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『ホンダ インテグラ』歴代モデルの歴史と現在の評価は?【日本の名車】
目次
ホンダ インテグラとは
ホンダ インテグラタイプR(1999年)
インテグラとはホンダが1985年から2006年まで生産、販売していた車です。デビュー当時は当時のトレンド「スポーティなセダン」として一斉を風靡。モデルチェンジを経てクーペモデルのみの販売となってからは、カリカリのスポーツカーとして、カスタムを楽しむ若者にも愛されています。
また、ハイパフォーマンスモデル「タイプR」を投入したことでも話題となりました。
当時のホンダの人気スポーツモデル「シビック」と人気を二分するかたちで、今もなお車好きの間では今でも絶大な支持を得ています。
インテグラのベースとなったホンダ クイント
ホンダ クイント TE 1980年式
ホンダのインテグラが発売される前は、アコードとシビックの中間的な位置づけとされたクイント(Quint)という車が販売されていました。
1985年にモデルチェンジが行われ、車名が「クイントインテグラ」に。そのため初代インテグラといえば「クイントインテグラ」を指します。
ちなみに、Quintとは、五人組や五重奏を意味する「Quintet(クインテット)」を短縮した造語。そのため、クイントは欧州ではクインテットという車名で販売されていました。
英ローバーにOEM供給も
ローバー・クインテット(ホンダ クイント)
1985年頃には、ホンダはイギリスの自動車メーカーであるローバーと提携していました。そののため、クイントはローバーのOEM車としてローバー・クインテットという車名で、オーストラリアにて販売されていました。
初代ホンダ インテグラ(クイントインテグラ)|AV型/DA型系
ホンダ クイントインテグラ 5ドア GSi
前述の通り、初代インテグラは「クイントインテグラ」としてデビューしました。1985年にクイントのフルモデルチェンジで登場し、1989年まで発売されました。歴代インテグラでも珍しい、2ドアクーペ(公称は3ドアハッチバック)、4ドアクーペ、5ドアハッチバックの3モデルの展開となっています。
今では当たり前のDOHCエンジンが全車に搭載されたことが当時話題に。アコードやプレリュードなど、ホンダ車の共通点だった人気のリトラクタブル・ヘッドライトも採用しました。
また、ローバーのOEM車もクイントから継続され、5ドアハッチバックを「ローバー・416i」として1986年から1990年までオーストラリアで販売されました。
宮川 一朗太さんの愛車
俳優の宮川 一朗太さんが20歳のときに乗っていたのは、クイントインテグラでした。所有していたときは、俳優の先輩に「ボディーに顔が映るくらいじゃなきゃダメだ」と言われ、よくワックスがけを行ってい大切に乗っていたそうです。
初代ホンダ インテグラのCM
初代インテグラのCMでは、山下達郎さんの曲がタイアップされ、「 風の回廊(コリドー)」、「僕の中の少年」、 「マーマレイド・グッドバイ -Marmalade Goodbye-」がCM曲として使われました。
初代ホンダ インテグラのスペック・燃費
3ドアハッチバック | 5ドアハッチバック | 4ドアクーペ | |||||||||||
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1600 | 1500 | ||||||||||||
グレード | GSi | RSi | ZS | LS | GSi | RSi | ZS | LS | GS | ZS | VX | RX | GSi |
車名型式 | E-DA6 | E-DA1 | E-DA1 | ||||||||||
全長(mm) | 4,280 | 4,350 | 4,380 | ||||||||||
全幅(mm) | 1,665 | 1,665 | 1,655 | ||||||||||
全高(mm) | 1,345 | 1,345 | 1,345 | ||||||||||
ホイールベース(mm) | 2,450 | 2,520 | 2,520 | ||||||||||
乗車定員(名) | 5 | 5 | 5 | ||||||||||
車両重量(kg) | 960 | 940 | 910 | 890 | 990 | 970 | 950 | 940 | 970 | 950 | 910 | 880 | 990 |
燃費性能(km/L) ※10モード走行 | 14.0 | 14.0 | 14.6 | ||||||||||
エンジン型式 | ZC | ZC | EW | ||||||||||
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | ||||||||||
排気量(L) | 1.590 | 1.590 | 1,488 | ||||||||||
最高出力(PS/r.p.m.) | 135/6,500 | 120/6,500 | 76/6,000 | ||||||||||
