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「かっとび」のCMはダテじゃない!凄まじい完成度の最後発FFコンパクト・トヨタ3代目スターレット【推し車】

「かっとび」のキャッチコピーはダテじゃない!

3代目EP71スターレットはエンジンルームの小型化、キャビンの最大化というFF化の恩恵を最大限に得る傑作だった

現在WRCでも活躍しているヤリスの前身はヴィッツ、さらにその前は古くなるごとにスターレット、パブリカ…と、スポーティグレードをラインナップしつつ、平凡な実用エンジンを積む通常モデルも実は軽くてイイ走りをするのが特徴のトヨタ製コンパクトカー。

MOBY編集部がAIに聞いた「30〜50代のクルマ好きが気になる名車」でも、かつての主力だった「スターレット」は歴代モデルがノミネートされており、今回紹介するのは初めてFF化された3代目EP71です。

藤山一郎による戦前のヒット曲「丘を越えて」をBGMに、「かっとび~」のキャッチコピーを響かせながら画面を所狭しと駆け回るEP71スターレットの姿はインパクト抜群でしたが本物はそれ以上で、過激なターボ車など恐怖を感じたのを覚えています。

最後発FFコンパクトの凄まじい完成度

画像のDXなどキャブレターの実用エンジンだが、こういう廉価グレードがパワーはなくても軽い速いで面白いところは健在

トヨタのエントリーモデル「スターレット」が3代目EP71へモデルチェンジしたのは1984年10月、その頃には他社のコンパクトカーは全て、トヨタでも前年にはカローラやコロナですらFF車が登場していた時期です(AE86のように一部FRは残った)。

同じ年の5月にはカリーナにもFF車が出ましたから、スターレットは国産車の中でもほぼ最後発でFF化されたモデルでしたが、それだけに完成度はバッチリ群を抜いていました。

先代P60系より全幅は太ったものの、全長はグッと縮まってホイールベースや全高は変わらないにも関わらず車内空間は広々で、同じ直列4気筒1.3リッターエンジンでも縦置きFRからジアコーサ式FFレイアウトにしてボンネットを短く、キャビンを拡大した効果は抜群!

横幅が太ったからか、FRで必要だったプロペラシャフトやリアのデフ玉が消えても車重は同じくらいでしたが、エンジンは旧型のOHV2バルブ4K系からSOHC3バルブの2E系に更新され、EFI(※1)版の比較では4K-EUの79馬力に対して2E-ELUが93馬力(※2)。

(※1・電子制御インジェクションのトヨタ名)

(※2・いずれもグロス値、マイナーチェンジ後の2E-ELUはネット値で82馬力)

廉価版のキャブレター仕様でもグロス81馬力(ネット73馬力)でしたから、DXなど廉価グレードでも先代よりこっ速く、CMで宣伝した「かっとび」に偽りはありませんでした。

むか~し筆者の家でオフクロと姉のゲタ車として所有していたのは廉価グレードだったと思いますが、その前が排ガス規制対策でエンジンがサッパリ吹けず、思ったるくてかなわない5代目コロナでしたから、なんと素晴らしい快速が我が家に来たものよと思ったものです。

なお、この代でもバン仕様はあったものの通常の3ドア/5ドアハッチバックと同ボディで存在感は薄く、後にキュラキュラと音だけは猛々しい1.5リッターディーゼル車も追加されましたが、ディーゼルのスターレットなんて最後の5代目までほとんど見ませんでした。

「Loモードつき」の過激なじゃじゃ馬ターボ

ボンネットにインタークーラーのインテークがついたターボ車は、「ペガサス」サスペンションの限界を軽く超えるじゃじゃ馬ぶりで記憶に残るクルマだった
出典:flickr.com Author:Rutger van der Maar CC BY 2.0

ただでさえ「かっとび」だった3代目EP71スターレットですが、1981年にはインタークーラーターボ車を追加、それまでホットモデルだったSi系と競技ベースのRiがEFI自然吸気でネット82馬力のところ、ターボSと競技ベースのターボRはネット105馬力!

翌年発売された3代目ダイハツ シャレードGT-XXの1リッターDOHCインタークーラーターボが同じ105馬力で、スターレットは格下に負けてならじと1988年の改良で110馬力になりますが、どのみち排気量で勝ってますから最大トルクは格上の15.2kg・mです。

EP71はFF化にあたって足回りをフロントがストラット、リアが半固定懸架のトレーリング・トーションビームとして、このサスペンションを新世代レーザーエンジンにも対応した「ペガサス」と宣伝していました。

しかし、この「ペガサス」が再チューニングしたとはいえターボ車のパワーには全くついていけずに走りはジャジャ馬、ホンダ シティターボIIのようなスクランブルブーストではなく、最高出力を91馬力に(トルクも)落とす「Loモードスイッチ」なのも説得力あり。

Loモードは最後の5代目EP91スターレットターボまで続く伝統になりましたが、EP71から91に乗り換えた先輩曰く「クルマの出来が良すぎてLoモードの意味がないくらいだからツマンナイ」だったそうです。

その先輩がドライブするEP71ターボに一度だけ乗せてもらいましたが…いわゆる「走り屋」だったもので片側2~3車線の一般道をアミダ走りでまあ飛ばしまくり、アクセルを変にゆるめると逆にどこへ飛んでいくかわからない、なんて言われましたが本当でしょうか?

他人のクルマに乗って走馬灯が見えたのはその時を合わせて2度くらいですが、EP71ターボでは非常に貴重な経験をさせてもらいました。

そんなスターレットは「かっとび」の自然吸気も「ジャジャ馬」のターボ車もモータースポーツでは大活躍で、スズキ カルタスGT-iやホンダ GA2シティ、あるいは後継の4代目EP82スターレットが登場するまで、同クラスでは主力を張り続けたのです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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