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ハンヴィーとは?性能やジープとの違いについても解説!

東日本大震災のトモダチ作戦でもお世話になりました

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日本でも在日米軍が使っていて基地や演習場の近くではお馴染みなほか、東日本大震災の救援部隊が多数来援した「トモダチ作戦」では、被災地でも多く見られた米軍のジープ後継軍用車両「ハンヴィー」。

民生用のハマーH1が販売されていたほか、払い下げでナンバーを取得した旧軍用ハンヴィーもあり、さらにメーカーのAMゼネラルが「ハマー」ブランドをGMへ売却、ハマーH1生産終了後に独自の販路を求めた「ハンヴィーCシリーズ」も存在します。

陸上自衛隊の高機動車や、その民生版トヨタ メガクルーザーのように独自の類似車を開発、生産している国以外では、世界中で軍民問わず使われ続けているハンヴィーについて、紹介しましょう。

「ジープ」のもうひとつの血統、ハンヴィー

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第2次世界大戦中にアメリカのバンタム社が開発、その後フォードやウイリス・オーバーランドで大量生産、世界中の連合国軍で使用されて、戦勝の立役者のひとつとも言われた「ジープ」ですが、戦後に民間へ放出されると、軍民双方で独自の発展を遂げました。

いずれも当初は軍用ジープ初期の代表格、「ウイリスMB」とその民生版で、「ジープ」の商標もウイリス・オーバーランドが所有していましたが、同社をカイザー社が買収、カイザー=ジープ・コーポレーションとなり、さらにAMC(アメリカン・モーターズ)が買収。

その段階で1970年代には一般ユーザー向けジープをAMCが、軍用や商用のジープを作るAMC子会社としてAMゼネラルが誕生し、「2つのジープ」が生まれたのです。

一般ユーザー向けはその後、AMCを買収したクライスラー、クライスラーとドイツのダイムラーが合弁したダイムラー・クライスラー、合弁解消後のクライスラーとイタリアのフィアットが合併したFCA(フィアットクライスラー)と買収や合併が続き。

最終的には、FCAとフランスのPSA(プジョーシトロエン)が合併した多国籍メーカー「ステランティス」が誕生、「ジープ」の商標は今でもステランティスにあります。

一方、軍用ジープの系譜はウイリスMBからウイリスM38を経て、アメリカ軍での採用は通称「ケネディジープ」とも呼ばれるフォード製のM151が後継となっていましたが、さらにM151後継の軍用車両を受注したのが、もうひとつのジープ直系、AMゼネラル社。

「ジープ」の商標・ブランドは一般向け(現在のステランティス)にあるためAMゼネラルの新型車両「ハンヴィー」はジープを名乗りませんが、伝統である縦7本スリット(溝)のフロントグリルを持つのがジープ直系の証です。

一般向けでジープの血をもっとも濃く受け継ぐのがヘビーデューティーSUVの「ジープ・ラングラー」なら、軍用は「ハンヴィー」(あるいはその民生版ハマーH1)でした。

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2台のM151を1台のハンヴィーで補える積載力

小型地対空ミサイル「アヴェンジャー」搭載型のハンヴィー
出典:flickr.com Author:mark6mauno CC BY 2.0

ハンヴィーの正式名称は「高機動多用途装輪車両:High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle」→略してHMMWV→読みやすくHumvee→日本読みでハンヴィー。

なお、日本の陸上自衛隊が使う「高機動車」も、ハンヴィーそっくり(というより、ハンヴィーを売り込まれた時に、トヨタへ「同じのを作って」と依頼した説も…)なことから、「ジャンヴィー」と呼ばれる事もあります。

ハンヴィーは「ケネディジープ」M151よりふた回りほど大きく、輸送ヘリのキャビン(吊り下げは可能)や中型以下の輸送機では運べないことから、完全な代替には至りませんでしたが、大きいゆえに武装や装甲、内部装備の追加や改造の余地が大きいのが特徴。

目立つところでは武装で、M151では大型・長射程の無反動砲(バズーカ砲の仲間みたいなもんです)や対戦車ミサイルを運用するのに、弾薬や誘導装置、人員で2台必要です。

これがハンヴィーなら1台で済みますし、小型の車載用地対空ミサイルランチャーシステム、大口径または遠隔操作式の機関銃など多彩な武装を搭載可能で、元から大柄で重たいゆえに重たい装甲を追加しても、大排気量エンジンで走れるパワーもあります。

また、米軍は自衛隊と違っていつ実戦に放り込まれるか知れたものではなく、マニュアル通りの装備より自分たちで扱いやすいようにしておくのが生き残るのに大事と知っていますから、割と勝手に現地改造を行うため、「必ずこうだ」という形はありません。

そのため、軍用ではもちろん、民間に払い下げられた時も、ミリタリー系のカスタムを行うなら「これは○○仕様だ」とでも言っておけば、割と自由な解釈が可能なのも、特徴のひとつと言えるでしょう。

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タフに見えても実戦ではまだまだ物足りない

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1983年に採用、1985年より本格的な生産が始まったハンヴィーは1991年の湾岸戦争から大量に使われ、世界各地でアメリカやその同盟国が係わる紛争や災害のニュース映像では、昔ながらのジープ以上にお馴染みとなりました。

ただ、見た目ほど頑丈でタフというわけではない…というより、戦争の形が昔とだいぶ異なり、戦場でなくとも治安維持任務中に路上に仕掛けられた強力な爆弾が至近距離で炸裂したり、多少の装甲なら貫徹してしまう銃を使われると、アッサリ破壊されてしまいます。

そうなると狙われる方も無事に帰りたいので追加装甲で対抗しますが、ちょっとばかり装甲を増やしてもクルマそのもののメカニズムや構造まで無事とは限らず、動けなくなればその後は悲惨ですし…となれば、軍隊の士気はガタ落ちです。

それでは困るというので、ハンヴィーの後継車計画として多少の地雷や路上の仕掛け爆弾程度では撃破されない程度にゴツくてタフな軽装甲軍用車両「L-ATV」が2015年に採用されており、装甲強化型ハンヴィーが必要とされる地域から順に更新する予定となっています。

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今後もまだしばらくは使われそうなハンヴィー

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ただ、軍隊もお役所、予算で動くものですから、L-ATVがいかに頼もしくとも高価であればハンヴィー全てを置き換えるには至らず、むしろ「ここはハンヴィーでもいいやと思われる地域」や同盟国などにハンヴィーが回され、今後もしばらくは使われそうです。

他にも余剰装備となって民間に払い下げられたり、同盟国に供与したつもりがゲリラに奪われ、敵の装備になるハンヴィーも多く、軍民、敵味方を問わず、世界中でハンヴィーは見られることでしょう。

他にも中国製のコピー(東風EQ2050)や、日本の高機動車を含む類似品があり、メーカーのAMゼネラル車も、排ガス規制の関係で民生版のハマーH1を売れなくなって廃止したGMをヨソに、独自の民生版ハンヴィーCを売り込もうともしています。

おそらくアメリカ軍で新規調達されなくなっても、「ハンヴィーみたいなクルマ、元はハンヴィーだったクルマ」が、何十年たってもどこかで動いているのではないでしょうか。

いかに日本のランドクルーザーがタフなSUVとして世界中で支持されているといっても、「本物の軍用車両」の質実剛健な堅牢さや迫力には、かないそうもありません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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