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 15.5/5,000 | 14.0/5,500 | 11.8/3,500 | ||||||||||
サスペンション前 | ストラット式 | ストラット式 | ストラット式 | ||||||||||
サスペンション後 | 車軸式 | 車軸式 | 車軸式 |
3ドア(2ドアクーペ)/5ドアモデルは、当時まだ珍しかったDOHCエンジンを採用しています。後からラインナップに加わった4ドアセダンは国内専用モデルでした。
燃料噴射装置搭載の「Si」グレードは、基本的にシビックおよびCR-Xの「Si」と同仕様。足回りも共通していましたが、初代インテグラのキャラクターに合わせて若干マイルドになっています。
2代目ホンダ インテグラ|DA型/DB型系
ホンダ インテグラ 2代目 ZXエクストラ
1989年にフルモデルチェンジされたクイントインテグラ。「インテグラ」へと従来の車名になり、「カッコインテグラ」「調子インテグラ」「気持ちインテグラ」などの通称名が付けられていました。
2代目からは初代モデルのような5ドアハッチバックがなくなり、2ドアクーペ(公称は3ドアハッチバック)と4ドアセダンのみに。4代目EF型シビックとサスペンションを共有しており、前後ともダブルウイッシュボーンへとなりました。
エンジンはこのときからVTECエンジンが搭載され、排気量1.6Lでありながら160馬力を発揮。これにより2代目インテグラはサーキットのレースでチューニングマシンに使われるようになりました。
天皇陛下の愛車として有名
2代目インテグラは天皇陛下が皇居内を自ら運転して移動するときの愛車として有名です。
陛下が自動車免許を取得されたのは昭和29年。20年以上も前に購入したマニュアル車の2代目インテグラを今でも大切に乗られています。
2代目ホンダ インテグラのCM
2代目インテグラのCMには、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で主演したマイケル・J・フォックスが出演。CM中でマイケル・J・フォックスがインテグラに乗りながら「カッコインテグラ」「調子インテグラ」と言っているのが非常に印象的でした。CMの効果もあってか2代目インテグラは大ヒットしました。
2代目ホンダ インテグラのスペック・燃費
2ドアクーペ | 4ドアセダン | |||||||||
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グレード | XSi | RSi | ZXi | RXi | TXi | XSi | ZXi | RXi | ZX | RX |
車名型式 | E-DA6 | E-DA6 | E-DA8 | E-DA8 | ||||||
全長(mm) | 4,390 | 4,390 | 4,480 | 4,480 | ||||||
全幅(mm) | 1,695 | 1,695 | 1,695 | 1,695 | ||||||
全高(mm) | 2,550 | 2,550 | 1,340 | 1,340 | ||||||
ホイールベース(mm) | 2,550 | 2,550 | 2,600 | 2,600 | ||||||
乗車定員(名) | 5 | 5 | 5 | 5 | ||||||
車両重量(kg) | 1,080 | 1,060 | 1,030 | 1,000 | 990 | 1,100 | 1,150 | 1,020 | 1,030 | 1,010 |
燃費性能(km/L) ※10モード走行 | 12.2 | 13.6 | 12.2 | 13.6 | ||||||
エンジン型式 | B16A | ZC | EW | ZC | ||||||
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | ||||||
排気量(L) | 1.595 | 1.590 | 1,488 | 1.590 | ||||||
最高出力(PS/r.p.m.) | 160/7,600 | 120/6,300 | 76/6,000 | 120/6,300 | ||||||
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 120/6,300 | 14.5/5,500 | 11.8/3,500 | 14.5/5,500 | ||||||
サスペンション前 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 | ||||||||
サスペンション後 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 |
エンジンは1.8Lと1.6LのDOHCおよび1.6LのSOHCをラインナップ。1.6L直4DOHCである「B16A型」エンジンはのちに、5代目シビックやCR-X デルソル同様の170PS仕様へとパワーアップが行われました。
3代目ホンダ インテグラ|DC1/DC2/DB8など
