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“過去の名車を再現”、現代では不可能?1990年代レトロブームで登場した国産セルフリメイク車たち【推し車】

日本だとまだ難しい?名車のセルフリメイク事情

この三菱 パジェロJr フライングパグ(1997年)もレトロカーとして出来はいいのだが、過去の三菱A型(1919年)に似ているでもなく、どっちかといえば戦前のダットサン風

海外では盛んに行われている「過去の名車リメイク」ですが、それらの元ネタとなるクルマは1960年代以前のものが多く…日本だと戦後にようやく現存する自動車メーカーが本格的に動き出したばかり、意欲はあるもののまだまだ空回りしていた時期です。

「その頃のクルマをリメイクしよう」と言っても、どこかの国のクルマを模倣していたりで「日本以外で見た事あるような?」という例も多いからか、あまりセルフリメイクは進んでいないものの、1990年代に流行ったレトロブームでいくつか実現しました。

トヨタ クラシック(トヨダAA型のリメイク・1996年)

左上はトヨダAA型の前身として試作されたトヨダA型、右下がトヨタ クラシック

1980年代後半の日産パイクカー軍団が火をつけ、1990年代に隆盛を極めた「レトロカーブーム」は多くのレトロ調デザインを生んだものの、ほとんどは海外の古いクルマ風にアレンジしたものが多く、それもバンパー交換とメッキ加飾でお気軽に、というパターン。

しかし日本でも戦前から国産車はあったし、セルフリメイクの元ネタならあるじゃないか!とばかりに、トヨタが1936年に発売したトヨダAA型を復刻したのが「クラシック」。

ベースは当時のハイラックス、ラダーフレーム車なのでボディの載せ替えはフルモノコック車より容易で、トヨタテクノクラフト(現・トヨタカスタマイジング&ディブロップメント)が作ったAA型風クラシックボディをドン!と載せたあたり、かなり本格的でした。

一応キャビン周りにはハイラックス・ダブルキャブの面影があるかな…?というくらい徹底的に改造されており、ハイラックスと同じ2リッター直4SOHCエンジン(3Y-E)を積み、型式もYN86改と「ハイラックス改」という事になっているとはいえ、新造車も同然です。

なお、フロント周りだけ改造したクラシック調ピックアップトラック版もありますが、こちらはトヨダG1トラックのリメイク…と呼ばなかったのは少々残念。

初代ダイハツ ミラジーノ(コンパーノ?・1999年)

コンパーノがモチーフと言われると、そう見えないこともなく、しかし一番似ているのは旧ミニか、ライバルであるスズキのスズライトバンFEという初代ミラジーノ (右下)©DCTMダイチャレ東北ミーティング

発売時に「1963年に発売した当社のコンパーノをモチーフに…」とは言ったものの、誰がどう見ても「これイギリスのミニだよね?」と言われてしまったのが、初代ミラジーノ。

もっとも当のダイハツ自身が本音と建前を使い分け、BMCが1959年に発売した旧ミニの定番ドレスアップパーツ、「ミニライト」ホイールをミラジーノに装備してグレード名にしたほか、旧ミニ風ドレスアップパーツをオプション設定したり悪ノリしたのも確か。

確かにフロント周りは昔のコンパーノ風ですが、ハッチバック軽自動車の5代目L700系ミラをベースにした段階でミニにしか見えませんし、何ならコンパーノと同じ1963年に発売した、スズキのスズライトバンFE型の方がよほど似ていたり。

ダイハツは2000年まで、4ドアセダンのアプローズやシャレードソシアルを販売していましたから、こちらをベースにすれば「もっとコンパーノ」だったかもしれませんが、モデル末期の不人気車をベースに高価な限定車を作るより、普通に売れるクルマを選んだわけです。

トヨタ オリジン(初代クラウンのリメイク・2000年)

プログレをベースによくぞここまで作り込んだものだと、称賛したくなるトヨタ オリジン

クラシックが結構話題になったことで味を占めたか、あるいは5ナンバー級ボディの「小さな高級車」、プログレの登場でちょうどいいベース車になると考えたか、トヨタのセルフリメイク第2弾として誕生したのがオリジン。

リメイク元は1955年に発売した初代トヨペットクラウンRSでしたから、プログレがベースだとスマートすぎるのが難点ではあったものの、1,000台ちょっとしか作らない限定車なのに700万円と今考えれば激安で、観音開きドアもちゃんと実装したのは立派でした!

初代クラウン、特に初期型はアメ車をチョロQ化したようなズングリムックリのデザインでしたから、2003年まで作っていたハイルーフセダンの5代目ビスタをベースにすれば、より近いイメージにはなったものの、エンジンや質感を考えればプログレが正解でしょう。

なお、このオリジンが出て以降、単純な衝突安全基準だけでなく、歩行者への被害軽減なども考慮されて車体形状の制約が増え、突起物や装飾物を思うように配置できなくなって、このような「昔の名車のソックリさん」は作りにくくなりました。

オリジンはそういう制約に縛られる前に作れたセルフリメイク作品として、最後のチャンスを活かせたかもしれませんね。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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