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「ランエボなくして今の三菱SUVは無し」?第2世代のハイテクマシン・三菱 ランサーエボリューションIV【推し車】

現在の三菱車に通じる技術を初投入したハイテク・ランエボ

5ナンバーナローボディでは最後のランエボとなった、ランサーエボリューションIV

三菱が日本国内向け4ドアセダンを作らなくなった今もなお、復活論が根強い国産4WDターボスポーツの至宝「ランサーエボリューション」。

MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にも歴代ランエボが当然のごとくノミネートされていますが、今回紹介するのは第2世代初のランエボであり、最後の5ナンバーランエボだった「ランサーエボリューションIV」。

一般向けグレードのGSRで初のAYC(電子制御アクティブ・ヨー・コントロール)をリアデフに採用するなど、現在の三菱SUVにも通じるハイテク技術が初投入されたモデルでもあります。

ベース車のモデルチェンジでランエボは第2世代へ

現在の三菱がSUVで盛んに「ランエボ以来の技術」と強調する元になったAYCは、エボIVのGSRが初採用だった

1995年は1月にランエボIIIが発売された一方、同年10月にはベースの小型4ドアセダン「ランサー」がモデルチェンジで5代目へ移行し、ボディサイズは5ナンバーを堅持しつつ居住性を改善し、やや重くなった新型ランサーの「エボ」がどうなるかが注目されました。

翌1996年8月に発売された「ランサーエボリューションIV」は、予想通り一般向けGSRで90kg、競技向けRSで70kgの重量増加となりますが、もう1つの注目ポイントだったエンジンの最高出力はついに当時の自主規制値「280馬力」へ到達!

同時に最大トルクが31.5kg・mから36.0kgf・mへと強化(発生回転数はいずれも3,000回転)したのはツインスクロール化などターボチャージャーの更新とブーストアップの恩恵ですが、鍛造ピストンの耐久性問題などハイパワー化へのリスクを抱えた中での船出でした。

スタイルは大型リアウイングなど外観の派手さが目立ったエボIIIから一転、空力的なリファインでスッキリした姿となり、5ナンバー枠に留まったのも駐車場やガレージの寸法に余裕のないユーザーからは嬉しかったところ。

もうひとつ特筆すべきはGSRのリアデフに初装備されたAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)で、左右後輪の駆動力配分を電子制御して旋回性能を向上させる仕組み。

現在の三菱SUV、アウトランダーやエクリプスクロスなどが採用している、駆動力配分やブレーキの独立制御で悪路や低ミュー路面でも安定した走りを可能にする「S-AWC」の始祖と呼ぶべき技術を初採用したのが、エボIVでした。

WRCではドライバーズタイトルを獲るも、見えてきた限界

WRCでは1997年にトミ・マキネンがドライバーズタイトルを獲ったエボIVだが、5ナンバーナローボディのグループAマシンではWRCのマニュファクチャラーズ・タイトルまで獲れなかった

当時のランエボはWRC(世界ラリー選手権)が主戦場だったこともあり、1996年一杯までエボIIIで戦った三菱ワークスは1997年にエボIVへスイッチ。

もうこの頃にはグループAラリーマシンのフル参戦に熟練度を深めていた三菱ワークスは、モデルチェンジした新型ランサーベースのエボIVでも確実に成果を残し、デビュー戦となる開幕モンテカルロを3位入賞で終えたのを皮切りに上位入賞は当たり前。

第4戦ポルトガルから第7戦アルゼンチンまで3連勝、第10戦フィンランドでも優勝してこの年は4勝、ドライバーズタイトルは前年に引き続きトミ・マキネンが獲得しました。

ただし重量増加をハイパワー化で補っても5ナンバー車のナロートレッドでは戦闘力に限界があり、エボIII以前から採用していた電子制御デフ技術(市販車のAYCとは別らしい)をもってしても、エボIVでは前年より1勝少ない4勝に終わったとも言えます。

1997年もマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲ったのは3年連続のスバルで、この年から市販車の生産規定が緩く、改造範囲が広いWRカーとなったインプレッサに対し、あくまで市販車のチューニングカーに過ぎないグループAマシンの限界が露呈しました。

グループAにこだわるならハナからより強力なベース車を市販するしかなく、次のエボVからワイドフェンダー&トレッドの3ナンバーボディへ移行、5ナンバーランエボはエボIVが最後となったのです。

なお、WRC以外でも国内競技へ参戦しますが、改造範囲の限られるカテゴリーではエボIIIを長く好むユーザーは多く、エボIVは比較的早く台数が減っていった印象があります。

それでもモータースポーツでの成績にこだわらず、チューニングも自由なストリート系のユーザーなら、駐車スペースなど物理的な制約から3ナンバー車の所有が難しい場合の5ナンバー4WDターボ最新・最強マシンとして、エボIVのGSRは歓迎されました。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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