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新型エクストレイルは「家族持ちにピッタリな車」なのか?徹底試乗&レビュー
目次
7月にフルモデルチェンジしたエクストレイル
2022年7月に登場したばかりの日産 新型エクストレイル。 グレード展開は、2WD・4WDモデルともに、エントリーモデルとなる「S」、中間グレードの「X」、上位グレードの「G」となっています。
パワートレインはVCターボと新世代e-POWERを搭載し、低燃費かつ高性能なクルマとなっています。
またこれらに加え、スポーティな装いの「AUTECH」、よりアクティブでアウトドアな装いの「エクスとリーマーX」も用意されています。
タフギアでありながら洗練されたデザイン!
今回9年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たした新型エクストレイル。全長4,660mm、全幅1,840mm、全高1,720mmとなっていて、先代に比べて、全長は30mm短く、全幅は20mmワイドで、全高は20mm低くなっています。
ホイールベースは2,705mmと先代と変わりありませんが、全高は先代と比べ20mm低く全体を見るとよりワイド&ローな印象を強めています。
デザイン、プラットフォーム、パワートレインの全てを新設計されており、まさに満を持したフルモデルチェンジと言えるでしょう。
エクステリアは、ドアの造形をはじめに、特徴的なフロントのVモーショングリルはかなり太目で注目を引くほか、上段にポジションランプとターンランプ、下段にメインランプを配置。
この二段構造により、無骨でありながら上質感も存在する雰囲気を演出しています。
同時に、リアフェンダーの盛り上がりや、タイヤをフェンダーまでわずか10mmという、ギリギリまで張り出すというレイアウトを採用。SUVとしてのタフさや力強さ、スポーティーさが表現されています。
先代の丸みを帯びたデザインとは異なり、水平基調の力強いデザインとなった印象です。
最上級グレードでは、シルバー塗装やフロントバンパーやリアバンパーロアフィニッシャー、ドアロアクロームモールが装着されます。下位や中位グレードでは樹脂パーツとなります。
日産のロゴデザインも新たなデザインに刷新されているのも特徴です。
シンプルですっきりした印象の車内
インテリアでまず目を引くのは、新しくなった本革ステアリングホイールとデジタル液晶メーターです。
インパネの上面にはソフトパットを使用し高級感が高められています。
デジタル液晶メーターには、2種類の表示モードが選択できるデジタルメーター「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」を装備。グレード別で5インチまたは7インチディスプレイ、12.3インチのフル液晶デジタルメーターが設定されています。
さらに10.8インチのカラーヘッドアップディスプレイが、ドライバーの快適な運転をアシストしてくれます。
また、ダッシュボード中央部には8インチまたは9インチタッチスクリーンディスプレイを設置。「NissanConnectインフォテインメントシステム」は、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しています。
「G」にはアラウンドビューモニターが標準装備。フロントと、上からアラウンドモニターが標準装備されていて、スクリーンディスプレイで車両の安全状況を確認できます。
車内は全体的に黒を基調としたデザインになっていて、シンプルかつすっきりとした印象です。
シート地はグレードごとに3種類を用意。ファブリック生地のシート、防水の「セルクロス」生地、テーラー仕立ての「TailorFit(テーラーフィット)」、メーカーオプションの抗菌仕様のナッパーレザーシートというラインナップです。
ナッパーレザーを選択した場合、内装色はタンカラーになります。
2列5人乗り、3列7人乗りをラインナップ
新型エクストレイルは、2列5人乗りのほか、最大7人の乗車が可能な3列シート付きモデルも引き続きラインナップ。
後部座席のシートは、ゆとりあるスペースを確保。リクライニング機構も装備されており、5段階でシートの角度を調整できます。
スライド機構も装備されているため、シートを前方にスライドさせ、荷室空間を拡大させることもできます。
