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マニュアル車(MT)メリット・デメリットを紹介!選び方とおすすめ車種も
マニュアル車(MT)オートマ車(AT)の違い
マニュアル車(MT)とは
マニュアル車とは、自分で変速をしてスピードに応じて最適なギヤを選んで運転する車の変速方式のことを言います。
正式名称を“マニュアルトランスミッション”といい、その頭文字を取ってMTと省略して呼ばれることもあります。
マニュアル車の特徴は、なんといっても運転席左側に設置されたシフトノブとクラッチペダル。
オートマ限定免許しか持っていない方にとっては一体何の装置なのか分からない方もいるかもしれません。
マニュアル車は手動でシフトチェンジをしなくてはならないため、走行中は
- アクセルペダル
- ブレーキペダル
- クラッチペダル
- シフトチェンジ
これら4つの操作を必要とします。オートマ車に比べて複雑な操作が必要ですが、“車を運転している”感覚は非常に強い変速方式です。
2ペダルマニュアル(DCT)
最近ではDCT車、通称“2ペダルマニュアル”といった仕様の車も発売されています。このDCTはシフトチェンジは自分で行うものの、クラッチ操作は必要ない特殊なミッションです。
エンストの心配もありませんので、マニュアル車とオートマ車のいいとこ取りをしたような操作方法と言えますね。
しかし、残念なのはDCT搭載の国産車は非常にラインナップが少なく車体も高価という点。
搭載車の一例を挙げると
- ホンダ NSX
- 三菱 ランサーエボリューションX
- ニッサン GT-R
などなど。どれも高級車ばかりです。
例外的にフリードや、フィットなど一部のホンダ車にも搭載されてはいますが、普及しているシステムとは言い難いシステムです。
オートマ車(AT車)とは
オートマ車とはマニュアル車と違い、変速を自動で行ってくれる変速方式です。正式名称をオートマチックトランスミッション。その頭文字を取ってATと略すこともあります。
伝達効率の悪さや、ミッションの重さなど、マニュアル車に比べてデメリットもありますが、運転操作がシンプルかつ容易になるので、現在発売されている車両のほとんどがオートマ車となっています。
また、オートマ車しか運転できないオートマ限定免許は、普通自動車免許に比べて取得費用が安く、教習時間も少ないことから取得者が年々増加傾向にあります。オートマ車の普及にはこういった背景もあるかもしれませんね。
CVT車
よくオートマ車と混同されがちなのがCVT車。カタログ表記などを見ると“AT”と“CVT”の2つが表記されていることから「この違いは何だろう?」と疑問に思っている方もいることでしょう。
結論から言ってしまえば、ATもCVTも変速操作が必要ないという点では両者は全く一緒です。
ただし、構造的には全くの別物で、制御方式も異なることからミッション形式の呼び方は変わります。
内部の仕組みについては割愛しますが、「オートマ車と一口にいってもATとCVTの2種類があるんだ」程度に認識しておけば問題ないでしょう。
マニュアル車(MT車)のメリット
今となっては貴重なマニュアル車。中古車市場ではオートマ車より高価になっていることの多いこの形式の車には、どの様なメリットがあるのでしょうか。
ここからはマニュアル車のメリットをご紹介していきます。マニュアル車の購入を検討されている方は是非参考にしてみてくださいね。
マニュアル車のメリット①運転が楽しくなる
“車の運転が好きで、レーシングカーのようなシフトチェンジにあこがれる”そんな方にとっては、マニュアル車は運転が楽しくなる車になること間違いなしでしょう。
正直に言ってしまえば、現行の最新制御システムを搭載したオートマ車にマニュアル車が勝っている部分はほとんどありません。(強いて言えばバッテリーが上がってもエンジンをかける手段があるという程度でしょうか。)
そのような現状で、マニュアル車を選ぶメリットは“車の運転が楽しくなる”以外にはないのではないと言えるでしょう。
もちろんマニュアル車ならではの良さはあります。けれども車の運転が好きではない方にとっては“ただ操作が面倒な車”となりかねません。
購入してから後悔しないように、まずはご自身があらためて運転が好きなのか再確認してみるといいかもしれませんね。
マニュアル車のメリット②ペダルの踏み間違い事故が起こりにくい
