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手放し運転可能なプロパイロット2.0とは?搭載車や便利なナビ連動ルート走行機能についても
「プロパイロット2.0」は、日産の安全運転サポートシステム「プロパイロット」の第2世代モデルです。
「自動運転」の実現・進化を目指している日産が2019年に送り出した最新技術となります。他の自動車メーカーにも引けをとらない、ドライバーの運転を安全かつ便利とする機能が魅力のシステムです。
プロパイロット2.0の機能や従来タイプとの違い、メリット・デメリットを解説します。
プロパイロット2.0とは?
「プロパイロット2.0」は、日産が開発・市販車に採用している安全運転サポートシステムです。2019年に発売したスポーツセダン「スカイライン」に初めて搭載されました。
2016年に登場した、日産の安全運転サポートシステム「プロパイロット」を2世代目へ進化させたものであり、大きな特徴は、特定の条件下で「ハンズオフ」による手放し運転を使える点です。
第1世代のプロパイロットでは、高速道路をはじめとした自動車専用道路でドライバーが指定した走行速度を上限に、前を走行する車との車間距離を保ち、走行レーンから車がはみ出さないようにステアリング操作をサポートするのが主な機能となっています。
しかし、2世代目となるプロパイロット2.0では、第1世代の運転アシスト機能をより便利なシステムへと進化。高速道路の走行車線を進んでいる最中で、一定の条件を満たせばハンズオフ(ステアリングから手を話した状態)での自動運転システムが使える仕組みを採用しています。
プロパイロット2.0の主な機能
プロパイロット2.0には、ハンズオフの手放し運転を一定の条件下で可能とした以外にも、運転を安全かつ快適にする機能が備わっているのが特徴です。
- ハンズオフドライブ
- 車線変更追い越し支援
- ナビ連動ルート走行
- 360度センシング
- インテリジェントインターフェース
ドライバーが苦手としやすい高速道路での運転を手厚くサポートします。車線変更・追い越しのサポートやインターチェンジ・ジャンクションでのルート間違えを予防できるシステムが強みです。
プロパイロット2.0がもつ主な機能を5つピックアップして、詳しく解説します。
ハンズオフドライブ
高速道路などの自動車専用道路で、同一の走行レーン内であればステアリングから手を放し、運転を車側で自動操作を行うシステムとなります。
ハンズオフドライブは自動車専用道路でのみ使用可能で、以下の条件に当てはまるとシステムが起動する仕組みです。
- プロパイロット搭載車に装着しているナビゲーションシステムで目的地までのルートを設定する
- ドライバーが常に前方を注意した状態
- 道路・交通・自ら乗車している車両の状況に応じてすぐにステアリングを確実に操作できる状態
- 対面通行やトンネル、急カーブ、料金所、合流地点など特定の状況以外
条件に合致すれば、高速道路に進入し本線へ合流した段階からハンズオフドライブが使用可能となります。システムは高速道路を降りるまで機能するため、日常では運転する機会が少ないドライバーを心強くサポートしてくれるのが魅力です。
車線変更追い越し支援
高速道路の走行で苦手となりやすい車線変更から前を走行する車の追い越しを手助けしてくれるシステムです。
前を走る車両の速度をシステムが判断し、運転席に備わったメーターで「車線変更支援作動灯」が点灯します。ドライバーへ、車線変更から前を走る車両の追い越しをおすすめしてくれる仕組みです。
「車線変更支援作動灯」が点灯している状態で、ステアリングに備わっているボタンを押すとシステムが自動で車線変更のステアリング操作を行います。前を走る車両を追い越してから、元の車線へ戻る動作までサポートしてくれるのが魅力です。
ただし、車線変更追い越し支援は以下の条件を満たしていなければシステムが発動しない仕組みとなっています。
- ドライバーがハンドルを握った状態
- 車線変更支援作動灯が青色で点灯している
- 速度が約60km/h以上
- 制限速度が70km/h、かつ2車線以上の道路を走行している
- 直線もしくは緩やかなカーブを走行している
- 左右どちらか、もしくは両方の車線が白の破線となっている
手放しでの走行を可能としたハンズオフドライブとは異なり、万が一の衝突事故を回避する目的でステアリングを握った状態での使用を注意事項で促しています。
また、自動車専用道路の制限速度や道路状況により、車線変更支援作動灯が点灯しなければ使えないようになっているのも特徴です。誤作動を防ぐほか、安全な状況で使えるようにプロパイロット2.0のシステムが構成されているとも理解できるでしょう。
ナビ連動ルート走行
高速道路などの自動車専用道路でナビゲーションがプロパイロット2.0に連動しルート通りの走行をアシストしてくれるシステムです。
