の装置になります。
簡単に説明すると、イグナイターの1つにCDIがあるというイメージです。
- イグナイター:イグニッションコイルへの一次電圧をトランジスタによって制御する点火装置
- CDI:コンデンサーからの放電を利用した電子制御式点火装置(コンデンサー式点火装置)
CDIは、小電力で機能するので非常に効率的です。そのため、以前は草刈機や一部の自動車のほか、小型オートバイにも使用されていました。
しかし、排ガス規制の観点や燃費が悪いことから、市販車に採用されることはなくなってきています。
エンジン点火の仕組み
ガソリンエンジンは、シリンダー内で圧縮された混合気が、点火プラグ(スパークプラグ)から電気的に発生する火花によって、適切なタイミングで点火されることで動き出します。
ここでの、点火プラグに電圧を供給する部品がイグニッションコイルで、そこで高電圧を発生させる部品が、イグナイターということになります。
フルトランジスタ方式においては、流した電流を遮断することで、遮断と同時に消えたコイル周りの磁界を維持するために、もともとの電流より大幅に高い電圧の電流が流れるのです。
CDI方式においては、はじめから高圧の電流を流し、コイルの二次側で電圧を増幅します。つまり、12Vのバッテリーから、最終的には点火プラグの放電に必要な25kVから35kVの電圧を得ることができます。
イグナイターの故障症状と点検・診断方法
イグナイターの役割を知ってもらえれば、イグナイターの故障は致命的だということもわかってもらえると思います。
エンジン点火システムに異常が発生するのですから、当然エンジンの不具合に繋がります。具体的には、イグナイターの故障によってどんな症状が表れるのか、いくつか挙げていきます。
車・バイク共通の故障症状
- 点火プラグの失火
- スターターは動くのに、エンジンが起動しない(バッテリーの故障ではないということです)
- アイドリングが不安定
- パワーや回転数が上がらない(CDI方式もしくはフルトランジスタ方式は、進角制御も行っているからです)
- 走行中に突然エンストする
点検・診断方法
イグナイターの故障症状が出た場合には、マニュアルに沿って検電テスターで点検しましょう。また、マニュアルや検電テスターがない場合は新品のイグナイターに交換してようすを見るようにします。
イグナイターの寿命と交換の目安は?
故障症状が表れ始めたら、直ちにイグナイターを交換しなければなりませんが、走行中にエンジンが停止するケースはいきなり発生します。この故障症状があらわれる前に、部品交換をして対策をする必要があります。
また、イグニッションコイルはイグナイターとの相互機関なので、こちらも同時に交換することが推奨されます。おおよその故障タイミングは、約70,000km走行が目安となるようです。このあたりの走行距離で、イグナイターの故障について念頭に置いておきましょう。
経年劣化以外にも、エンジンに熱がこもった場合や湿気もイグナイターの故障原因となるのでエンジン冷却にも注意しましょう。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...