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ホイールをDIYで塗装する簡単な方法は?手順や必要な道具を解説
目次
DIY塗装でホイールをドレスアップしてみよう!
車のホイールには最初からさまざまなカラーリングがほとどこされたものもあれば、鉄チンのように黒やシルバーの素材むき出し、アルミホイールでも地味にシルバーのみというものも少なくありません。
しかし、ノーマルで地味という事は無地のキャンバスのようなもので、カスタマイズ次第でいくらでも化けます。
気合を入れて業者でホイール全塗装!もよいのですが、傷の修復まで伴わずアッサリ塗れそうな場合は、自らDIY塗装で安く好きなように仕上げてみるのもいいものです。
ホイールをDIY塗装する方法4つ
缶スプレー
ホイール塗装のDIYでもっともポピュラーなのが、缶スプレー。カー用品店やホームセンターでもホイールに使える缶スプレーが簡単に手に入るうえ、カラーバリエーションも豊富、素人でも道具を揃えやすいのがメリットです。
ただし、可燃性ガスで噴射するため換気のよい場所が必要。しかも屋内だとスプレーの粉塵がついては困る場合もあるため、できれば屋外で簡易的でも風が吹き込むのを防ぐブースを設置して作業するのが望ましいなど、制約はあります。
また、塗料をつけたくない部分へ行う「マスキング」という処理で失敗するケースも多々あるため、簡易的にチャチャっとやりたい人向きではないかもしれません。
エアブラシ
カラーバリエーションが豊富な缶スプレーではありますが、どうせなら自分でいろんな色を混ぜ合わせる「調色」でオリジナルカラーにしてみたい…という人には向きません。
それでいて、缶スプレーのように吹き付けて色を塗りたい、そもそもホイールの造形が細かいので吹き付けないと無理!…という場合に使えるのがエアブラシです。模型製作で使っていて持っている人も案外多いかもしれません。
コンプレッサーが必要だったり、塗料などを入れる容器が別途必要になるなど多少手間ですが、缶スプレーと違ってエアー圧や吐出量、パターンの調整ができるというメリットがあります。
ハケ塗り(ローラー塗り)
最近は車の全塗装もDIYでハケやローラーで塗る方が増えていて、段取りさえ整えれば仕上がりもまずまずキレイになります。
何よりスプレーやエアブラシと違って塗装の粉塵が飛ばない事や、ついウッカリ余計なところへスプレーしてしまう心配もないため、屋内で手軽にササっとやりたい人向け。
ただし、あまり複雑な造形ですとうまく塗れない場合も出てきますから、比較的単純なデザインのホイール向きと言えます。
筆塗り
超簡易にササッとできるのが唯一の取り柄の筆塗り。アルミホイールと違ってサビが浮くたび塗り直しになるような鉄チンホイール向きです。
一見ドレスアップ向きではないと思うかもしれませんが、その昔「スーパーR.A.P」という鉄チンじみた地味なデザインの軽量ホイールもありましたし、筆塗りで鉄チンをザッと白く塗るだけでもソックリになりますから、鉄チンドレスアップにはオススメです。
ホイール塗装に必ず必要なもの
超簡易的な筆塗りを除き、どれも塗装に必要な道具はあまり変わりがなく、塗装方法に応じていくつか追加するくらいです。
以下に、基本として準備しておくべき道具を紹介します。
- 敷き物(ダンボールや新聞紙でもいいですが、面積の広いブルーシートがベスト)
- 塗料がついても構わない、使い捨ての手袋
- 耐水ペーパー(紙やすりの一種で、目の粗いものから細かいものまで数種類)
- ウエス(糸くずが出ないもの)
- シリコンオフやワックスオフなど脱脂用の薬剤
- マスキング材
- プラサフ(サフェーサー)
- 塗料
- クリア
- コンパウンドセット
- 洗剤などホイール洗浄用品
なお、ホイールはブレーキやホイールハブ(ボルトが出ている部分)からの熱を受けるので、耐熱塗料じゃないといけないようにも思えますが、本当に耐熱塗料が必要なほど高温になるとタイヤが溶けてしまいます。
実際そこまで温度は上がりませんから、塗料の耐熱性は考慮しなくても問題ありません。
どんな方法でもほぼ共通!塗装の下準備
塗装方法が異なっても塗装までの前段階は同じ。ここでは一気に説明します。
1.道具とホイールを準備し、洗浄する
基本となる道具のほか、缶スプレー、コンプレッサー含むエアブラシ一式、ハケやローラー、筆など、方法に応じた塗装道具を準備します。
ホイールは車から外しておいた方が作業しやすく、タイヤも外してホイール単体にしておけば、マスキングはだいぶ楽になります。もちろん、タイヤがついたままでも構いません。
準備ができたら、まずは中性洗剤とスポンジでホイールを洗い、ブレーキダストの鉄粉などが食い込んでいるなら粘土クリーナーで落とします。糸くずの出ないウエスでしっかり拭き上げてください。
2.ホイール表面の塗装を、粗い耐水ペーパーで剥がす
次に、400~800番、あるいはそれより粗い耐水ペーパーで、塗装がよくのるよう、ホイール表面を満遍なく削ります。
ここでガリ傷の修復をするなら削ってパテを盛ってペーパーでならしたり、剥離剤とペーパーやブラシで完全に塗装を落とすやり方も。今回は割と気軽にDIYでドレスアップするのを目的としますので、そこまでは触れません。