最近何かと話題のペダルの踏み間違い事故。マニュアル車であれば、これらの事故が発生するリスクを軽減することができます。
参照:鳥取環境大学情報システム学科 鷲野翔一氏「ドライバー心理と安全運転」
こちらの画像は、鳥取環境大学情報システム学科の鷲野翔一氏が“ドライバ心理と安全運転”という発表に使用したデータです。
車100台あたりの事故率をマニュアル車とオートマ車で比較すると、マニュアル車の方が事故率が低いことが分かります。
もちろんこのデータは、サンプルを取った年数が古く、またペダルの踏み間違い事故に限定した話ではありませんので信憑性が高いデータとはいえません。
とはいえ、ペダルの踏み間違い事故が注目される以前から、オートマ車は事故率が高い傾向があるという参考資料にはなるでしょう。
また、マニュアル車の踏み間違い事故が少ない理由として、“マニュアル車はシフトノブの操作方法が独特”ということも考えられます。
オートマ車のシフトレバーは簡単な操作でドライブ、バック、ニュートラルと選択できます。しかしマニュアル車はそうはいきません。
シフトチェンジにはクラッチペダルを踏む必要がありますし、Hパターンのシフトノブはバックと前進の位置が対極にあり、操作ミスをすることはほぼないでしょう。
こういった運転の複雑さがペダルの踏み間違い事故を防止し、事故率の低下に役立っているのではないかと推測できます。
マニュアル車のメリット③万が一の際に強い
マニュアル車のメリット3つ目は、万が一の際に強いという点です。例えば突然のバッテリー上がり。
オートマ車はバッテリージャンプしてエンジンをかけるしかありませんが、マニュアル車は“押し掛け”といってバッテリーの動力を使わずにエンジンを始動することができます。
押し掛けは車を人力で少し動かさなくてはいけませんので、できる条件は限られています。
それでも人通りの少ないのないところでバッテリー上がりなどのトラブルに遭遇しても、最悪自分一人でエンジンをかけられる可能性があるのはマニュアル車ならではの強みです。
また、ミッションの故障時にもマニュアル車は強さを発揮します。仮にオートマ車であれば、ミッションの故障はそこで走行不能です。
ところがマニュアル車であれば、壊れたギアを使用せずに走り続けることが可能。安全な場所まで移動してレッカーを呼ぶ余裕があります。
すべてのトラブルに対応できるわけではありませんが、万が一のトラブルが発生しても、対処できる選択肢の幅が広いのは、マニュアル車のメリットと言えるでしょう。
マニュアル車(MT車)のデメリット
メリットに目を向けるといいことばかりのように思えるマニュアル車ですが、デメリットも多くあります。マニュアル車への乗り換えは、こういったデメリットをしっかり把握して、後悔のないようにしてくださいね。
マニュアル車のデメリット①運転操作が複雑
先ほどからお伝えしている通り、マニュアル車は運転操作が複雑です。オートマ車であればアクセルとハンドル操作だけで気軽に運転できますが、マニュアル車はクラッチ操作とシフトチェンジが必要です。
スムーズに運転するには、常に運転操作に気を配らなければならず、ドライブの疲労感はオートマ車以上。
渋滞に巻き込まれた日には、クラッチを踏む足が筋肉痛になることもあります。
何かと操作が多いマニュアル車は、買い物の足といった日常使いには不向きな車と言えます。
マニュアル車のデメリット②消耗部品が高額
マニュアル車を長く乗っていると、必ず交換しなくてはいけない消耗品があります。その名も”クラッチプレート”。
クラッチプレート交換費用は、車種によってまちまちですが、安くても5万円以上の費用が掛かります。
高価な車両ではクラッチプレートの交換に10万円以上掛かることも珍しくなく、マニュアル車はメンテナンス費用が高額な車といえます。
肝心のクラッチの寿命は、使い方にもよりますが、おおよそ10年もしくは10万キロ。パワーの出ている車や激しい運転を繰り返した車両ほど寿命が短くなります。
他にもシフトノブを支えている“シフトリンケージ”やクラッチプレートを押さえる“クラッチカバー”などオートマ車にはない交換部品が多数存在し、メンテナンス費用がかさみます。
しかし、細かな部品交換ができるマニュアル車はその分修理しながらいつまでも使えるというメリットもあります。(オートマ車のトランスミッションは基本的に分解修理不可)