シートを後方へ動かせば足元スペースにゆとりが生まれるほか、チャイルドシートの脱着もスムーズに。ファミリーカーとしてもじゅうぶんな使い勝手です。
後部ドアは開口角度が90°と非常に広く、乗り降りや荷物の積み下ろし、子供をチャイルドシートに乗せるときなどに大変便利です。
センターコンソール後端にはエアコン吹き出し口と操作ボタンがあり、後部座席でも、エアコンの温度を調節することができます。
USBのタイプAとタイプCのソケットにより、スマートフォンなどの充電環境も整っています。
可倒式のアームレストには、ドリンクホルダーを2口完備。トランクスルーの車内は、後部座席に二人乗った状態でも、長さのある荷物を積載することが可能です。
実用性のある広々としたラゲッジスペース
新型エクストレイルは、タイヤがフェンダーラインギリギリまで張り出されているため、ホイールハウス間の幅が広く、大型の荷物が積みやすくなっています。
荷室容量は同クラスSUVトップクラスの575リットルを確保。9.5インチのゴルフバッグなら4個収納できます。
また、後部座席を倒した際のシートと荷室の段差はなくフラット。荷物の出し入れも簡単にできますし、アウトドアシーンや車中泊にもしっかり対応してくれるでしょう。
グレード別設定ですが、荷室左側には100V AC電源があるため、アウトドアで電気毛布や冷蔵庫、電気ポットなどが使用できます。
こちらもグレード別設定ですが、インテリジェントキーをバッグやポケットに入れたまま、リヤバンパーの下に足先を入れて引くだけで、ドアが自動でオープンまたはクローズする「リモコンオートバックドア」も装備されています。
買い物やアウトドアのシーンで、重たい荷物を両手で抱えているときもハンズフリーでバックドアの開閉を行うことができます。
全モデルに第二世代e-POWERを搭載
フルモデルチェンジにあたり、ガソリンモデルを廃止し、すべてハイブリッドモデルとなったエクストレイル。
パワートレインは、エンジンは直列3気筒DOHC 1.5 L 可変圧縮比エンジン「VCターボ」(KR15DDT)+e-POWERモデルが標準装備されています。
特徴的なのは、この新開発の1.5リットルVCターボエンジンをなんと発電のみに使い、モーターのみで100%駆動するということ。このエンジンには、圧縮比を8.0から14.0まで変化させる先進的な機能が備わっているうえ、VCターボも装着されています。
これによって、エンジンの負荷が少ない巡航中は圧縮比を14.0まで高めて燃料消費量を抑え、加速や登坂のために高い動力性能が必要な時には、圧縮比を8.0まで下げてターボを作動させ、積極的な発電を行います。
低回転で高い発電力を発揮するVCターボや、市街地などではエンジンの起動回数を低減させたり、路面を検知して荒れた道路ではロードノイズを隠すようエンジンを起動させるなど、静粛性にも配慮されています。
WLTCモード燃費は、2WDが19.7km/L、4WDは18.4km/L(3列シート車は18.3km/L)です。
新技術のe-4ORCEでかつてない4WDの走りに
4WDモデルにのみに採用されている日産の新技術「e-4ORCE」は、雪道や未舗装路などだけでなく、日常からアウトドアまですべてのシーンで「走る・曲がる・止まる」性能を飛躍的に向上させるというものです。
市街地などでの走行中、ブレーキ時に2つのモーターが前後の駆動力と回生ブレーキを絶妙に制御し、前のめりになる不快な揺れを抑制。乗っている人の頭の前後の揺れを軽減させ、ストップ&ゴーの多い市街地でも、高級感のある安定した乗り心地です。
また、路面と車両状況を瞬時に判断し、タイヤの摩擦力を最大限使い切れるように前後モーターの駆動力やブレーキをきめ細かく制御。最小限のステアリング操作で思い通りのコーナリングが可能となり、ドライバーの意のままに運転することができます。
オフロードや雪道でも常に最適なトラクションを確保。タイヤのスリップやスタックを回避し、スムースな発進・走行を可能にしているので、路面を選ばない安心感もあります。
そのうえ、高出力モーターがアクセルの踏み込みに素早く応答するので、伸びのある加速で高速道路での合流もスムーズです。
- 執筆者プロフィール
- 清水 圭太
- 1995年生まれ。自動車やファッション、高級時計などのライターとして執筆活動中。現在の愛車はランドローバー、輸入車が好き。週末はSUVで旅行に行くのが楽しみになっている。