この段階でホイールの下へブルーシートを敷いておいた方がよいでしょう。削り粉が付着しないよう作業後はブルーシートを掃除し、作業中に削り粉を吸い込んだり目に入らないよう、ゴーグルやマスクの着用もオススメです。
3.マスキングする
ペーパーがけを終えたら、塗料がついては不都合な部分にマスキング処理を行います。
ホイール単体だけならエアバルブのみで構いませんが、タイヤがついたままの場合はタイヤにもマスキングが必要です。
市販のマスキングテープで構いませんが、広い範囲を覆う時は幅の広いシートつきマスキングテープを使うと便利。「ホイールとタイヤの間にびっしりと隙間なくトランプを差し込んでいく」という裏技もあります。
なお、ハケやローラー、筆で手塗りする場合は、手軽にチャチャっと進めるのを優先して、マスキングを省略するパターンもありです。
4.シリコンオフなどで脱脂する
マスキングでホイールへ直に触れる工程が終わったら、油分で塗装を弾いてしまわないよう、脱脂をしていきます。
パーツクリーナーでもある程度はできますが、塗装のために念入りにというなら、シリコンオフやワックスオフなど、専用の脱脂剤がオススメ。キッチンペーパーなどにつけて、ホイール全体をくまなく脱脂してください。
薬剤を使うのと、脱脂するのに手の脂がついては意味がないので、ここからはゴムやナイロンなど使い捨ての手袋をつけて作業しましょう。
5.プラサフ(サフェーサー)で下地づくり
塗装の下準備で最終段階は、プラサフやサフェーサーと呼ばれる、下地となる塗料を万遍なく吹き付けます。
サビの浮いた鉄チンホイールをサビだけ削って簡易的に手塗りする場合など、どうせまた塗るから下地づくりは不要というなら、それでも構いません。
なお、最近は「ミッチャクロン」という優れたプライマー(下地塗料)があります。表面に目立つ傷などないなら最初のペーパーがけ不要、脱脂のみでミッチャクロンを吹き付ければそのまま塗装するだけ、というもので、愛用する人が増えています。
ただしミッチャクロンは透明で、万遍なく吹き付けているかわかりにくいデメリットもあり、自信がない人は普通にペーパーがけとサフェーサーがオススメです。
ホイールをDIY塗装する方法・手順解説
塗装前にひとつ注意ですが、下地のプラサフなどはしっかり乾いてから塗装しましょう。
たいていの塗装失敗例は、下準備で焦って、ホコリなどの付着を見逃したり、乾燥を怠ることで発生します。
缶スプレーでの塗装
シュッと一気に塗れるイメージの缶スプレーですが、吹き始めに大きめの塗料粒が出るためダンボールへ吹いてから実際の塗装面へ向けたり、塗装面の近くで一気に吹きすぎてタレたり、風が吹き込むと狙った場所へ塗れなかったりと、簡単ではありません。
できればダンボールなどで囲った風よけブースを作りましょう。買ったスプレーの圧力に応じてやや距離を取り、素早く左右へ振りながら、一気に厚塗りせず、薄く万遍なく何度か塗ってください。
気温が低いとスプレーの圧力が下がるため、お湯(火にかけたままはNG)で缶を温めておくのもポイント。
なお、2種類以上の色で塗り分ける場合、ラッカーならラッカーと、同じ種類の塗料を使うのが鉄則です。
エアブラシでの塗装
エアブラシでは噴射圧や吐出量の調整ができるため缶スプレーより若干楽です。きめ細かい作業ができますし、サフェーサーやその後のクリア塗装もエアブラシでできます。
缶スプレーの中身を容器に移し、複数の塗料を容器の中で混ぜ合わせてオリジナルカラーを作る事も可能。
粘度が高い場合は溶剤を追加して、エアブラシで吹き始めてからは缶スプレーと要領は変わりません。
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しかし、複雑な造形で細かい部分へ少しずつ色を乗せたりするのに便利、最近は安いコンプレッサーつきエアブラシ一式も売っているとはいえ、エアブラシはどちらかといえば上級者向けです。
ハケやローラーでの手塗り塗装
アサヒペンなどペンキでガシガシ塗れる手塗りは手軽さが魅力です。
毛が剥がれたり毛で塗った跡が目立つのが気にならなければ、ハケでサッサと塗ってしまうのもいいですし、ある程度見栄えも重視するならスポンジタイプのローラーで塗れば、意外とアラは目立ちません。
細かい造形だと溝の中まで塗るのには向いていませんが、単純な形状ならもっともサクサク塗れて気分もいいかと思います。
何より、缶スプレー塗装と違って液ダレしにくいのは魅力です。
筆で超簡易塗装
無塗装、あるいは真っ黒の鉄チンホイールへ、サビだけ耐水ペーパーでガシガシ落とし、場合によってはサビたところだけ塗ったり、ドレスアップなら一面に筆で塗りたくるだけの作業です。
仕上げが粗くとも遠目にはわかりませんし、剥がれても簡単ですから、また塗ればいいというお手軽補修も魅力。鉄チンでも格安アルミでも車にタイヤをつけたまま、マスキングもろくにせずに白黒でもカラフルでも、いかようにもドレスアップできます。
気合を入れたDIYもいいのですが、時にはこういう肩の力を抜いた超簡易DIYもオススメです。
- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...