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今では死語となった「ロールーフミニバン」居住性より走行性能に特化した車たち【推し車】
現在はすっかり売れ筋から外れ、ハイルーフミニバンへ取って代わられてしまいましたが、初期のミニバンブームを牽引したのは低床FF乗用車をベースに比較的低いルーフで、普通のクルマの感覚で運転でき、スポーティですらあったロールーフミニバンでした。
もっとも、ステーションワゴンも含むRVブームで「5ドアの多人数車の商用車感」が薄れるまでは「便利だけど変なクルマ」扱いでしたが、今回は国産ロールーフミニバンの先駆車と言える3台を紹介します。
日産 プレーリー(初代・1982年)
当時の小型大衆車、オースター/スタンザをベースとしつつ、後にエスカルゴにも採用された初代パルサーバン(VN10型)用の超低床リアフロアパッケージを転用し、5ナンバーサイズ小型ハッチバック車の寸法で3列シート8人乗りを可能としたコンパクトミニバン。
全長4,090mmは後にホンダ モビリオが若干短い以外は、軽自動車ベースを除く国産ミニバンで最小クラスでした。
Bピラーレスの後席両側スライドドアによる大開口部、2列シートでレジャー用途も想定した積載性重視仕様、同じく快適性重視仕様も設定するなど、現在のトヨタ シエンタやホンダ フリードの元祖的存在です。
しかし、当時の技術では必要なボディ剛性や動力性能を実現できず、ミニバンというコンセプト自体が明確ではない時代だったため、結果的に「志は高くとも、思いつきで作るに留まる」というレベルだったのが惜しまれます。
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本日の在庫数 2台 平均価格 93万円 支払総額 69~117万円
三菱 シャリオ(初代・1983年)
東京モーターショー1979に展示したコンセプトカーを下敷きに、三菱のFF/4WD乗用車(ただし当時はパートタイム4WD)、トレディア(4ドア)コルディア(3ドア)をベースとして実用化した、三菱初のロールーフミニバン。
初代プレーリーほど斬新でも小さくもなかったものの、現実的なサイズ、ディーゼルも追加するなど必要十分で経済性にも配慮した動力性能、初期にパートタイム、後にフルタイム化された4WDなど実用性の差は歴然とした、ロールーフミニバン初期の傑作です。
スライドドアこそなかったとはいえ、ベンチで実用性も高く、スポーティな走りにも対応するミニバンで、バブル時代にRVブームが本格化するとその価値は認められ、オデッセイなど後続のミニバンにも多大な影響を与えました。
- 最新「シャリオ」中古車情報
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本日の在庫数 1台 平均価格 77万円 支払総額 77~77万円
ホンダ オデッセイ(初代・1994年)
1980年代に企画がスタートした当時、ミニバンを求める販売現場とは裏腹に「3列シートでカッコイイクルマなんか作れるものか!」とホンダ本社では否定されまくったものの、北米で始まっていたブームや国産の先駆車を横目にした地道な努力で発売にこぎつけたモデル。
「生産ラインの都合でアコードベースのロールーフミニバンになった」は俗説で、単に社内のすったもんだで生産ラインへの初期投資を最小限にせざるをえなかったのが真実のようですが、ともかく発売されるやスポーティでスタイリッシュなミニバンとして大ヒット!
初代シビックの記録を塗り替えるほどの売れ行きにホンダ上層部も手のひらを返し、ミニバンやSUVを重視するRV王国へと代わっていきますが、初代オデッセイとしては特に3リッターV6エンジン搭載の「プレステージ」など高級路線も好評。
5代目(2013)でハイルーフ化するまで、走りのロールーフミニバンの代名詞でした。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...