ただ、最新のマニュアル車がこれらの部品を交換する場面はまだまだ先の話になるでしょう。ですので今回はデメリットの一つとして取り上げました。
マニュアル車のデメリット③運転免許の種類によっては運転できない
マニュアル車はオートマ限定免許では運転ができません。新車販売台数の90%以上がオートマ車という現在のトレンドにおいて、“運転免許はオートマ限定”という方も少なくないはず。
マニュアル車にいざ乗ってみようと思ったとき、もしあなたの運転免許がオートマ限定免許だった場合は限定解除が必要です。
ソニー損保が行った20歳のカーライフ意識調査の結果を見ると、なんと20歳の免許保有者のうち、約7割がオートマ限定免許という結果が出ています。
つまり、今の若者のほとんどは、マニュアル車を運転することができない免許というわけです。
ただでさえ運転が大変なマニュアル車なのに、免許まで変更しなくてはいけないとなると、マニュアル車はなかなか敷居の高い乗り物になってしまいます。
免許保有者であっても運転できる人とできない人が存在するマニュアル車は、複数人でシェアすることもできず、普段使いで乗るにはデメリットの大きな車と言えるでしょう。
マニュアル車(MT車)の失敗しない選び方
新車販売台数も減少傾向にあり、中古車市場でもマニュアル車の存在が少なくなってきている今、失敗しないマニュアル車の選び方は車選びで重要なポイントとなります。
ここからは失敗しないマニュアル車の選び方をご紹介します。
運転ポジションをベストな状態に調整できるか
まずマニュアル車を選ぶ場合、運転席に座ってクラッチペダル、シフトノブ、ハンドリング、これらの操作がスムーズに行えるポジションに調整できるか確認します。
操作の多いマニュアル車ですので運転ポジションは最適に調整しないと疲労感は増すばかり。折角のスポーツドライブ体験が台無しです。
例えば、よくあるマニュアル車の選びの失敗にホンダ S2000があります。
この車はスポーティな見た目がカッコよく、FFスポーツカーが主流のホンダ唯一のFRピュアスポーツカーです。ところがこの車、残念ながらハンドル位置が調整できません。
コンパクトなこの車に大柄な人が乗ると、たいていハンドル位置が苦しくなり、スペーサーを入れたりシートポジションを極端に変更して無理やり運転しやすいように調整したりします。
本当にS2000が好きな方であればそれでもいいですが、マニュアル車選びをしている段階ではそういった車はおすすめできません。
何より窮屈なドライブは運転が楽しくなくなってしまいますからね。失敗しない車選びの鉄則は“まず座ってみて、しっくりくるかどうか”を確かめましょう。
試乗させてもらう
中古のマニュアル車を検討している場合、できれば一度試乗させてもらいましょう。
一度試乗させてもらえれば、その車のクセや状態がすぐに分かります。クラッチの踏み加減はどうか、繋がりが浅すぎないか、半クラが少なすぎないかなど、とにかく違和感がない車を選びましょう。
ちなみに、試乗時のワンポイントチェックとして“クラッチすべり”は必ず確認することをおすすめします。
見た目にきれいな車両でも、クラッチが滑ってしまっていては、すぐにクラッチ交換が必要です。納車してすぐにクラッチ交換、なんて事態にならないように必ずチェックしましょう。
クラッチすべりのチェック方法
クラッチのすべりチェックは2速発進をしたときの車の挙動で判断します。車の挙動とクラッチの摩耗度の関係は以下の表を目安にしてみて下さい。
アクセルを強めにあおらないとエンストする | クラッチ問題なし |
アクセルをあおらなくてもエンストしないクラッチを繋いでいるのに半クラが長いように感じる | クラッチの摩耗が疑われる |
アクセルをあおらなくてもエンストしないクラッチを繋いでいるのに加速せず、回転数だけ上がってしまう | クラッチ交換時期 |
これはあくまで目安ですが、過走行マニュアル車を購入するときは意外とこのチェックは役立ちます。
「車体は気に入ったのだけれどクラッチの摩耗が疑われる」というときには、購入時にクラッチ交換の見積もりも合わせて相談してみるといいかもしれませんね。
おすすめのマニュアル車(MT車)5選
ここまで読んでくれた読者の方は、恐らくもうマニュアル車に乗りたくて仕方がないのではないでしょうか。
そんなあなたに向けて、おすすめのマニュアル車5選をご紹介します。
トヨタ 86
現行のマニュアル車の中で最もおすすめなのがトヨタ 86。往年の名車AE86、通称“ハチロク”の名を冠するこの車は、コンパクトFRスポーツの楽しみを最大限に引き出してくれる1台です。
