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「1年」が悲劇的な結果を生む結果に…マツダの高級セダン 初代センティア【推し車】

あと1年早く生まれていれば、名車だったかもしれない

4WSを強調するためか、ステアリングを目一杯切って後輪も少し曲げているマツダミュージアムの初代センティア

日本中があまり根拠(実体経済)もないまま、よくわからない超絶好景気に浮かれたバブル時代、税制改正で贅沢品の枠から外れ、自動車税が安くなった3ナンバー大型高級セダンが飛ぶように売れたのに乗じてマツダも個性的な高級セダンを発売します。

長年親しまれた「ルーチェ」の名を捨て、「センティア」、またはアンフィニ店で「MS-9」の名で生まれたマツダ渾身のフラッグシップでしたが、問題は1991年5月に初代センティアが発売された頃、もうバブル景気が崩壊していたことです。

しばらく続いた好景気の余韻もRVブームにさらわれ、いいところのなかった初代センティア/MS-9でしたが、いい意味でオヤジ臭さがなかったこともあって、VIPカーブームでもカルト的人気を得ました。

ルーチェ改め、「センティア」誕生

威厳のあるセダンというより高級スポーツサルーンという佇まいには、やはりルーチェより「センティア」の名が似合う

前後で絞り込まれつつも、スポーツカーというより大型セダンにふさわしいボリューム感があり、それでいて日産のレパード・J・フェリーのような大味ではなく、引き締まった塊感を感じさせるデザイン。

「シーマ現象」と言われる大ヒットとなった初代日産 シーマや、日米で高級車の概念を変えるほどエキセントリックな存在だった初代トヨタ セルシオ/レクサスLSに続く、「運転手つきのハイヤーより、オーナー自ら運転する高級ドライバーズセダン」、センティア。

特異なロードペーサーは別として、マツダが長年フラッグシップサルーンとして販売してきた「ルーチェ」の後継車であり、バブル景気に乗ってトヨタばりの5チャンネル販売体制を築こうとしていた、新時代のマツダを象徴する高級車になるはずでした。

厳密には「幻のアマティ1000」がショーファードリブンとしての役割を果たし、センティアはあくまで「2番目の高級車」、「ドライバーズセダンとしては最高級」になるはずだったとも言われますが、アマティが幻になった以上、仮定の域を出ません。

マツダ史上、完全オリジナル車としてはもっとも大きく、美しい4ドアハードトップセダンのセンティアは、当時こそ威厳に欠けると言われて販売不振に陥りますが、若いユーザーから支持されて中古車で人気が出るという、典型的なクルマでもありました。

フラッグシップらしい最先端装備の数々

後付でETCが装着されているところから、わりと最近まで現役だったように見える

新時代のマツダで象徴となるはずのフラッグシップサルーンだけに、3ナンバー専用ボディには当時のマツダにおける数々の最新装備が施されました。

5代目ルーチェを最後に普通の乗用車用エンジンとしての役目を終えていたロータリーこそ搭載されなかったものの、上級グレード用の3リッターJE-ZE、ベーシックモデル用の2.5リッターJ5-DEと、2種のV6DOHCエンジンを搭載。

JE-ZEにはロング吸気管のVICS(可変慣性過給システム)と可変排気システム、J5-DEにはVRIS(可変共鳴過給システム)を採用していますが、いずれも吸気管または排気管の長さなどを状況に応じて変化させ、簡易的な過給効果を得ようというシステムです。

全車標準装備だった車速感応型4WSや、ガラスサンルーフに組み込んだ太陽電池で車内の換気を行う世界初の「ソーラーベンチレーションシステム」、ステアリング連動型フォグランプ、ユーノス コスモで初装備されたCCS(カーコミュニケーションシステム)も搭載。

後にグレードや装備の整理で、4WSやCCSの非装備設定などコストダウンの方向へ向かってしまいますが、本来ならユーノス コスモに続く3ローターエンジン20Bも考慮されたと言われており、実現していればマツダ史上最高級サルーンの名はさらに高まったでしょう。

その名は可憐なデザインの初代のみにしてほしかった

曲線美が極まったテールは初代センティア最大のチャームポーイントで、他にはなかなかできない当時のマツダらしいデザイン

従来の高級セダンにありがちで、マツダ自身3代目以降のルーチェで採用していた「押し出し感が強く威厳を感じさせる角張ったデザイン」と、垂直面や直線がほとんど見当たらないほど曲面を多用して滑らかなセンティアでは、デザインの方向性が全く異なります。

ルーチェのモデルチェンジとせず、全く新しい新型車にふさわしい名前を与えたのもわかりますが、それなら2代目が原点回帰して古色蒼然たる威厳タップリなデザインに変わっても、「センティア」の名がそのままだったのは残念なことです。

「クロノス」から名前を戻した「カペラ」のように、2代目も「6代目ルーチェ」をに戻していれば、センティアの名はバブル時代末期に咲いた可憐で短命だった華と言われたかもしれず、その名は初代のみにとどめておくべきだったかもしれません。

なお、初代センティアと、「アンフィニ」ブランド廃止で一代限りとなった姉妹車MS-9は後のVIPカーでも、いかにも男臭いクラウンやセド/グロに対し、大柄でも女性らしいクルマを自ら運転したいギャルを中心に、ちょっとした人気になりました。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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