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ジムニーSj30
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「ロマン溢れる2スト排気音」スズキがイチから作り込んだ、2代目ジムニーの魅力【推し車】

2ストジムニーの排気音には、4ストにないロマンを感じる

スズキ歴史館へ展示されている2代目ジムニー(初期型のSJ30)

筆者がホームベースとしている宮城県村田町の「サザンサーキット」では、舗装のミニサーキットコースのほかにダートやオフロードコースもあり、特にオフロードコースを走るクロカン車はミニサーキットのパドックからも見ることができます。

それほど大きなコースではないためジムニーが多く、見上げるような凄まじい急坂を平然と登る姿には頼もしさを感じますが、中に時おり2ストのSJ30ジムニーも混ざり、「ポ、ポ、ポ…ポポポブィーン!」と、牧歌的な排気音とは裏腹な力強さに感動したものです。

今回はオープンタイプ・フルメタルドアのFMグレードが展示されているスズキ歴史館(静岡県浜松市)で撮影されたSJ30の画像を交えつつ、2ストから4ストターボへ移り変わった2代目ジムニーのお話。

「ホープスターON改」だった初代から、モダンな2代目へ

SJ30は無骨ながらも近代的なデザインとなって初期のRVブームに乗ったほか、最後の2ストジムニーとしても人気があった

スズキ ジムニーの初代モデルは、かつて軽3輪/4輪トラックでヒットした時期もあったホープ自動車が再起を図った力作、ホープスター ON型4WD(1967年)の設計と製造・販売権をスズキが買い取り、自社仕様へと改めて1970年に発売したもの。

初期モデルは軍用のジープをそのまま軽自動車規格へ縮小したような、簡素で質実剛健一点張りのクルマであり、悪路走破性こそ高かったものの、乗用車として好んで使うような乗り物ではありませんでした。

それがエンジンの改良、空冷から水冷化、550cc化によるバンパーやフェンダー拡大、輸出向けを国内販売した800ccのジムニー8(エイト)追加と発展していきますが、後席が基本的に1人乗りの定員3名、4人乗りモデルでも後席は横向き対面2座と、いささか特殊。

しかし1981年に初のモデルチェンジを敢行した2代目ジムニー初期の「SJ30」型は、初めてスズキがイチから作り込んだジムニーとして、まずデザインやパッケージの面で大幅な近代化が図られました。

360cc時代の寸法へオーバーフェンダーで拡幅した程度だった車体は550cc規格の全幅いっぱいに広げられ、エンジンルームの艤装も容易になり、ホイールベース延長で車内も格段に広くなり、後席はちゃんと前向きになって4人乗りが標準となったのです。

デザインも無骨さは残しつつスポーティな直線基調となり、初期のRVブームにマッチしたこともあって販売台数は初代末期から倍増、女性ユーザーも増えたと言われています。

最後の2ストジムニーSJ30

初代からもっとも変わったのは後席で、ホイールベースと全幅の拡大によって普通の前向き2名用シートになった

ただし、現在の4代目に至るまで初代からの基本設計が受け継がれているように、2代目でも中身は初代から大きく変わっておらず、特に初期のSJ30型では4輪リーフリジッド車軸懸架と、水冷2ストローク直列3気筒エンジンLJ50が先代から受け継がれました。

多少改良されたとはいえ、古いLJ50が引き続き使われた理由は新型の4ストロークエンジンF5Aが自然吸気のままでは低速トルク不足だったのと、軽商用車は昭和53年排出ガス規制の施行後も、しばらくは排ガス規制がゆるかったため。

1986年にターボ版F5Aを積む「JA71」型が登場、4ストロークエンジンでもターボなら実用的なトルク発揮が可能になってからも、JA71型へパノラミックルーフ車が追加される1987年頃までSJ30型の生産は続いています。

もっとも、初期のF5Aターボ車はまだ出力不足でトルク変動も大きく、1987年に追加されたインタークーラーターボ仕様で馬力向上と低速トルク拡大が図られ、ようやく4スト版ジムニーの実用性が満足されるまで、2ストジムニーの必要性があったようです。

その後も2ストジムニーのフィーリングやターボチャージャーに頼らない力強さ、軽やかな排気音を好むユーザーは多く、オフロード走行をたしなむジムニーマニアや、2ストロークエンジンのファンを中心に、今でも中古車の旧車人気が続いています。

JA11を経てコイルスプリングのJA12/22へ

展示車はフルメタルドアのオープンモデルだが、他にオープンモデルでもハーフメタルドア、幌ドア、そしてフルメタルキャビンのバンはベーシックモデルと装備充実モデルがあった

4ストローク化したJA71、660cc化したJA11でも4輪リーフリジッド車軸懸架のスパルタンな乗り物だった2代目ジムニー。

しかし、1990年代RVブームでクロカン4WDにも普通の乗用車じみた快適性や操縦安定性が求められ、1995年に登場したJA12/22では、ついにジムニーを本質から変えていくビッグマイナーチェンジが敢行されました。

すなわち5ナンバー乗用モデルの追加と、従来通りのSOHC3気筒6バルブターボ版F6A(JA12系)に加え、DOHC3気筒12バルブターボ版K6A(JA22系)の追加。

そして何より、リジッドサス車軸懸架は変わらないものの、リーフスプリングがコイルスプリングになりました。

同時期(1999年)にコイルスプリング化されたランドクルーザー70同様、「ジムニーもずいぶん軟弱になったな!」と嘆く昔ながらのファンもいましたが、RVブームで急増した「オフロードは走らずファッションで乗る一般ユーザー」をスズキも無視できません。

しかし、この改良で舗装路の走行性能や高速巡航性能、運転時の疲労度や同乗者の快適性が大幅に改善されて実用性が増したのは事実です。

後継のJB23型(3代目ジムニー)が、丸みを帯びたデザインや、あまりに本質を外しすぎて短命に終わった2WDモデル(ジムニーL、ジムニーJ2)の追加で猛烈な批判にさらされると、むしろJA12/22ですら「あの頃はよかった」と懐かしがられました。

現行のJB64型(4代目ジムニー)で採用されたオフローダールックも、メルセデス・ベンツGクラスに似ているという意見もありますが、本質的には2代目ジムニーへの回帰だと思った方がいいかもしれません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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