ナビゲーションシステムへルート設定を行い、目的地まで走行している途中で自動車専用道路を通過する際に使用できます。システムが起動しているかどうかは、運転席のメーターに表示される「ナビ連動制御作動灯」の点灯でわかる仕組みです。
高速道路の本線に合流した段階でシステムが発動し、ナビゲーションと連動したルート通りの走行ができます。高速道路の終点までシステムを使い続けられるため、間違えたインターチェンジで降りてしまう、あるいはジャンクションで目的地とは違う方面に向かうのを防げるでしょう。
ナビ連動ルート走行はハンズオフドライブ・車線変更追い越し支援と2つの機能と結びついており、機能を使うために欠かせないシステムとなります。
ただし、ナビ連動ルート走行は以下の特徴も存在し、プロパイロット2.0を使用する際に注目したいポイントです。
- 高速道路の出口や分岐路、車線の本数が減る地点に接近すると、表示により車線変更を勧められる
- ナビ連動制御作動灯が青色で点灯していても、車線変更支援作動灯が青色で点灯しなければ、ルート走行支援機能による車線変更を勧められない
- ナビゲーションシステムの設定で、「ルート走行支援」をOFFにしていると機能が使えない
- 衝突を避けるためのステアリング制御は存在しない
360度センシング
プロパイロット2.0を正確に作動させるための欠かせないカメラ・レーダー・ソナーによる検知機能です。
プロパイロット2.0搭載車には、7つのカメラと5個のレーダー、12個のソナーが装着されています。上記のアイテムにより、道路に引かれた白線や周辺の標識、前後左右の全域を走行する車両を検知してプロパイロット2.0の機能を正確に使えるようにします。
インテリジェントインターフェース
ドライバーがプロパイロット2.0を活用するため、運転席メーターとインパネにディスプレイ形式で備わっている機能です。
7インチディスプレイモニターの「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」により360度センシングやプロパイロットの作動状況がわかるようになっています。加えて、車線変更のアドバイス、ハンズオフドライブの使用可否など、ドライバーが高速道路を走行している際に得たい情報がわかりやすく表示されるのが魅力です。
さらに、「カラーヘッドアップディスプレイ」もインテリジェントインターフェースの一種です。運転席前のフロントガラスにもプロパイロット2.0の作動状況が投影されるため、少ない視線移動で安全運転をより強くサポートします。
また、「ドライバーモニターシステム」を室内インパネ上に装着しているのも特徴です。ドライバーのわき見や居眠りを防ぎ、プロパイロット2.0の作動条件に満たしているか判断する機能です。ドライバーがプロパイロット2.0の機能を過信し、万が一の事故を避けられるよう万全の仕組みが取り入れられています。
プロパイロット2.0と従来型プロパイロットの違い
プロパイロット2.0は、従来タイプのプロパイロットから何が進化したのかご存じない人も多いのではないでしょうか。従来タイプをベースに、新たな機能が追加されたと考えてもらえたらわかりやすいでしょう。
プロパイロット2.0と従来タイプのプロパイロットの違いを解説します。従来タイプのプロパイロットがもつ機能も紹介しているため、合わせて参考にしてみてください。
プロパイロットの機能
現行では8つの車種(2022年4月現在)に採用されているプロパイロット。2016年にミニバン「セレナ」に初搭載されて以降、グレードごとの標準装備あるいはオプション設定で用意されています。
ステアリングに備わったスイッチを押すと、システムが自動でアクセルやブレーキ、ステアリングを制御し、ドライバーの運転をサポートする仕組みです。
プロパイロットの主な機能は以下の3つです。
- スピード維持
- 車間距離維持(追従・停止・停止保持)
- ステアリング制御
スピード維持
ドライバーが設定した車速で車を走らせられるよう、システムが自動でアクセルをコントロールする仕組みが取り入れられています。
車間距離維持
前を走る車との車間距離を保つため、システムが自動でアクセルとブレーキを制御してくれる機能となります。
例えば、渋滞中に前を走る車が停車したケースでは、システムが自動でブレーキをかけて停車させます。車両がそのまま停車した状態となれば、ブレーキを踏んでいなくとも状態を保てるのが特徴です。
加えて、前の車が発進したら、ドライバーは「レジュームスイッチ」(車を再始動させるためのスイッチ)もしくはアクセルを操作するだけで、再び追従しての走行が可能となります。
ステアリング制御
直線やコーナーで、走行レーンの中央あたりをキープできるようにステアリング操作をサポートする機能となります。
高速道路での走行支援が手厚くなった
プロパイロット2.0と従来タイプのプロパイロットを比較すると、高速道路での走行支援機能が手厚くなっているとわかるのではないでしょうか。
プロパイロット2.0では、新たにハンズオフドライブや車線変更追い越し支援、ナビ連動ルート走行が搭載されています。高速道路でのルート間違いを防げるのが特徴です。
