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今では絶対作れない?ちょっと古い1970年代以前のヘンタイ軽自動車たち【推し車】
自動車とはその時代の流行や、国や地域の文化や規制に翻弄され、その中でも販売シェアを高めるべく四苦八苦しながら発展してきた乗り物ですが、日本の軽自動車など、決して小型車や普通車のような「普通の自動車」と認められないゆえ、創意工夫が求められました。
それゆえ、後世から見れば「それでいいのか?」と言いたくなるヘンタイ車が生まれる事も多く、今回はちょっと古い1970年代以前のヘンタイ軽自動車をご紹介します。
ホンダ T360(1963年)
DOHC・4連キャブレター(め、めんどくさい…)
1963年、ホンダが初の市販4輪車として軽トラのT360を発売した時、他社が空冷2気筒2サイクル、水冷4サイクル4気筒でもOHVという時期に、なんと水冷4サイクル4気筒DOHCエンジンを搭載。
しかも、未発売のスポーツカーS360用と原型は同じで、商用車仕様とはいえ4連あるいは双胴2連キャブレターもそのままで、当時の軽トラ用でケタ外れにパワフルな30馬力を発揮しますが、調整が面倒でした。
今の軽トラなら、エンジンを作り分けるより低コストで環境対策もしやすいDOHCエンジンが普通ですが、当時はレーシングカーのエンジンを載せたヘンタイ軽トラのようなもので、後に普通のシングルキャブレターとなっています。
スズキ キャリイバン(4代目・1969年)
荷物が積みにくいですよジウジアーロさん!(怒)
日本の経済成長期を支える軽商用車で、スズキは4代目キャリイにオシャレなイタリアのジウジアーロデザインを採用、ライバルに差をつけます。
その結果、軽商用車どころか日本車離れしたスタイリッシュなデザインになったものの、後ろが荷台の軽トラはともかく、1BOXバンではデザインを優先しすぎて重大な問題が発生。
フロント以上にきついリヤウィンドウの傾斜でルーフは短く、荷室容積も減ってしまい、「オシャレだけど荷物が載らない」車になりました。
今なら旧車として人気ですが、実用性を犠牲にした実用車など本末転倒、空前絶後のヘンタイ軽商用車で、スズキもなぜ発売前に修正しようと思わなかったのかが不思議です。
ダイハツ フェローバギィ(1970年)
なんかアメリカでこういうの流行ってるらしいな?知らんけど。
1960年代半ばから1970年あたりは日本自動車史でも妙な時期で、いすゞ ユニキャブやバモスホンダなど、4WDでもないジープ型オープントップ小型車/軽自動車が作られ、まだ豊かでもない時代にレジャー向けとして提案されました。
昔も今も、その種の「気の迷い」は欧米、それもアメリカ西海岸あたりの影響ですが、ダイハツもビートル改造デューンバギーなどの流行に「よっしゃ!ウチでも作るか!」と、張り切ったのかもしれません。
軽商用車用のラダーフレームにFRPボディを載せ、幌はルーフだけでドアもなく、波打つフェンダーがソレっぽいフェローバギィは100台限定で販売したものの、100台も売れなかったと言われています。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...