MOBY(モビー)自動車はおもしろい!

MOBY[モビー] > メーカー・車種別 > シトロエン > C5エアクロスSUV > 「魔法の絨毯」シトロエン C5エアクロスSUV(ガソリン) 試乗レポ – まだ知らない人も一度は体感して欲しい
C5エアクロスSUV

更新

「魔法の絨毯」シトロエン C5エアクロスSUV(ガソリン) 試乗レポ – まだ知らない人も一度は体感して欲しい

日本国内販売も好調なシトロエン。2019年5月にシトロエン初となるSUV「C5 AIRCROSS SUV」が国内デビュー。このときはディーゼルエンジンのみのラインナップ。2020年4月にガソリンエンジン車がラインナップ追加となりました。昨年、ディーゼルモデルには試乗済。はたしてガソリンモデルはどんな乗り味なのでしょうか。

山の中のシトロエン C5エアクロスSUV
今回の試乗コースに選んだのは奥多摩。
シトロエン C5 エアクロスSUVは「コンフォートSUV」という新しい価値をSUVに与えたモデル。

シトロエン C5エアクロス SUVの特徴をおさらい。

C5エアクロスSUV はシトロエンがその乗り味を「魔法の絨毯」と形容するサスペンション「PHC (Progressive Hydraulic Cushions)」を採用していることが最大の特徴。

PHC (Progressive Hydraulic Cushions)
PHC (Progressive Hydraulic Cushions)

PHC (Progressive Hydraulic Cushions)の仕組みは、ダンパーが2つあって(通常1つ)、サスペンションのストローク量が小さい、細かい、遅いときは減衰力を小さくしてとてもソフト(グループPSAジャパンはこれを「ゆるフワ」と伝えている)な乗り心地に、対して凸凹が大きい路面を走るときなどサスペンションが大きく動く状況では、セカンダリーピストンとシリンダーの両方で衝撃をスムーズに吸収して底付き感を最小限にした乗り心地にしているものです。

※グループPSA:プジョー、シトロエン、DS、オペル、ボクソールといったブランドを有する。日本のインポーターでは2019年に旧社名「プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社」から「Groupe PSA Japan株式会社」へ変更。

2台のシトロエン DS
シトロエン DS
オートモビルカウンシル2020にて。

シトロエンはいつの時代も先進的な技術を市販車に投入するブランド。量産車で世界初のFF「トラクシオン・アヴァン(1934-1957年)」、荒れた農道を走破して且つ車内に卵をたくさん入れたかごを乗せて一つも割れないように開発された「2CV(1948-1990年)」、エアサスペンションを全輪油圧制御するハイドロニューマチック・サスペンションを初採用した「DS(1955-1975年)」など、いつの時代も先進的で高いコンフォート性能を有しています。

シトロエン C5エアクロスSUV フロントシート

もう1つ特筆すべきは、シート。そのまま自宅に持ち混んでソファにできる、と言ったら大げさかも知れませんが(筆者的にそれはアリ)、ソフトでたっぷりとしたクッションの座り心地は類を見ません。このシートは「アドバンスドコンフォートシート」と名付けられており、シートクッションの素材となるポリウレタンフォームをシトロエンは徹底的に研究して非常に密度の高い独自の高密度フォームを開発、シート表皮中央部にはさらに15mm分レイヤーを重ねるなど、他の自動車メーカーでは例を見ない構造としています。これはもう、座った瞬間にそのソフトさ加減が体感できるものです。

シトロエン C5エアクロスSUV リアシート
きちんと平等に3人座れる、正3等分リアシート。
たっぷりとしたクッションでふかふかのシートはフランス車の伝統。

120kg軽いガソリンエンジン車は快活でその気になったら速い

シトロエン C5エアクロスSUV エンジンルーム

ディーゼルエンジンに比べて、車重が120kg軽くなったガソリンエンジンのC5エアクロスSUV。このエンジンは「PureTech」と名付けらた1.6Lダウンサイジングターボ。ツインスクロールターボでターボラグがなく低回転からパワーが出て最高出力は180ps/5500rpm 、最大トルクは250N・m/1650rpmのスペックとなっています。(リッターあたり100ps超えはスポーツカークラス)このエンジンはグループPSAのさまざまなモデルに搭載され、世界中で高い評価を得ています。トランスミッションは電子制御8速AT。このクラスで8速とはちょっと贅沢。エンジンとの相性もよく好感が持てます。

シトロエン C5エアクロスSUV 山岳路
オフロード色をあまり感じないデザインではあるが、未舗装路こそC5エアクロスSUVの乗り心地の良さを体験できる。

ガソリンエンジンは軽快でよく回り、車重が120kg軽い分(ディーゼルのナッパレザーパッケージなら150kg差)、ハンドリングも軽快。そしてその気になったら速いクルマです。グループPSAのクルマはどのモデルも「踏んだら速い」「その気になったら速い」んですけどね。以前、この点をシトロエンの技術担当と話をしたら『フランス人はせっかちなんで』と。

