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マニュアル車(MT車)の運転方法・出発手順は?エンストしないコツも
目次
【運転前に】マニュアル車の基礎知識をおさらい

右足でアクセル、ブレーキ。左足がクラッチ
マニュアル車には3つのペダルが取り付けられています。一番右のペダルがアクセルペダル、真ん中がブレーキペダル、そして一番左がクラッチペダルです。
右足でアクセルペダルとブレーキペダルを、そして左足でクラッチペダルを操作するのが基本です。スポーツ走行の特殊な場面では、右足でアクセルペダルを踏むと同時に左足でブレーキを操作することもあります。
その他、車両ごとのレイアウトで、各ペダルの間隔やペダルの大きさ、運転席との相対的な位置が異なることが多いです。
クラッチペダルを踏んでシフトレバーを動かす
マニュアル車の場合、停車状態から動き出すにはアクセルペダルとクラッチペダルの両方を操作する必要があります。これは、マニュアル車に搭載されているトランスミッション(変速機)の構造によるものです。
マニュアル・トランスミッションが使われている車を動かすには、クラッチペダルを踏んだ(動力を遮断した)状態でシフトレバーを動かして速度に適したギア(歯車)を選び、アクセルを煽って(回転数を一定以上にする)クラッチペダルを戻す(離す:動力を繋ぐ)という一連の動作をする必要があるのです。
文字で見ると難しいですが、結局は慣れるかどうかですので、問題ないでしょう。
AT限定免許では運転できない
所有免許がAT限定免許では公道でマニュアル車を運転することができません。ただし、AT限定免許でも、限定解除をするとマニュアル車の公道での運転が合法となります。
エンストしないスタート・停車のコツ

停車状態から発進するコツ
停車状態からエンストせずに発信するためのコツは、エンジン回転数を少し高めに保つことです。エンジン回転数が低すぎると(0になると)エンストするわけですから、そうならないようにすればよいのです。
2,000〜3,000rpmくらいのエンジン回転数になるようにアクセルペダルを踏み、クラッチを少しつなぎます(半クラッチ)。
すると自動車が少し動き出し、同時にエンジン回転数が下がります。そのままアクセルペダルを踏み続け、回転数が低くなったエンジンが再び上がり始めたらクラッチを離せば、発進は成功です。
停車する時のコツ
減速して止まり切る手前でニュートラル状態にするのがポイントです。
ギアに入れた状態でブレーキを踏み停車すると、同時にエンストしてしまいます。ですので、エンストする前にクラッチを踏むか、ニュートラルの位置にシフトレバーを動かしましょう。
スムーズなギアチェンジ(変速)のコツ

スムーズなギアチェンジのコツは無理矢理ギアを入れようとしないことです。クラッチを確実に切ってからシフトレバーを操作しましょう。
不適切なギアチェンジはトランスミッションの破損やエンジンブロー(エンジンが壊れること)の原因になることもあります。特に多いのがシフトダウン時のミスです。
Hパターンの5速マニュアル・トランスミッションで右下にバックギアがあると仮定すると、5速から4速にシフトダウンしようとして2速に入れてしまうことがあります。これをすると、エンジン回転数が急激に異常に上がることでエンジン破損となることが多いです。
シフトアップの場面では、4速から5速へ変速しようとして間違えて3速に入れてしまうトラブルが見受けられます。これもシフトダウン時と同じ理屈で危険です。
シフトミスが起きやすい変速では、より意識してシフトレバーを操作するようにしましょう。
スムーズな坂道発進のコツ

免許取得時の山場とも言われている坂道発進。平地と比べると発進は難しいですが、これも慣れでなんとかなります。サイドレバーを使ってもよし、さらに慣れればサイドレバーを使わなくても楽々発進です。
サイドレバーを使う場合
ブレーキペダルから足を離した時に車が下がってしまうのを防ぐために使う常套手段がサイドブレーキを使った坂道発進の方法です。車を動かしたいのにブレーキを使うのも変な話ですが、安心感があります。
サイドレバーを引いた状態で通常通りにアクセルを踏みクラッチをつなぎます。
サイドレバーを引いた状態で車が動き出したら、レバーを戻して加速する感じです。慣れてくればクラッチのつながり具合とエンストしない感じがわかるので、積極的に挑戦しましょう。
サイドレバーを使わない場合
サイドレバーを使わないで坂道発進をすると、クラッチミートして車が動き出すまでのあいだ、車は下がっていきます。
この方法では素早くクラッチを繋いで動き出すこと、焦らないことがポイントです。平地の時よりエンジン回転数高めでクラッチを繋げば、気持ちよく決まることでしょう。
エンジンストップ・駐車時のコツ

