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車の原価はどうやって決まる?物価高は自動車業界にも影響が

車の値段はどうやって決まっている?

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消費者、つまり自動車ユーザーの手に届くまでには、最低でも製造を担当するメーカーと販売を担当するディーラーという2つの会社を経由しています。それぞれがメーカーからディーラー、ディーラーからユーザーへ車を売っていくときに、利益を出しているというわけです。

わかりやすく言えば、トヨタや日産といったメーカーが車を作り、「○○(地域名)トヨタ」や「○○(地域名)日産」といった販売店が、新車の販売を一手に引き受けます。

ですので、車の値段には製造コストと販売コストが含まれています。これがいわゆる定価です。

そのうち、原価や利益はどのくらいなのでしょうか?

一般的に工業製品は、原材料費がおよそ30%程度かかっていると言われています。つまり、メーカーから出る際の卸売り価格に30%をかけた金額が、おおよその原材料費です。

例えば卸売価格が240万円、新車販売価格(定価)が300万円の場合、原材料費はおおよそ72万円程度ということになります。定価300万円の車の場合、卸売価格240万円-原材料費72万円-人件費・光熱費等約80万円で、台当たりの利益は、卸売価格の3割~4割と言ったところが平均的な数字です。

物価高は自動車業界にも大きな影響を与えている

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水道光熱費や食品など、生活に身近なものがどんどん値上がりしている昨今。自動車も例外ではなく、続々と価格改定が行われています。世界情勢や新型コロナの影響、急激な円安など、価格が上昇する要因は様々です。

車の部品のほとんどは、鉄とプラスチックです。鉄の材料は鉄鉱石や原料炭、プラスチックは石油化学製品となります。鉄鉱石・石油ともに価格が上昇しているのは、ニュース等で報じられている通りですし、鉄鉱石や石油を加工し製品化する費用も、電気代の高騰などで値上がりしているのです。

また、自動車部品の製造や、自動車自身の組み立てを行う際に電力が欠かせません。電気代の高騰は、それぞれの家庭でも感じられる通りでしょう。自動車工場でもこれは同じことで、原材料+電気代上昇で、以前は3割程度だった原材料費が車両卸売価格の4割を超えるというケースも珍しくないようです。

さらに、自動車に欠かせない部品となった半導体も不足し、価格も高まっています。

部材や部品は大量発注を行ってコストを下げていますが、現状、製造側コストは以前の1.5倍から2倍近くに増加しており、製造側の努力だけでは賄いきれない状態になっているのです。

各メーカーはモデルチェンジのタイミングで車両本体価格を上げていますが、それでもコスト高にはついていけない状況。ついには、モデルチェンジタイミングとは関係ない単純な値上げも行われました。

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実際に車の原価はどのくらい上がっている?

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鉄鋼新聞に掲載されている鉄鋼市場価格は、月日を増すごとに値上がりしています。厚板(16~25mm)の1トン当たりの価格は、2022年2月に13万6,600円だったものが、2023年1月には14万8,100円と約9%値上がりしました。

プラスチック原料は1キロリットルあたりの平均価格が、2020年には3万1,300円だったものが、2022年には72,500円と2.3倍の価格になっています。

また、安全装備や環境対策にかかる費用も上乗せされていき、高性能で高機能の車を作るには、より多くのお金がかかるようになりました。

コロナやウクライナ情勢の悪化が叫ばれる前の2020年頃から考えれば、車の原価は1割以上の上昇に転じていると考えられます。

実際に、日産自動車と三菱自動車は電気自動車リーフやサクラ、eKクロスEVとアウトランダーPHEVの価格を改定しています。日産の主力EVであるリーフでは103万円値上がりしたグレードもあり、その値上げ幅は20%を超えました。サクラやアウトランダーPHEVでは4~5%の値上げ幅となっています。

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新車が値上げされても自動車ディーラーには依然として辛い状況

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先ほどの定価300万円(税抜)の車を、ディーラーは240万円で仕入れたとします。定価と仕入れの差が、ディーラーの儲けとなるので、現状では60万円が利益となりますが、その通りの利益がディーラーに入るわけではありません。

ディーラーでは、営業マンの人件費のみならず、受付、整備の従業員に対する人件費はもちろん、水道光熱費、試乗車や展示車の購入費用、店舗の家賃など、様々なコストが生まれているからです。

また、ディーラーの販売活動で、最も大きな利益を出すのが新車・中古車の販売です。多くの台数を販売し、コストを回収して利益につなげなければ、お店を続けていくことは出来なくなります。

しかし、ディーラーが車販の利益を確定できるのは、車の登録や納車のタイミングであり、注文書に署名をもらった契約のタイミングではありません。つまり、新車の供給が遅れるということは、ディーラーの利益確定のタイミングも後ろ倒しになるということ。

新車の供給数が少なくなり、ユーザーに長い納車までの時間をもらっている昨今ですが、これはディーラーにとっても大きな問題というわけです。

原材料費高騰に加え、ディーラーの販売管理費(光熱費や人件費等)も下がる傾向はありません。メーカーの製造活動も難しく、コスト高が続く状態で、卸売価格の上昇もあるようです。

原価上昇に伴い、メーカーが新車の販売価格を値上げしても、納期は依然として長いまま。自動車ディーラーは多くの注文だけを抱え、自社の利益を出せずに、苦しい思いをしているといえるでしょう。

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