シトロエン C5エアクロスSUV シフトレバーとアドバンスド・グリップ・コントロールのダイヤル
丸いダイヤルは「アドバンスド・グリップ・コントロール」。雪道やぬかるみ、砂地などの悪路走行性を高める。シトロエンは全モデル4WDの設定はないが、C3でWRCに参戦した技術をフィードバック。ガチなオフロードでなければFFのSUVでもだいじょうぶ。

車両重量の違いはハンドリングと走りだけでなく、C5エアクロスSUVの乗り心地にも違いがありました。ガソリンモデルに乗って少し走っただけで独特のゆらゆら感、どんぶらこ感をディーゼルモデルより強く感じ、シトロエンらしさが強い印象を受けました。

プジョーのフラッグシップ「508」のガソリン、ディーゼルともにC5エアクロスSUVと同じエンジンを搭載しているのですが、これもどちらも良かったですね。

シトロエン流のインテリア。センターコンソールのインフォテインメントシステムは、カーナビ(オプション)、車両設定、空調設定など機能を集約。Apple CarPlay、AndroidAUTOも対応。
シトロエン C5 エアクロスSUV メータークラスター
メータークラスターはフルデジタル。表示基調カラーはブルー、レッド、ブラウンから選べ、左右のタコメーター、トリップコンピューターの部分は任意に複数の表示項目から選択できる。
スピードメーターが2つあり上部(画像では0表示)は針固定で速度表示部分が回転する。これは1970年代のCX、SMに採用されていたアナログ式ボビンメーターをオマージュしたもの。シトロエンファンなら気の効いた演出と感じるはず。
ハンドルから手を離して縦列駐車、車庫入れができるパーキングアシストは全車標準装備。このほか、アクティブセーフティブレーキ、ハンドル操作支援、アダプティブクルーズコントロールといった先進安全技術は一式装備している。ハンドル操作支援は運転者の好みの車線位置でキープしてくれてナチュラル。

ガソリン or ディーゼル どちらがおすすめ?

ガソリンとディーゼル、どちらがいいか、これはもうユーザーのカーライフスタイル、好みだけで決めてしまってよろしいのではないでしょうか。

PHCサスペンションシステムがもたらすゆるふわな乗り心地、ハンドリングの軽快さを重視するならガソリン。パワフルな走りが好きな方、長距離走行が多い方で経済性を重視するならディーゼル。デメリットで比較するならガソリン車はプレミアムガソリン仕様(欧州車は総じてそう)で燃料費が少し高く付くところ。ディーゼルは低速域のガラガラ音がやや強め(中速域以上では静かでガソリンエンジンと遜色ない)なところ。

燃費は、ガソリンのWLTCモードが13.8km/L、筆者試乗時の平均で11〜12km/L、都市部走行で8〜9km/L、高速道路では16km/L以上のカタログ数値を上回ることも。ディーゼルのWLTCモードは17.1km/L、前回の筆者試乗時の平均で13〜15km/L。

C5 エアクロスSUV ガソリンモデルがラインナップ追加された際、ディーゼルモデルもあわせてタイヤサイズを235/55 ZR18のオールシーズンタイヤから225/55 ZR18の サマータイヤへと変更している。今どきちょっと珍しいタイヤ幅のダウン。これにより乗り味はよりソフトに、ゆるふわになった。

C5エアクロスSUVガソリンの車両価格はディーゼルより23万円安い415万円。(C5エアクロスSUVはシンプルな1グレード「SHINE」のみの構成、ディーゼル車にのみナッパレザーパッケージが設定されている。標準シートモデル同士での比較)

1,000km走行時の燃料費試算はガソリンで約12,000円、ディーゼルで約8,000円。同一条件で1万km走ったとしての差額は40,000円。車両価格の差を埋める分岐点は約57,500kmの走行となります。

※本記事執筆時点でプレミアムガソリン1Lあたりの全国平均価格140円、軽油110円(出典は「gogo.gs」)、実燃費ガソリン11.5km/L、ディーゼル14.0km/Lとして試算。

ざっくりとした試算ではありますが、プレミアムガソリン仕様だからという理由だけで敬遠する理由はあまりなさそうです。乗り味の好みだけでガソリンかディーゼルを選択して問題ないでしょう。

シトロエン C5エアクロスSUVの試乗を終えてつくづく思ったのが、ゆるふわで独特の世界観を持ったクルマということ。好きな人にはぶっ刺さることでしょう。まだ一度も体感したことがない方、ぜひ一度はディーラーで試乗を。乗って100mも走ればおわかりいただけるかと。筆者的にはぶっ刺さりました。

最後に。フランス車は壊れやすい、というのは昔の話。近年のシトロエンはそうそう壊れなくなっていますよ。

※CITROËN C5 AIRCROSS SUV のスペック、仕様詳細は公式HPでご確認ください。

執筆者プロフィール
宇野智
宇野 智
モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...

\ この記事が役に立ったらシェアしよう /

MOBYをフォローして最新記事を受け取ろう

すべての画像を見る

コメント

利用規約

関連する記事

関連キーワード