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「日本車スゲェ…」日本車が世界で最初に採用したアクティブサスペンションとは?

世界初のアクティブサスペンション採用車は日本車

シトロエンDS
©Konstantinos Moraiti/stock.adobe.com

路面状況の予見が必要となるアクティブサスペンションに初めてチャレンジしたのが、シトロエンDSのハイドロニューマチックサスペンションです。

当時は今のようにセンサーやコンピュータも発展途上の時代。衝撃を出来るだけ素早く感知し、バルブの減圧側(縮み)、高圧側(伸び)を変化させ、サスペンションをコントロールしていました。

これがアクティブサスペンションへの第一歩です。

1989年に登場したセリカ・アクティブスポーツに搭載された、ハイドロニューマチックアクティブサスが、世界初のアクティブサスペンションと言われています。補助的に金属スプリングを併用していました。

金属バネも持たないフルアクティブサスペンションは、ほぼ同時期に登場した日産のインフィニティQ45で実現されます。サスペンション制御は高圧オイル系だけで行い、ボディのロールやピッチはほとんど感じず、バネ上に当たるボディは、常にフラットな状態をキープできました。

遅れること2年、1991年にトヨタ ソアラに搭載されたソアラアクティブサスペンションでは、油圧によって作動するアクチュエータを4輪に配置し、運転状況、路面及び車両状態を各種センサーで感知して、コンピュータで制御された油圧をアクチュエータに作用させて車両姿勢をコントロールします。

センサーとコンピュータにカメラが加わり大幅進化

メルセデスベンツSクラス
©art_zzz/stock.adobe.com

ソアラアクティブサスペンションの技術力は高く、2012年まで同機能を備えた車は生まれることがありませんでした。システム自体を搭載するためのコストも高く、広く普及しなかったという理由もあります。

しかし、2013年にはメルセデス・ベンツ Sクラスにマジックボディコントロールというアクティブサスペンションシステムが搭載されました。

こちらは金属バネやハイドロニューマチック、可変ダンパーで構成されていますが、カメラで路面状況を監視して、その状況をサスペンション制御に生かしているのが新しい点です。

マジックボディコントロールの大きく進化した点は予測ができるという点にあります。人間の関節の動きと同様に、動きに対する準備ができることから、理想的なボディコントロールを小さな力で行うことができるのです。

セミアクティブサスペンションは今後普及していきそう

レクサス LFA
©Vova/stock.adobe.com

フルアクティブサスペンションのコストはいまだに高く、一部の高級モデルにしか搭載がないのが現状です。

しかし、セミアクティブサスペンションであれば、実際に手が届くところで体感することができます。一つの例が、トヨタのAVS。四輪独立の減衰力制御を行い、ドライバーの意思で減衰力を調整できる機能です。

AVSは上級モデルになると、ナビゲーションの情報と統合制御されるNAVI-AI-AVSに進化し、コーナーの有り無し等を先読みした、サスペンション制御を行います。

また、アクティブサスペンションの機能は、ABSやトラクションコントロールといった、他の電子制御と統合されることにより、さらなる進化を続けます。

筆者は過去に、レクサスのスーパースポーツカーであるLFAの技術担当者から、これらの統合制御に関して話を聞いたことがあります。その中で、セミアクティブサスペンションAVSを含めた電子制御の高度な統合は、「車の限界領域を広げるだけでなく、一般道からサーキットまでを、安心してスムーズに走るために進化し続ける」という話を聞きました。

車を操縦するために人が動かすのは、基本的にペダルとステアリングの2つ。このうち、ステアリングの自然なフィーリングを、車がいかなる状況にあっても維持し続けることが、走行性能と安全性能を高めるというのです。

サーキットを走る技術の卓越したプロドライバーよりも、様々な状況変化が起きる一般ドライバーが走行する一般道の走行に対しての方が、アクティブサスペンションなどの恩恵が高いというのが、技術者の見解でした。

実際に先読みをしてくれる足回りを装備したクルマに乗ると、ステアリング操作に対するストレスが少なくなり、運転中に必要な他の要素(視覚や聴覚を使った危険予知)などに、ドライバーの能力を使えるというのは、筆者も大いに感じる所でした。

AIの進化が目覚ましく、車の安全装備としてフロントカメラが搭載されることが当たり前になりました。カーナビも大きく普及しています。

これまで高級モデルでしか実現できなかった、先読みのできる車の足回りは、今後多くの車に搭載される可能性を秘めています。快適な乗り心地と高い安全性を与えてくれるアクティブサスペンションが当たり前の装備になると、自動運転の技術なども、さらに早く一般化されるかもしれません。

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執筆者プロフィール
Red29
Red29
1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...

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