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【プリンス スカイライン スポーツ クーペ】ミケロッティがデザインした国産初のイタリアンスポーツ

プリンス スカイライン スポーツ クーペはトリノで披露

日産 スカイライン スポーツ クーペ フロント
個性あるデザインは当時新進気鋭のジョバンニ・ミケロッティが担当。
日産 スカイライン スポーツ クーペ 右 サイド
フレームはセパレートフレーム式となる「バックボーントレー方式」を採用し、高剛性と低床フロアを実現。

プリンス スカイライン スポーツ クーペは、初代スカイラインに設定されたスポーツモデル。1960年、当時の国産車としては珍しくトリノ国際自動車ショーにプロトタイプが出展されました。

この記事で使用する画像はその「トリノ国際自動車ショーに出展されたプロトタイプ」のもの。プロトタイプは各部がトリノ用にモディファイされ、インサイドミラーに同時期開催されていたローマオリンピックを記念する5輪マーク、グリルバッチやエンブレムが装備されるなど、市販車とは異なる特別仕様となっていて、販売はされていません。

1962年にはスカイライン スポーツ クーペが市販化。初代グロリア(スカイライン 1900)をベースとし、デザインではフロントにミケロッティの当時の特徴である、通称「チャイニーズ・アイ」と呼ばれる斜め上へ切れあがるデュアルヘッドランプが採用されました。

グリルは半楕円、直線基調のリア部に程よく効いたテールフィンを配置し、ヨーロッパ車のテイストを各部に感じる仕上がりとしています。また、同時発売されたモデルにはオープントップとなるコンバーチブルも用意されました。

日産 スカイライン スポーツ クーペ 内装
プロトタイプのステアリングホイールは、ナルディ製3本スポーク・ウッドリムと豪華。

市販車の内装では、インパネに大ぶりの速度計・回転計を設置。小ぶりの燃料・水温・油圧・時計と合わせて6連メーターとし、本革シートにフロント部は国産初となるリクライニング式が採用されるゴージャスな仕上がりとしています。

スカイライン スポーツ クーペの架装は、ほぼ手作業といっていいクラフトマンシップで、同時発売のコンバーチブルと合わせても生産台数60台ほどの超稀少車となったのです。

スカイライン スポーツ クーペの新進気鋭デザイナー・ミケロッティとは

日産 スカイライン スポーツ クーペ フロント サイド
ヘッドランプ形状は当時のミケロッティ・デザインを象徴する「チャイニーズアイ」を採用。

プリンス スカイライン スポーツ クーペのデザインは、国産初となるイタリアのカロッツェリアに依頼されました。担当したのは当時新進気鋭のデザイナーであった、ジョバンニ・ミケロッティです。

1921年イタリア・トリノに生まれたミケロッティは、10代の頃よりカーデザインを手掛け、1947年には26歳の若さで独立しデザイン・スタジオを立ち上げます。彼のデザインするモデルは独創的で斬新でありながらも、経済性・生産性にも優れており、スタイリング開発から製図デザインに至る自動車デザイン全行程を自らの会社一社で賄える稀有な存在でした。

手掛けたモデルには、BMWの危機を救った1500、トライアンフの美しい小型スポーツ スピットファイア、フランス・アルピーヌのレースモデル A106 ミッレミリア、マセラティの50年代高級スポーツ 3500GT、日野自動車RRの名車コンテッサなど枚挙にいとまがありません。

プリンス スカイライン スポーツ クーペのデザインをカロッツェリアに依頼する決断を下したのは、当時プリンス自動車の重役であった中川良一氏。彼は視察先のカロッツェリアで見たスポーツカーの美しさが忘れられず、イタリア留学中の井上猛氏を通じジョバンニ・ミケロッティにデザイナーとして白羽の矢を立てることとなったのです。

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スカイライン スポーツ クーペの最高速度は国産車トップ!

日産 スカイライン スポーツ クーペ リア サイド
ベースとなるスカイライン1900よりもリアオーバーハングはかなり長い。
日産 スカイライン スポーツ クーペ 後輪サスペンション
後輪サスペンションは当時では革新的なド・ディオン・アクスル。

プリンス スカイライン スポーツ クーペは、初代グロリア(スカイライン 1900)をベースとしていますが、そのパワートレインには技術者集団プリンス自動車らしい先端技術が随所に採用されています。

車体フレームはバックボーン型(前後車軸間となる車体中央部に背骨にあたる太い補強材を配し剛性を得る車体構造)で、高剛性と低床化を実現。サスペンションも独特で、リアでは国産唯一となるド・ディオン・アクスル式を採用。このサスペンションは車軸懸架式に分類されますが、デフがボディ側に固定されるためバネ下重量を軽減でき、乗り心地が良いことが特徴。

さらに、左右輪は対地キャンバー変化が少なく路面の追従性も確保できるなど、独立懸架と車軸懸架の長所を併せ持ったサスペンションと言えます。

日産 スカイライン スポーツ クーペ ヘッドランプ
プロトタイプのフロントフェンダー・バッジには「スタジオ ジョバンニ・ミケロッティ」の名が刻まれている。

トランスミッションはコラムシフト式の4速MT、4輪ともドラムブレーキが採用され、エンジンは、1.9L 直列4気筒OHVとなるGB4型を搭載。2バレルキャブレターに圧縮比8.5とした結果、最高出力は94PSを達成。最高速度は国産トップとなる150km/hを誇りました。

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わずか60台!スカイライン スポーツ クーペは歴史的価値あり

日産 スカイライン スポーツ クーペ ホイール
雰囲気のあるホワイトウォールタイヤが秀逸。
日産 スカイライン スポーツ クーペ 内装
プロトタイプのインパネ計器類は販売モデルとは違い6連メーターは採用されていない。

プリンス スカイライン スポーツ クーペは、同時発売されたコンバーチブルと合わせても、生産台数60台といわれる超稀少モデル。そのため、個体が市場に出回ることはめったになく、相場価格に関する情報は残念ながらありません。

日産 スカイライン スポーツ クーペ 後輪サスペンション
ド・ディオン・アクスルは車軸懸架だが乗り心地が良いのが特徴。

参考までに、1962年デビュー当時の新車販売価格はクーペが185万円、コンバーチブルが195万円。現在の貨幣価値に換算するとその価値は、クーペが約906万円、コンバーチブルが約955万円となり、非常に高額であることがわかります。(貨幣価値換算には1962年・2018年の消費者物価指数をもとに換算しています)

最新「スカイライン」中古車情報
本日の在庫数 1488台
平均価格 426万円
支払総額 25~8,252万円

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プリンス スカイライン スポーツ クーペ・プロトタイプのスペック詳細

エンジン直列4気筒OHV
最大出力94PS/4,800rpm
最大トルク15.6kg・m/3,600rpm
ボディサイズ全長 4,650mm 全幅 1,695mm 全高 1,385mm ホイールベース 2,535mm
車両重量1,350kg
トランスミッション4速MT
駆動方式FR
乗車定員5人

撮影:宇野 智(MOBY)

※2019年6月、日産自動車がメディア向けに開催した、神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」の取材会にて撮影

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執筆者プロフィール
MOBY編集部
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新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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