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「結局は顔でしょ? 男も女もクルマも」兄弟車でも売上に差があるのはなぜ?
トヨタの販売体制が変更されたことも影響を与えた
両車の差をさらに広げる要因となったのは、2020年5月に行われた、トヨタ販売店の「全店併売」。アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店での取り扱いでしたが、全店併売により、全店舗でトヨタ全車種を扱えるようになりました。
トヨペット店以外でもアルファードが売られるようになり、販売台数は一気に増加。人気車のアルファードは好調に売れ、逆に不人気車となったヴェルファイアは一気に落ち込んでしまいます。
筆者知り合いのトヨタ系ディーラースタッフによれば、全店で全てのトヨタ車が扱われるようになってから、クラウンからアルファードへの乗り替えや、ヴェルファイアからアルファードへ乗り替えるパターンが増加したとのこと。
それまで高級セダンを愛用していた層にも、アルファードの威厳ある顔つきや居住性、内装の豪華さなどが好評のようで、高級ミニバンへ乗り換えるケースが増えたようです。
現在、ヴェルファイアは特別仕様車のみの販売に
ヴェルファイアの売れ行きが不調になったこともあり、2021年に一部改良を実施。ヴェルファイアの販売グレードは特別仕様車「GOLDEN EYES Ⅱ」のみとなりました(現在はGOLDEN EYES Ⅲ)。
その結果、2021年のヴェルファイアの販売台数は6,509台にまで激減し、さらに販売格差が大きくなっています。
一方で、アルファードは「X」「S」「SC」「Exective Lounge」など、幅広いグレードを展開。車両価格もアルファードは359.7万円〜、ヴェルファイアは403.6万円〜となっています。
販売店側からみても、幅広いユーザーにアピールできるアルファードは、”売りやすいクルマ”のひとつ。実際にはハイグレードが売れ筋のようですが、アルファードの”買いやすさ”は、ますます人気に拍車をかけていくでしょう。
兄弟車といえど、デザインが違うだけでここまで人気に差が生まれてしまったアルファードとヴェルファイア。現行型のデザインが違っていれば、逆にアルファードが消滅寸前になっていたかもしれません。
近年、トヨタは車種の削減を進めており、「マークX」「プレミオ」「アリオン」「エスティマ」「ポルテ」などの車種が廃止されました。プチバンの兄弟車であるルーミー/タンクも「ルーミー」へ一本化されています。
販売体制の変更によって、”売れない車種”が浮き彫りになっているため、ヴェルファイアが廃止、あるいは統合されるという噂も上がってしまうほど。2023年にフルモデルチェンジが噂されている”アルヴェル兄弟”。いつまで「2モデル体制」が維持されるのか、今後の動向に注目してみましょう。
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- 執筆者プロフィール
- 成田 佑真
- 1993年生まれ。普段は医療機器販売を行っているが、暇があれば自動車関連記事を読み漁る。現在の愛車はA4。子どもの頃からマークⅡに憧れ、社会人になりマークXを購入。週末は必ず手洗い洗車を行い、ドライブに出...