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「安い・軽い・速い!これでいいのだ!」後輪駆動の楽しいクルマ・トヨタ スターレット(2代目KP61)【推し車】

パワフルでなくとも何もなくて軽い速い、これでいいんだ!

ファストバック4ドアセダン/2ドアクーペから、2BOXの3/5ドアハッチバック車になった2代目KP61型スターレット

まだほとんどのクルマがFFや4WDになる前、トヨタのエントリーモデル「スターレット」で最後のFR車となった、2代目のKP61型。

廉価グレードでも上級グレードとエンジンやブレーキは変わらず、誰にでも安く買える低価格で中古も数多く出回ったのでお金のない若者にも最適と、初代のクーペ同様にレースなどモータースポーツで広く活躍、後には4A-GEなどのスワップチューンにも多用されました。

MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にノミネートされる歴代スターレットですが、2代目KP61型は特に現代のクルマ好きが「何もついてないから軽くてこっぱやくてイジりやすい、こういうのでいいんだよ!」と喜びそうなクルマです。

2BOXハッチバックになってもFRのままな2代目

ハッチバック(右・丸目ヘッドライトの前期型)のほか、歴代唯一の5ドアバン(左・角目ヘッドライトの後期型)もあり、バンの前期・中期型だけは1.2リッターの古い3Kエンジンだった

1973年、2代目パブリカ派生のトヨタオート店向け上級スポーティモデル、「パブリカスターレット」として登場、後にパブリカの名が外れ独立した初代P40/P50系スターレットは、ボディタイプが4ドアセダンと2ドアクーペの2種類。

しかし1978年にモデルチェンジした2代目KP61型では3ドア/5ドアのハッチバック車と、それをベースにした5ドアバン(海外仕様は5ドアワゴンもあり)へと変わります。

1970年代も後半になると、各社のエントリーモデルを中心に「小さなセダン」は流行らなくなって、実用性の高いハッチバック車へ転換していったのにトヨタも対応した形ですが、それでもFF化には慎重であり、KP61スターレットも駆動方式はFRのままでした。

フロントにエンジン横置きで前輪を駆動するFF車の方が、スペース効率で優れるとわかってはいても、酷使される安価な実用モデルに採用しても耐久性に問題がないかはまだ未知数の時期。

トヨタでは初代ターセル/コルサ(1978年)でまずフロントにエンジン縦置きのままFF車を試し、エンジン横置きFF車は1982年の初代ビスタ/2代目カムリが初で慎重に慎重を重ねて市場投入しており、KP61スターレットも保守的なFRだったのです。

下位グレードでも同じエンジンにディスクブレーキ!

ハッチバックとは開口部が高く、現在のようにバンパーからガバっとは開かないが、当時はおおむねこんなもの

しかしKP61の特徴は「2BOXハッチバックなのにFRという新旧混合」なところだけでなく、基本的に上級グレードと下位グレードは内外装の違いを除けばほぼ同じ、つまり下位グレードほど同じエンジンでも軽くて速く、フロントにはディスクブレーキもついてきます。

もちろん安いですし、走り系のユーザーは重くて余計なものは外してしまいますから、最初からついていない方が便利…レースなどモータースポーツで使うならなおさら…それに当時としては走りの基本が学べて便利なFR車、若者が飛びつかないわけがありません。

おまけに頑丈でタフでしたから、営業車などで酷使されてなお走れる安い中古車がワンメイクレースやラリー、ジムカーナ、ダートトライアルといったモータースポーツから、峠などのストリート系までどっと溢れました。

積んでいるエンジンはどうという事もない直4OHVで72馬力の4K-Uで、後にEFI化されて79馬力に達した4K-EUまで進化するとはいえただの実用エンジン、しかし初期型でもっとも軽い3ドアスタンダードで車重は695kgしかなかったので必要十分です。

2021年まで販売していたスズキのアルトワークスが64馬力で670kg、パワーウェイトレシオが約10.47kg/psに対し、KP61初期のスタンダードが約9.65kg/psでしたから、今どきの軽ターボより速かったわけで、しかも運転して楽しいFR車!

頼もしいディスクブレーキでコーナーへのツッコミが効いたのもポイントで、初心者からでも走りの楽しさを学ぶには最適なクルマでした。

パリダカも走り、チューニングベースにも多用

このようにラリーで活躍する場面も多く、エントリーモデルだからと決して侮れない走りを魅せた

モータースポーツの選手から走り屋まで、あらゆるクルマ好きが当時若い頃にお世話になった、あるいは戦ったであろうKP61ですが、1981年にはダカールラリー(当時はパリ=ダカールラリー)にまで参戦、時間切れで公式記録には残らないものの完走しました。

シンプルで頑丈なため、大排気量V8を含むあらゆるエンジンのスワップチューンが試みられ、日本国内ではAE86などで使われた4A-GEへの換装が主流だったと言われていますが、元の4K-Uをベースに1.5Lの5K化、スポーツキャブを組む「4K改5K」も流行ったようです。

FR車のためかなり後の時代まで現役のチューニングカーが走っており、D1GPへもフルチューンのドリ車が参戦したほか、全日本ジムカーナにも旧車のドリフトクラス的な「箱Dクラス」へ、2023年も参戦しています。

日本国内では最後となる5代目P90系まで「シンプルで安い軽い速い」が信条だった歴代スターレットですが、中でも最後のFR車となった2代目KP61は、「クルマ好きの若者を育てるのに最適のクルマ」だったと言えるでしょう。

近年は電子制御の各種安全装備や衝突安全ボディの採用で、どんなクルマも重くて高価になりがち、特にFR車は「安くて速い」が難しくなっているものの、1台くらいはKP61のように、速さはソコソコでも遊び倒せる、せめて中古で安い後輪駆動車があれば…と思います。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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