ギアをニュートラルにしてサイドブレーキを引く
エンジンを切るときには基本、ギアをニュートラルの位置にします。サイドブレーキを引いて車が動かないことを確認して、エンジンを切ってください。
もしもの時を考慮してギアも入れておく
サイドブレーキを引いただけですと、効きが甘かった時や破損(よっぽどありませんが)した時に車が無人で動くことになります。
そこで、ブレーキを何もかけていない状態で下がっていく方向と反対方向に進むギアへシフトを入れておきましょう。上り坂で前向き駐車なら前進ギア、下り坂ならバックギアです。
【上級者向け】MT車を楽しく運転するためのテクニック

サイドレバーが設置され、クラッチペダルを踏むことでエンジンの動力を遮断できるマニュアル車の構造を利用すると、AT/CVT車や電気自動車では(ほぼ)できない運転を楽しむことができます。
一部のテクニックは一般道ですると非常に危険なため、ジムカーナ会場やダートラ会場などの専用コースや、広い私有地などで練習・実践してください。
ブリッピン(シフトダウン時にアクセルを煽る)
シフトダウンをする際のニュートラル時にアクセルを煽ってからクラッチを繋ぐテクニックです。
変速機の構造上、速度一定で走っているときにシフトダウンするとエンジン回転数が上がるので、だったらギアを変える前に回転数を上げておこうという理屈です。
例えば4速から3速へのシフトダウンの手順を記すと次のようになります。
1. クラッチを切る
2. シフトレバーを4速から3速へ入れると同時に、アクセルをひと踏みあおる
3. クラッチを繋ぐ
わかりにくいのが2の過程の「アクセルをひと踏み」でしょう。実際に4速から3速へシフトダウンしたときに回転数がどれくらい上がるかを確かめておくと、「大体これくらいアクセルあおれば良いかな」とイメージを掴みやすいです。
ダブルクラッチでのブリッピング(稲妻シフト)
意図的にクラッチを2回踏んでブリッピングすることをダブルクラッチと言います。
ブリッピングではクラッチを切った状態でエンジン回転数を上げましたが、ダブルクラッチではクラッチが繋がった状態でそれを行います。具体的なやり方は次の通りです。
1. クラッチを踏んでニュートラルにしたらそのままクラッチを繋ぐ
2. ニュートラル+クラッチが繋がった状態でアクセルをあおる
3. すかさずクラッチを切ってギアを落とし、クラッチを繋ぐ
ダブルクラッチでのブリッピングができるようになるといろいろメリットがあります。こちらの記事で紹介しているので、合わせてご覧ください。
ヒールアンドトゥー(ブレーキしながらのブリッピング)
ダブルクラッチでシフトダウンできるようになったら、次はヒールアンドトゥーをやってみましょう。
ブレーキ・シフトダウン・ブリッピングを同時にこなすテクニックです。ダブルクラッチを使ったヒールアンドトゥーにも挑戦してみましょう。やり方は以下の通り。
1. ブレーキを踏む。
2. クラッチを切って変速 + つま先でブレーキを踏んだまま足の裏真ん中・踵でアクセルペダルをあおって回転数を上げる。
3. クラッチを繋ぐ。
FR・4WDのサイドターン
サイドブレーキを使ってリアタイヤをロックさせて急旋回するテクニックがサイドターンです。
ラリーやダートラ、ジムカーナなどのモータースポーツ競技で使われるテクニックになります。ステアリングを進行方向に回した状態でリアタイヤをブレーキロックさせ、少ない半径で回転(Uターン)します。
大回りせずとも方向転換できるのがメリットですが、一般道でするには危ないので、専用コースや私有地でやるのが基本です。
FF車(前輪駆動車)の後輪は駆動していないのでキッカケとサイドブレーキを引くだけですが、後輪駆動車(FR・MR)や4WD車(全輪駆動車)でサイドターンをするにはクラッチを切って動力を遮断し、後輪がブレーキロックしやすい状況を作る必要があります。
また、最近の車の多くには横滑り防止装置のような電子制御が採用されていますので、サイドターンをする前にはそういった制御をオフにしておくとよいでしょう。
ペーパードライバー教習受講もおすすめ

日頃はAT車を運転していてマニュアル車の運転方法を忘れてしまったという時にはペーパードライバー教習を受けてみましょう。
助手席に教員を乗せた状態で運転するので、いろいろアドバイスを受けられます。
日本国内ではマニュアル車の数が減少していますし、世界的にも内燃機関の移行を行うとの声が強く、近い将来にマニュアル車を新車で購入できるのかどうかわからないところです。
運転できるうちにマニュアル車を運転したり、新車・中古車問わず欲しい車種を入手するのをおすすめします。
ペーパードライバー講習って効果あるの?詳しくはコチラ
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