3代目ホンダ インテグラ前期型
ホンダ インテグラ 3代目 ハードトップ ESi
3代目にフルモデルチェンジしたホンダ インテグラは、3ドア/4ドアモデルをラインナップ。インテグラではじめてフルタイム4WDが登場しましたが、2代目モデルよりも燃費は向上。14.2km/Lと、優秀な数値でした。
前期型(1993年~1995年)は、4灯ヘッドライトが特徴的。いまだにファンも多いデザインとなっています。
この3代目インテグラは、前後期あわせて歴代インテグラの中でも大きな転換期にあたり、また名作モデルでもあります。
3代目ホンダ インテグラ前期型のスペック・燃費
2ドアクーペ | 4ドアセダン | |||||||
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グレード | Si VTEC | ZXi | ZX | Si VTEC | ESi | ZXi 4WD | ZXi | ZX |
車名型式 | E-DC1 | E-DA8 | E-DB7 | E-DB9 | E-DB6 | |||
全長(mm) | 4,380 | 4,525 | 4,525 | |||||
全幅(mm) | 1,695 | 1,695 | 1,695 | |||||
全高(mm) | 1,335 | 1,370 | 1,370 | |||||
ホイールベース(mm) | 2,570 | 2,620 | 2,620 | |||||
乗車定員(名) | 4 | 5 | 5 | |||||
車両重量(kg) | 1,100 | 1,050 | 1,020 | 1,140 | 1,140 | 1,100 | 1,100 | 1,010 |
燃費性能(km/L) ※10・15モード | 13.8 | 15.2 | 15.2 | 13.8 | 14.0 | 14.2 | 15.2 | 15.2 |
エンジン型式 | B18C | ZC | B18C | B18B | ZC | |||
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | |||
排気量(L) | 1.797 | 1.590 | 1,797 | 1,834 | 1,590 | |||
最高出力(PS/r.p.m.) | 180/7,600 | 120/6,300 | 105/6,300 | 180/7,600 | 145/6,300 | 120/6,300 | 105/6,300 | |
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 17.8/6,200 | 14.5/3,000 | 13.8/4,500 | 17.8/6,200 | 17.4/5,200 | 14.5/3,000 | 13.8/4,500 | |
サスペンション前 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 | |||||
サスペンション後 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 |
3代目ホンダ インテグラ後期型
ホンダ インテグラ 3代目 クーペ SiR-G
前期型の発売から2年後の1995年、ヘッドランプが横長の形状へと変更されたのが、3代目後期型です。
大きな特徴は、ハイスペックモデルの「インテグラ タイプR」が登場したこと。レースに参戦する多くのチューナーがインテグラタイプRをベースにカスタムし、優れた成績を残しました。このモデルは巷で「DC2(ディーシーツー)」と呼ばれ、今でも絶大な人気を誇ります。
※タイプRはについては後述します
安全装備でも、1998年にABSブレーキシステムと運転席、助手席ともにSRSエアバックシステムが標準装備になりました。
3代目ホンダ インテグラ後期型のスペック・燃費
2ドアクーペ | 4ドアセダン | ||||||
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グレード | SiR-G | Ti | Xi-G | SiR-G | Ti | Xi 4WD | Xi-G |
車名型式 | GF-DC2 | GF-DC1 | GF-DB8 | GF-DB6 | GF-DB9 | ||
全長(mm) | 4,380 | 4,525 | |||||
全幅(mm) | 1,695 | 1,695 | |||||
全高(mm) | 1,335 | 1,370 | |||||
ホイールベース(mm) | 2,570 | 2,620 | |||||
乗車定員(名) | 4 | 5 | |||||
車両重量(kg) | 1,120 | 1,050 | 1,070 | 1,150 | 1,080 | 1,150 | 1,120 |
燃費性能(km/L) ※10・15モード |
13.0 | 15.4 | 15.4 | 13.8 | 15.4 | 14.4 | 15.4 |
エンジン型式 | B18C | ZC | B18C | ZC | |||
