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ソアラ

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「え?これでもソアラ?」「は?これがソアラ?」時代に翻弄されたトヨタの名車、不遇の後半生【推し車】

歴史的名車でありながら、時代に翻弄されたソアラ

国産車の歴史に大きな足跡を残した名車、初代ソアラ

1981年に発売された初代が国産パーソナルクーペ屈指の名作と、現在でも高く評価されているトヨタ ソアラ。

しかしその後は海外展開や価値観の多様化という渦に巻き込まれ、国内専用車でありながら大ヒットとなった2代目はともかく、3代目以降は「ソアラを名乗って良かったのか?」と思ってしまうほど、日本市場では不遇な扱いを受けました。

しかし好き嫌いが極端に分かれるクルマだっただけに根強いファンがいたのも事実で、初代のみならず歴代ソアラが「MOBY編集部がAIに聞いた、30~50代のクルマ好きが関心を持つ名車」にノミネートされたのもそれが理由でしょう。

今回は、既にトヨタ博物館の展示車をテーマに紹介した初代を除き、バブル景気の中で最大のヒットとなった2代目から最後の4代目までのソアラを紹介します。

バブルの波に乗った名車の絶頂期!2代目(1986年)

バブル時代には年間平均6万台ペースと、高級パーソナルクーペとしては驚異的な販売台数を誇った2代目ソアラ

1986年に初のモデルチェンジを迎えたソアラは、先代同様に同時期のスープラ(先代の頃は「セリカXX」名で国内販売)と基本コンポーネントを共用した高級パーソナルクーペとしてデビュー、初代のキープコンセプトながら、よりスッキリしたデザインでした。

圧巻だったのは初代だと2.8/3.0リッター直6自然吸気で190馬力止まりだったエンジンが、3リッター直6ターボで230馬力を発揮する7M-GTEUを搭載、圧倒的にパワフルな動力性能、初代よりさらに豪華な装備や内装によって、バブル時代を象徴する高級車だったのです。

日本を代表する高級クーペとして生まれながら、「輸出はスープラ(セリカXX)」という方針が引き継がれたので国内専用車でしたが、それでもバブルの勢いが止まらない1980年代後半~1991年の国産高級車らしく5年間の平均年間販売台数は約6万台に達しました。

ルーフだけが収納されるユニークな電動格納式メタルトップを採用した「エアロキャビン」が500台限定販売されたのも2代目の時で、バブル時代の贅沢な開発や奇抜な挑戦が、高級パーソナルクーペのソアラでも試みられたのも時代を象徴する出来事です。

これでもソアラ?好き嫌いが分かれた3代目(1991年)

アメリカ生まれの初代レクサスSCは日本国内で3代目ソアラとして販売されたが、2代目までとイメージが違いすぎた

ソアラが3代目にモデルチェンジした時点で、トヨタには大きな変化が起きていました。

まずは海外向けからスタートした高級車ブランド「レクサス」の誕生と、そこで販売するための高級サルーンや高級パーソナルクーペの開発です。

海外の高級車と真っ向勝負と言っても、伝統的な権威主義に染まっていた世界に新風を吹き込む高級サルーン(LS)と異なり、高級パーソナルクーペ「SC」は北米を中心に売りさばくためアメリカのスタジオが当時の流行に振り切った流面形でデザイン。

それを日本でも3代目ソアラとして販売したのですが、日本で求められる「かっこいいクーペ」としてはかなり大味にして豪快なデザインは日本の価値観と大きく異なるだけでなく、初代/2代目と続いたソアラともあまりにかけ離れていました。

「ソアラ」を名乗らなければ、あるいはターボエンジンに80スープラやアリストと同じ3リッター直6ツインターボの2JZ-GTEを使えば違ったかもしれませんが、セルシオと同じ4リッターV8はともかく、マークII系と同じ1JZ-GTEでは役不足。

性能的にスープラに並ぶ可能性を秘めた高級パーソナルクーペはついに人気作とならず、最後の方は警察の交通機動隊向けに放出されて、「高速道路でソアラを見たら覆面パトカーと思え」と言われる不人気車になってしまいました。

これがソアラ?しかも途中からレクサスへ…4代目(2001年)

4代目ソアラはあくまで2005年にレクサスSC430として日本でもレクサス店で販売されるまでもつなぎという、寂しい扱いだった

なんとなく10年もの長いモデルライフを送ってしまった…すなわち海外も含め人気が今ひとつどころではなかった3代目ソアラ/初代レクサスSCは2001年にモデルチェンジしますが、今度はなんと4.3リッターV8エンジンを積む4シーターオープン!

日本人受けしなかったとはいえ、ロングノーズ・ショートデッキに初代/2代目の面影を残した3代目とも全く異なり、電動メタルトップの豪華なクーペカブリオレとなったはよいのですが、いよいよ「これにソアラと名付けてもよいのか…?」という状態です。

2代目までのユーザーで、3代目も納得いかないまでも何とか乗り続けたり、見送っていたユーザーにとって、「私のソアラはどこへいった?」と嘆く声が聞こえてきそうでした。

もっとも、単純に高級クーペカブリオレとして見れば、余裕ある動力性能に贅沢な装備や内外装の優れたクルマだったので、ソアラと名のりさえしなければ…という感じでしたが、2005年に日本でも「レクサス」ブランドが展開すると、あっさり4代目ソアラは終了。

それ以降は海外と同じくレクサス店で「レクサスSC430」として販売され、つまりソアラの名はレクサスブランド移行までの仮の名前に過ぎなかったのです。

2代目までは確かに「トヨタが誇る高級パーソナルクーペ」だったはずですが、3代目以降は間に合わせのようにレクサス車の日本名となってしまった「ソアラ」、浮き沈みの激しい後半は不遇の扱いだったのが惜しまれます。

この先トヨタが「トヨタブランドの高級パーソナルクーペ」(この際、SUVでもいいですが)を発売する時は、ぜひとも「ソアラ」の名を復活させて名誉を取り戻し、往年のファンを喜ばせてほしいものです。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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