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「暴走とピンチはマツダの華」マツダの悲劇、クロノスファミリーたち【推し車】
マツダというのは国産車メーカーの中でもかなり興味深い歴史を持つメーカーで、経営戦略の失敗で2度にわたり存続が危ぶまれるレベルの危機に陥り、「工場の裏山まで在庫車があふれた」「車じゃなく人を売れと言われる販売現場」など、エピソードに事欠きません。
しかしどれだけ落ちぶれてもその後の巻き返すのも事実で、「暴走とピンチはマツダの華」とすら言えるほどですが、中でも国産車史上、稀に見る悲劇として知られるのが1990年代に起きた「クロノスファミリーの悲劇」です。
トヨタばりの5チャンネル販売体制、それぞれに供給する少量多品種生産体制がバブルとともに崩壊した悲劇のクロノスファミリーから、今回は3台を紹介します。
マツダ クロノス(1991年)
1970年から5代続くカペラの後継、さらに5チャンネル体制を担う各ブランド、マツダ、ユーノス、オートザム、アンフィニ、オートラマ(日本フォード)へ供給する派生車のベースモデルとして登場。
派生車を並行開発したゆえかデザイン面で熟成不足だったものの、国際基準の衝突安全性、1.8Lから2.5Lまで採用したV6エンジンの評価は高く、単にカペラ後継だったならば、後のアテンザのごとく発展したかもしれません。
しかし現実にはバブル崩壊で失敗が明らかになった5チャンネル販売体制の「A級戦犯」扱いとなってしまい、後継車は「カペラ(6代目)」を再襲名。結局クロノスは1代限りで廃止を余儀なくされた、悲劇の名車となりました。
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マツダ MX-6(1992年)
カペラC2(5代目カペラクーペ)海外版の初代に続き、クロノスベースの2代目はラインナップ拡充のため国内でも販売されました。低いボンネットに流麗なフォルム、クロノス譲りで評価の高いV6エンジンで、海外では引き続き高い評価を受けたのです。
しかし、国内向けFF2ドアスペシャリティクーペとしてはインパクトが弱く、急激に生産車種が増加して混乱した時期の少量多品種生産で、品質面にも問題が出てしまいます。
日本でも「走りの満足度は高い」と好むユーザーはいたものの、そもそもマツダにはRX-7とロードスターという本格FRスポーツがあったため、マツダファンでも食指が動きにくく、結果的に販売不振で1代限りに終わりました。
ユーノス 500(1992年)
各車種の評価が実情以上に低い傾向があるクロノスファミリーにおいて、成功作とされる数少ない1台(他は、ペルソナの高品質内装を受け継いだMS-8など)。
シリーズ唯一の5ナンバー車で、V6エンジンも1.8/2.0Lのみ(後に廉価版として1.8L直4エンジンを追加)という小型車ながら高品質の内外装デザインや塗装の評価が非常に高く、「国産プレミアムコンパクトセダンの傑作」と評されます。
事実、ユーノス」ブランドはロードスターや、ミラーサイクルエンジン搭載のミドルクラスセダン、ユーノス800など高評価車が多かったため、マツダの経営再建によるブランド廃止とともに、ユーノス500も一代限りで終わったのはとても残念でなりません。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...