スバルとの共同開発であったため、エンジンはスバル譲りの水平対向エンジン。水平対向ならではの低重心レイアウトは抜群の走行安定性能を誇り、サーキットからワインディングまで幅広く楽しめます。
新車価格も300万円台からと比較的購入しやすい点も好印象。今マニュアル車を選ぶならトヨタ 86で決まりでしょう。
- 最新「86」中古車情報
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本日の在庫数 1203台 平均価格 208万円 支払総額 88~866万円
トヨタ GRカローラ
カローラと聞いて侮ることなかれ。トヨタ GRカローラは“ずっと走らせていたくなるスポーツカー”と銘打って発売したトヨタの最高峰スポーツモデルです。
ずっと走らせていたくなる車だけに、2021年にはスーパー耐久にも参戦。マスタードライバーのモリゾウ(豊田彰男会長)もドライバーとして参加したことから話題となりました。
GRカローラはエンジン、駆動系、ミッション、そのどれもが最高の技術水準で製作されており、エンジンに至ってはわずか1.6リッタ―ながら最高出力304PSというモンスタースペックへと仕上げられています。
「ただ走れるマニュアル車では物足りない」そんな方には野性味あふれるスポーツカー、トヨタ GRカローラがおすすめです。
ホンダ S660
ライトウエイトな軽自動車で、キビキビ走るマニュアル車に興味がある方はホンダ S660がおすすめです。
この車は残念ながら2022年で生産終了となってしまいましたが、未だ現役のマニュアル車です。
大量生産、コストダウンが中心となっている昨今の車づくりにおいて、ホンダ S660は異端な存在です。
なにせほとんど手作りで作られるS660の車体は、軽自動車とは思えない精度の作り込みが施され、そのクオリティは下手なスポーティーカーよりもよっぽど格上です。
キャッチコピーは“世界で一番「笑顔が似合うスポーツカー」”S660はすべてのオーナ―を笑顔にする魅力が詰まった一台です。
- 最新「S660」中古車情報
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本日の在庫数 584台 平均価格 228万円 支払総額 109~440万円
スズキ アルトワークス
おすすめのマニュアル車と言われて忘れてはいけないのがスズキ アルトワークス。初代アルトワークスの誕生から28年。熟成に熟成を重ねたこの車は、軽ホットハッチの最高峰として今も活躍しています。
デビュー当初はスズキの最新トランスミッションAGSが注目されていましたが、当然マニュアル設定も用意されています。
燃費志向の現代車とは一線を画する、アグレッシブな一面を見せるアルトワークスは、軽マニュアル車の中ではS660と並んでおすすめです。
- 最新「アルトワークス」中古車情報
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本日の在庫数 525台 平均価格 138万円 支払総額 25~318万円
マツダ ロードスター
ロードスターと言えば、ツーシーターのオープンカーですよね。最新型のロードスターもそのコンセプトは一切変わらず、ボディタイプはツーシーターのオープンカー。
トランスミッションも6速マニュアルを搭載し、オシャレと走りの双方を両立します。
マツダのこだわりである「人馬一体」の車づくりはもちろんロードスターにも継承。高速走行でも安定したコーナリングを実現するKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)は車の旋回性能を極限まで高めてくれます。
街乗り、サーキット、ワインディング、そのどれもで運転の楽しみを最大限に提供してくれるマツダ ロードスターは、貴重な現代のマニュアル車です。
“自分一人の世界を楽しみたい”そんな方にいかがでしょうか。
- 最新「ロードスター」中古車情報
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本日の在庫数 1190台 平均価格 210万円 支払総額 37~543万円
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...