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「スズキのマー坊」が40周年!軽ピックアップからスポーティへ進化したマイティボーイ、再登場に期待【推し車】

2023年はマイティボーイ発売40周年!

スズキ歴史館に展示されているマイティボーイ前期型(丸目ヘッドランプは後期型で2代目セルボ同様の角目になった)

異色の軽FFピックアップトラック、スズキ マイティボーイが発売されてから今年で40年!

それを記念し、ハスラーベースで復刻版を発売!なんて話があると面白そうで、残念ながらそんな話は2023年3月現在では聞かないものの、今でも人気の高い旧車のひとつであります。

なくてはならないほどではないものの、こういうクルマを作る「時代のイキオイ」を感じさせる1台としてスズキ歴史館にも丸目ヘッドランプの前期型が展示されており、今回はその画像を交えつつ、軽ピックアップの過去とマイティボーイ、将来の可能性を考えます。

初代スズライトにも設定、昔はけっこうあった軽ピックアップ

スズキ初、そして軽自動車初の本格量産4輪車、初代スズライト初期に「スズライトSP」というFF軽ピックアップトラックがあった

ボンネットつきのトラックは日本での分類だと2種類、強固で積載力が高く、交換可能で実用性も高い荷台をキャビンと別個にこしらえた「ボンネットトラック」と、キャビン後部のほとんど、または一部を荷台にした一体式の「ピックアップトラック」に分けられます。

日本ではまだ年間所得が低く、よほどの富裕層でなければ専用の乗用車など買えずに、休日には商用車もファミリーカーとして活用した時代には、ライトバンと並んで乗用車のピックアップトラック版も盛んに販売され、クラウンのピックアップもあったほど。

軽自動車でもその事情は変わらず、初の本格量産軽自動車となったスズキの初代「スズライト」(1955年)にも、スズライトSPというピックアップ仕様がありました。

スズキでは初代キャリイトラック(1961年)発売後にスズライトやフロンテのピックアップ仕様は作りませんでしたが、主に3輪トラック上がりのメーカーがこの形式を好んだようです。

ダイハツは初代フェロー(1966年)にピックアップを設定しましたし、ボンネットつきではないものの、1988年にはハイゼットバンのダブルキャブピックアップ版「ハイゼットデッキバン」を発売して代を重ね、現在のハイゼットバンにも設定中。

もっとも熱心だったのはマツダで、B360トラック(1961年)をモデルチェンジしたポーター(1968年)を1976年まで販売しており、その「軽自動車版サニトラ」的にスポーティなルックスから、旧車界隈では人気の1台です。

しかしポーターの生産終了を最後にボンネット型の軽ピックアップは廃れ、実用性一辺倒の軽トラだけが残ると思われたところへ突如誕生したのが、1983年のスズキ「マイティボーイ」でした。

仕事用というより、オシャレ感覚のスポーティピックアップ

幌もクーペルックで実用性よりスタイル重視、キャノピー型のハードトップも純正オプションにはあった

初代アルト派生の軽スペシャリティクーペ、2代目セルボ(1982年)をベースにした「マイティボーイ」は、セルボのBピラーまでをそのまま使ったようなデザインに、前席後方へ隔壁を加え、ガラスハッチの後席&荷室部分を廃して一方アオリつき荷台としたモデル。

初代アルト由来の半楕円リーフスプリング+リジッドサスは荷物を載せるピックアップ用途でも有用ですが、フロアも含め特に強化されなかったようで最大積載量は200kgに留まるものの、気張って重い荷物を積む類のクルマではないので、問題なかったのでしょう。

そのスタイリングやFF(※)という駆動方式からも、ポーターのような本気の仕事グルマではなく、むしろシボレー エルカミーノのようなアメリカン・ピックアップクーペの軽自動車版というべきパイクカーの一種と言えます。

(※後に4WDを追加したとも言われますが後期型のカタログにも掲載はなく、未確認)

アルトを下回る45万円という低価格を実現するためフロントはセルボそのまま、後期で上級グレードへディスクブレーキや5速ミッション、タコメーターを装備したものの、最後までターボ車は設定されず、コンセプトが中途半端で終わったのは惜しいところ。

スズキでもジムニー1000のパワートレーン&フレーム一式の上にマイティボーイのボディを載せた、「マイティボーイ1000 4WD」を東京モーターショー1983へ出展。

マイティボーイの輸出先だったオーストラリアなどで人気が出そうでしたし、日本でもそのおこぼれとして販売されたら「X-90」のようにカルト的人気を得たかもしれませんが、実現しなかったのは残念でした。

2シータースポーツピックアップのカスタムベースとして人気

リクライニングシートや、その後方の小物が置けるスペースは軽トラに比べ乗用車としての実用性は抜群

工場出荷状態では遊びグルマとして中途半端なマイティボーイでしたが、「座席後方スペースが案外広く、座席のリクライニングは可能なほか、小物程度は車内に載せられる」というセルボ流用ならではの美点があり、軽トラより乗用車としての実用性は優れていました。

また、キャノピー型のハードトップが純正オプションで、リアスポつきの荷台カバーが社外品で発売されており、こうしたカスタムパーツの他にもキャブチューンやアルトワークス用ターボエンジンへのスワップ、4WD化などのカスタムベースとして人気が出ます。

スズキとしては確固たるイメージを持たないまま、「何となく市販してしまった」マイティボーイですが、かえって余計な事をしていないのがカスタムにはむしろ好都合。

アルト譲りのシンプルなメカニズム、セルボ譲りのスポーティなルックスへさまざまにカスタマイズされ、ノーマルでは最高出力31馬力(車重530kg程度なのでこれでも十分ですが)と平凡なため新車では売れなかったものの、中古で人気が出る類のクルマでした。

30周年記念でTMS2015の「マイティデッキ」を市販したら?

東京モーターショー2015へ出展した「マイティデッキ」、現代にマイティボーイをよみがえらせるならクロスオーバーでしょう!という説得力もあり、マイティボーイ発売40周年で市販してもおかしくない

結局、マイティボーイは販売実績がパッとせず、ベースの2代目セルボを有効活用した初期RVブームへの提案も不発に終わったということかセルボのモデルチェンジで販売終了、後継車もなくそれっきり、他社から同種の軽自動車も販売されませんでした。

ただ、東京モーターショー2009でダイハツが軽オープンピックアップ「バスケット」(※)を出展したほか、スズキも2015年にはフロントマスクこそ異なるものの、ハスラーをベースにしたようなクロスオーバーピックアップ、「マイティデッキ」を出展しています。

(※フロントマスクや全体的なデザインイメージは、2018年発売の女性向け軽乗用車「ミラトコット」へ転用)

他にもハイゼットジャンボへ対抗したようなビッグキャビンの軽トラ「スーパーキャリイ」など、新たな需要として期待されるレジャー用途も視野に入れた新ジャンルの軽トラが登場した今、マイティデッキのような「マイティボーイ復刻版」はアリだと思います。

今のスズキ軽自動車はスーパーハイトワゴンの「スペーシア」、クロスオーバーSUVの「ハスラー」が好調なものの、ダイハツのオープンスポーツ「コペン」や三菱が5月に発売する「デリカミニ」のような個性的モデルが空席です。

スペーシアギアやスペーシアベースのようなスペーシア派生車も好調ですし、ハスラー派生でクロスオーバーの「マイティデッキ」をマイティボーイ発売30周年に市販すればインパクト大。

市販の噂も今のところはありませんが、「ある日突然、予想していなかった新型車を発売して驚かせる」のはスズキの得意技ですし、期待したいですね!

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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