更新
クルマでなければマツダ以外にもあった!我ら国産ロータリー三銃士!【推し車】
ロータリーエンジンといえばかつては低騒音低振動ハイパワーな「未来のエンジン」としてもてはやされたものの、ほとんどのメーカーで製品化は頓挫、国産では唯一マツダのみが成功した…と言われています。
しかし、実際には多くの日本メーカーがロータリーに挑み、四輪自動車以外の分野ではいくつかの実用例がありました。
いずれも燃費や重量面でのハンデが大きく、その後も発展するには至りませんでしたが、もしオイルショックによる燃料高騰がなければ、もっと広い分野で使われていたかもしれません。
ヤンマーディーゼル RM50(船外機・1974年)
2ストローク以上4ストローク未満の燃費性能で大成せず
マツダに劣らぬ勢いでロータリーエンジンへの情熱を燃やしたヤンマーディーゼルが、西ドイツ(当時)でヴァンケル式ロータリーエンジンの特許を持っていたNSUと提携したのは1961年、マツダ(当時は東洋工業)に1年遅れ1年でしたから、目をつけたのはかなり早い方。
そこからどのような開発経緯を経たか詳細は伝わっていませんが、1969年に世界初のロータリー船外機R220(22馬力)を発表、1972年にRM28(28馬力)を発売後、1974年に発売した2ローター50馬力の「RM50」で全盛を迎えます。
しかし、振動が少ないという利点はあったとはいえ、2サイクル以上4サイクルエンジン未満の燃費ではオイルショック後の省エネ思考では甚だ不利で、生産設備もピストンエンジンと異なり高コスト体質だった事もあり、それ以上の製品化は行われませんでした。
ヤンマーディーゼル RH57(チェーンソー・1975年)
作業者の振動障害による職業病克服を狙ったものの、重すぎた低振動機
オイルショック後の省エネ志向で将来が怪しくなっていたロータリー船外機でしたが、その間もロータリーエンジンの研究開発を続けていたヤンマーへ、林野庁から思わぬ声がかかりました。
当時、1950年代に小型軽量化に成功した1人用チェーンソーを使う林業従事者に、エンジンの振動による極度の血行不良で白蝋病などの職業病多発が問題となり、それを解決する低振動チェーンソーのひとつとして、ヤンマーのロータリーが注目されたのです。
船外機で実績のあったヤンマーはただちに世界初のロータリーチェーンソー「RH57」を開発して1975年に林野庁へ納入、改良型のRH600A(1978年)や、枝払い用小型モデルRH350(1979年)も開発します。
しかし、いくら低振動でも当時のべストセラー機に比べ重量過大でトルク不足、1人用小型チェーンソーとしては実用性が乏しいとされ、それ以上発展する事はありませんでした。
スズキ RE-5(オートバイ・1974年)
オイルショックに泣いた唯一の国産ロータリーオートバイ
四輪車にくらべ趣味性の高い二輪車は奇抜なパワーユニットを採用したモデルが多く、Vツイン、空冷星型、ガスタービンと何でもアリの印象があり、ロータリーエンジン搭載バイクもイギリスのノートン コマンダーなどが有名どころ。
日本でもヤマハがヤンマーと共同開発したり、カワサキやホンダが独自開発していたものの、市販にまでこぎつけたのはスズキ RE-5が唯一です。
497ccのシングルローターで65馬力を発揮、日本国内では運輸省(当時)の認可が降りずに正規の市販ができなかったものの(後に逆輸入されたケースあり)、海外で販売が始まるとジウジアーロの個性的なデザインもあって評価は上々。
しかし、直後のオイルショックでたちまち不人気となってわずか2年ほどの販売で終了、スズキとしてもかなり力を入れていましたし、技術がフィードバックされれば四輪でもロータリーカプチーノなどが存在したかも…と、想像をかきたてられる1台です。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
【推し車シリーズ】まとめて読みたい人はコチラ!
メーカー別●●な車3選はコチラ
スポーツカーを中心にまとめた3選はコチラ
「ちょいワルオヤジに乗ってほしい車」などの特集はコチラ
- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...