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マツダ3全タイプ試乗した筆者がおすすめするカーライフ・お好み別グレード5選
長距離走行が多いならこれ!
セダン XD プロアクティブ 4WD/AT(1.8Lディーゼル)
マツダ3のカタログ燃費でガソリン、ディーゼルを比較するとその差は小さいもので、実際に筆者が試乗したときのトータル実燃費もその差に開きはありませんでした。しかし、高速道路を一定速度で巡航すれば20km/Lを超えるカタログ燃費を上回ることも珍しくありません。カタログ数値や試乗レポートの燃費には現れにくいですが、信号の少ない一般道路の実燃費は良く、登り下りの多い山岳路も良い燃費になるのがディーゼル。また、燃費が良い分、燃料補給回数も少なくて済みます。マツダ3の燃料タンクは2WD車51L、4WD車48L。ガソリン車で満タン500〜600kmくらい走行できるところ、ディーゼルでは700〜800km走行が可能。
マツダ3のディーゼルは1.8Lで、ガソリンの2.0Lより排気量が少ない設定。マツダには2.2Lディーゼル・ツインターボがCX-5、CX-8、マツダ6に搭載されており、こっちの方がパワーがあって良いのでは、と思われるかもしれませんが、エンジン重量を考えると1.8Lがベストバランスになるでしょう。実際、車両重量はセダン プロアクティブ 2WD/ATのガソリンが1,350kg、同ディーゼルで1,400kg。単純計算でフロント荷重の差が50kgですから、ディーゼル車にありがちなフロントヘビーでアンダーがより出やすいということも抑えられています。
1.8Lディーゼル「SKYACTIV-D 1.8」の最高出力は116PSのと控えめながら最大トルクは270N・m。最高出力は4,000回転、最大トルクは1,600〜2,600回転で発生するディーゼル特有の低回転トルクモリモリ型出力特性ですので、2WD/FFでアクセルの踏み込み量が多いままハンドルが大きく切られるとタイヤが空転することがあります。トラクションコントロールが付いているのですぐに制御は入りますが、走りの質からすれば4WDの方がジェントル。山岳路など加減速の多いカーブを走行するときは、後輪に駆動力があった方がコーナリングはスムーズ。お尻を支えてくれる感じです。この走りの質感は、長距離運転するときのストレス軽減、疲労軽減に繋がりもしますので、4WDがおすすめ。
ファストバックではなくセダンをおすすめした理由は、リアサスの落ち着きはセダンの方が少し上。顕著な違いではありませんが、乗り比べるとわかります。セダンの構造上、リアの剛性が上がること、全長がファストバックよりセダンの方が20cm長いことが、落ち着き感に繋がっているようです。逆にいえば、ファストバックの方が、ややアグレッシブに。マツダ3の足は固めなので、スポーティーさではファストバックの方が上になりますが、走りを質感も含めて求めるなら、セダンに軍配。で、長距離走行時の疲労軽減にもプラスに働きます。
セダン XD プロアクティブの価格は、303万円。
マツダ3 セダン XD プロアクティブ(1.8Lディーゼル AWD/AT)の試乗レポートはこちら。
- 最新「MAZDA3セダン」中古車情報
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本日の在庫数 218台 平均価格 221万円 支払総額 130~340万円
デザイン重視ならこれ!
ファストバック 20S バーガンディーセレクション 2WD/AT(2.0Lガソリン)ポリメタルグレーメタリック
特にボディサイドの曲面デザインが美しいマツダ3。今までにこんなに複雑できれいな面を見せたクルマがあったでしょうか。そして、景色の映り込みも美しい。そんなマツダ3には、新色“匠塗”のポリメタルグレーメタリックがおすすめ。くすんだブルーグレーで光の当たり方で色が移ろいゆくメタリック。落ち着きのあるボディカラーに対して真逆の、赤いインテリア。実際にファッション感度の高い方がこの組み合わせで購入されていくことが多いとか。
バーガンディーセレクションは、1.5Lガソリン車以外のファストバックに設定。その中で最も安価となるが、2.0Lガソリン/2WD/ATの「20S バーガンディーセレクション」。価格は277万円。
マツダ3 ファストバック XD Lパッケージ(1.8Lディーゼル 2WD/AT)の試乗レポートはこちら。
15S 100周年特別記念車(特別仕様車)2WD/AT
2020年はマツダ100周年。これを記念してさまざまなマツダ車に「100周年特別記念車」の特別仕様車が設定されました。マツダ3では、本来「15S」には設定されていない「バーガンディーセレクション」と同じレッドのレザーインテリアが奢られ、随所にマツダ100周年特別ロゴやバッジがあしらわれます。ボディカラーは「スノーフレークホワイト」のみの設定となりますが、デザイン重視ならこの特別仕様車もおすすめ。価格は289万円。
マツダ100周年特別記念車 公式HP
トータルバランスで選ぶならこれ!
セダン 20S Lパッケージ 2WD/AT(2.0Lガソリン)マシーングレープレミアムメタリック
静かで必要十分なパワーの2.0Lガソリンエンジン、ボディカラーは冠婚葬祭どのシーンで乗っても無難でかつ上質な“匠塗”ポリメタルグレーメタリック、高級感あるレザーシートで安定のセダン。ホワイトレザーはクルマによっては、オラオラ感が出たりチャラい印象を与えたりしがちですが、マツダ3ではそんな印象はあまり感じません。筆者的ベストバランス・マツダ3は、セダン 20S Lパッケージ 2WD/AT。価格は、267万円。
マツダ3 セダン 20S Lパッケージ(2.0Lガソリン 2WD/AT)の試乗レポートはこちら。
グレード・仕様違い価格差まとめ一覧表
冒頭でお伝えしたとおり、マツダ3のモデル、グレード構成はマトリックス状になっており、その価格差もまとめればわかりやすい構造になっています。最後に、その違いと価格差に注目してまとめた表をお届けします。
比較対象 | 価格差(円) |
ファストバックとセダン | 0 |
2WDと4WD | 236,500 |
MTとAT | 0 |
ファブリックとレザー(白・黒) *1 | 182,315 |
ファブリックとレザー(赤) *2 | 253,815 |
1.5Lガソリンと2.0Lガソリン *3 | 294,352 |
2.0Lガソリンと1.8Lディーゼル | 275,000 |
スカイアクティブXと2.0Lガソリン | 682,407 |
スカイアクティブXと1.8Lディーゼル | 407,407 |
*1 PROACTIVとL Packageを比較
*2 PROACTIVとBurgundy Selectionを比較
*3 15Sと20S PROACTIVを比較
先進安全技術は全車標準装備
マツダ3は、全車に自転車検知機能付きの「スマート・ブレーキ・サポート」いわゆる自動ブレーキ、AT誤発進抑制制御、コーナリング時の安定性、安全性を向上させる車両運動制御「Gベクタリングコントロールプラス」、全車速追従対応アダプティブ・クルーズ・コントロールなど、基本的な先進安全技術はすべて標準装備。グレードにより多少の違いはありますが、先進安全技術の面においてグレードによる差別化はされていないと考えて差し支えないでしょう。
編集後記
選び方のポイントは、エンジン、駆動方式といったパワートレインが主軸となり、続いてインテリアをレザーにするか、ファブリックにするかといった違いといったところになる割とシンプルな選択になるのですが、そうとは言え、Webカタログを眺めてモデルの違いを比べたりするのはめんどうなもの。価格差も然り。また、乗り味の違いは公式HPからは伝わりづらいもの。この記事ではマツダ3がいいな、欲しいなと思った方のお役に立てれればと思い筆を取った次第でした。
- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...