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | 直列4気筒DOHC4バルブ | 直列4気筒SOHC4バルブ | |||
排気量(L) | 1.797 | 1.590 | 1,797 | 1,590 | |||
最高出力(PS/r.p.m.) | 180/7,600 | 120/6,400 | 180/7,600 | 120/6,400 | |||
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 17.8/6,200 | 14.7/5,000 | 17.8/6,200 | 14.7/5,000 | |||
サスペンション前 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 | |||||
サスペンション後 | ダブルウイッシュボーン式 | ダブルウイッシュボーン式 |
【派生モデル】ホンダ インテグラSJ(オルテグラ)
ホンダ インテグラ SJ
発売時期が3代目と4代目の中間の「インテグラSJ」は、歴代モデルというよりは派生モデルといった立ち位置の車です。
インテグラの名前が付けられていますが、ベース車はシビックフェリオ。シビックフェリオはプリモ店から、インテグラSJは姉妹車としてベルノ店から販売されました。
バルクヘッド(車のエンジン室と客室との隔壁)より前の部分を、ホンダ オルティアと共有しているため「オルテグラ」という愛称でも呼ばれています。
インテグラSJはセダン車らしく充実の装備で、全面UVカットガラス、インパネに木目ウッドパネルも用いられ、通常のインテグラより豪華な仕様になっていました。
ホンダ インテグラSJのスペック・燃費
4ドアセダン | |||
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グレード | VXi | LXi | EXi |
車名型式 | E-EK3 | ||
全長(mm) | 4,450 | ||
全幅(mm) | 1,695 | ||
全高(mm) | 1,390 | ||
ホイールベース(mm) | 2,620 | ||
乗車定員(名) | 5 | ||
車両重量(kg) | 1,030 | 990 | 970 |
燃費性能(km/L) ※10・15モード走行 | 18.6 | 18.4 | 18.4 |
エンジン型式 | D15B | ||
エンジン種類 | 直列4気筒SOHC4バルブ | ||
排気量(L) | 1,493 | ||
最高出力(PS/r.p.m.) | 130/7,000 | 105/6,400 | |
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 14.2/5,300 | 13.6/4,500 | |
サスペンション前 | ダブルウイッシュボーン式 | ||
サスペンション後 | ダブルウイッシュボーン式 |
4代目ホンダ インテグラ|DC5
ホンダ インテグラ 4代目
4代目ホンダ インテグラは、2001年に発売された、このモデルでインテグラは最後のモデルです。
「シャープ&ソリッド・スタイリング」「エキサイティング・パフォーマンス」「セイフティ&エコロジー」を3つの柱として開発されたとのことで、FFスポーツカーの理想形に近いモデルへより近づけることに、ホンダが専念したといえます。
ホンダを代表するクーペモデルのインテグラが大幅なモデルチェンジをしたものの、時すでに世間はセダン車が主流になりつつありました。クーペモデルがすでに人気がなくなり、インテグラ自体が時代に逆行する新車であったことから、4代目インテグラ販売台数は伸び悩むこととなり、2006年をもって生産終了になりました。
4代目ホンダ インテグラのスペック・燃費
2ドアクーペ | |
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グレード | TYPE S |
車名型式 | ABA-DC5 |
全長(mm) | 4,385 |
全幅(mm) | 1,725 |
全高(mm) | 1,395 |
ホイールベース(mm) | 2,570 |
乗車定員(名) | 4 |
車両重量(kg) | 1,200 |
燃費性能(km/L) ※10・15モード走行 | 14.4 |
エンジン型式 | K20A |
エンジン種類 | 直列4気筒DOHC4バルブ |
排気量(L) | 1,998 |
最高出力(PS/r.p.m.) | 160/6,500 |
最大トルク(kg-m/r.p.m.) | 19.5/4,000 |
サスペンション前 | マクファーソン式 |
サスペンション後 | ダブルウイッシュボーン式 |
エンジンはホンダの名機であるK20Aが搭載され、排気量が2.0Lにアップ。ボディサイズは5ナンバーサイズから3ナンバーサイズへとなり、エンジン、車体ともに歴代インテグラ最大になりました。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...