従来タイプのプロパイロットでは、前を走行する車の状況に合わせて車間距離を保ち、直線やコーナーで速度調節をできるのが強みです。
しかし、プロパイロット2.0は、周囲の道路環境や車の状況に合わせた走りを、車体に備わったカメラ・レーダー・ソナーによる360度センシングにより可能となっています。
また、プロパイロット2.0では、標準・広角・望遠の3段階が備わった「三眼カメラ」を採用。「単眼カメラ」式のプロパイロットよりも検知能力が高まり、周囲の状況を読み取る能力が上がっているのも強みです。
プロパイロット2.0は、プロパイロットよりも快適にドライバーと車を目的地に送り届けられるシステムへ進化しています。
プロパイロット2.0のメリット・デメリット
プロパイロット2.0は、ドライバーを安全かつ快適に目的地へ送り届けるための機能が備わっています。しかし、プロパイロット2.0のメリット・デメリットに注目すると、搭載されている車をチェックしやすくなり、購入を検討しやすくなるでしょう。
プロパイロット2.0のメリットおよびデメリットを挙げて解説します。
メリット
プロパイロット2.0のメリットは、「ハンズオフ走行も付帯した安全運転サポートシステム」です。
高速道路および自動車専用道路の複数車線のみ、かつドライバーがすぐにステアリング操作ができることが条件で手放し運転を可能としています。
「3D高精度地図データ」を使い、高速道路の形状やすべての走行レーンの状態、標識情報を細かくデータ化。システムが自動で判別して、適切なルートを選択して車を目的地まで導きます。普段は高速道路を使って運転する機会が少なく、経験が少ないドライバーを手助けします。
慣れた手つきのような自然な自動運転を体感できるうえに、万全のデータでドライバーを目的地まで届けられるのがメリットとなるでしょう。
デメリット
プロパイロット2.0のデメリットは、「特定の条件でしかハンズオフ走行ができない」点です。
直線や緩いカーブなどの道路状況やドライバーがすぐにステアリング操作ができるなどの条件を満たしていなければ、ハンズオフドライブの機能が働かない仕組みとなります。
また、プロパイロット2.0の機能を使うためには、「NissanConnectサービス」への加入が求められます。プロパイロット2.0のシステムに含まれている3D高精度地図データを更新しなければ、ハンズオフ走行以前にプロパイロット2.0が使えなくなる仕組みです。
プロパイロット2.0を使うためには、特定の条件下でしか使えない点と費用負担が求められる点をおさえましょう。
プロパイロット2.0搭載車
プロパイロット2.0を搭載しているのは2車種(2022年4月現在)です。
ラインナップを引っ張る高級スポーツセダンと、未来を担うSUVタイプのBEV(電気自動車)のグレード別設定となっています。
アリア
「アリア」は、日産のラインナップを充実させるべく投入されるクロスオーバーSUVタイプの電気自動車です。
アリアは一部のグレードを除き、”limited”を中心にプロパイロット2.0が搭載されます。
プロパイロットに加えて、電動の4WDシステム「e-4ORCE」を採用したグレードを用意しているのも魅力となるでしょう。路面や走行など状況に応じてタイヤのグリップ力を活かせるように、駆動力を車体前後に適切な配分を行います。
プロパイロットとe-4ORCEによって、新たなSUV像を味わえる車として注目を集めるのではないでしょうか。
アリアのプロパイロット2.0搭載グレードは以下の通りです。
- B6(メーカーオプション設定)
- B6 limited(標準装備)
- B6 e-4ORCE limited(標準装備)
- B9 limited(標準装備)
- B9 e-4ORCE limited(標準装備)
スカイライン
「スカイライン」は、60年以上の歴史をもつ高級スポーツセダンです。プロパイロット2.0を搭載した初の車種となります。
プロパイロット2.0を積むのはハイブリッド仕様に絞られているのが特徴です。ハイブリッドシステムを含めた最高出力は364馬力。3500ccのV型6気筒NA(自然吸気)エンジンによる力強い加速と、発電と走行の両面で活躍するモーターの効率がよいアシストを実現している車です。
スカイラインのプロパイロット2.0搭載車は以下の通りです。
- GT Type SP(HYBRID、2WD/4WD)
- GT Type P(HYBRID、2WD/4WD)
- GT(HYBRID、2WD/4WD)
- 最新「スカイライン」中古車情報
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本日の在庫数 1491台 平均価格 426万円 支払総額 34~8,252万円
次期新型はe-POWER、プロパイロット2.0を搭載か
- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。