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アンダーステアとオーバーステアとは?FF車の多い市販車はどっちが主流?
目次
アンダーステアとオーバーステアとは?
「アンダーステア」と「オーバーステア」は、車を運転している方には単語自体を耳にした経験が少なくても、何かしらの局面で関わりをもっている特性です。
例えば、車を運転していて、コーナーを曲がっているとしましょう。ハンドルを切っていても曲がらなかった、あるいは曲がり過ぎてヒヤリとした経験はありませんか。これに関係しているのがアンダーステアやオーバーステアです。
1980年代以降、乗用車にはFF(フロントエンジン・前輪駆動)レイアウトが普及し、今や多くの車が採用しています。FFレイアウトの車は、アンダーステアとオーバーステアのどちらが当てはまるのでしょうか。
今回は、アンダーステアとオーバーステアを、それぞれの特徴やメリットデメリット、FFならどちらが適切かを交えて解説します。
アンダーステアとは?
コーナーを曲がっている最中に外側へ膨らむ現象
アンダーステアとは、車をコーナーで走らせているタイミングで一定のハンドル角を維持し続けていると、徐々に車体が外側へ膨らんでいく現象です。
速度が上昇すると同時に前輪がグリップ力を失って、外側へ膨らむ症状が強くなります。
片道一車線の分離帯がない道路などでは、対向車線を走っている車と衝突事故を起こす可能性もある症状です。
FFもしくは4WDを採用した車に多い?
アンダーステアが起こりやすい代表例に、FFもしくは4WD(四輪駆動)のレイアウトを採用した車が挙げられます。
FFを採用している車は、エンジンや「駆動輪」(エンジンから発生したエネルギーが伝わって動く車輪を指す)が車体前方にまとまって配置されています。車体の前方に重さがある物体が固まるため、直進安定性が高まるのが特徴です。
しかし、コーナーを曲がる際に速度を上げ過ぎると、前輪のグリップ力を失います。前輪が滑ってしまうため、ハンドルを切っても反応が鈍くなり、アンダーステアの現象が出やすいとされています。
一方、4WDを採用している車は、車体についている4つの車輪すべてが駆動輪となるのが特徴です。車体の前後、もしくは中心部にデフ(デファレンシャルギア)と呼ばれるシステムが使われています。
デフは、車輪ごとに生じる回転の差を吸収してコーナーを曲がるようにしているため、アンダーステアにならないよう工夫されているのが特徴です。
しかし、多くの4WDはFFをベースに作られています。FFと同様、ハンドルを切っても反応が鈍いなどの症状があり、コーナーを苦手としている車種が多いのも特徴に挙げられるでしょう。
無理をしなければアンダーステアには対処できる
無理な運転をしなければ、アンダーステアの症状があっても車を問題なく走らせることは可能です。
高い速度域でコーナーを通過しようとすると、車体の動きが外側へ向かい危険な状態となります。しかし、アンダーステアの特性を理解して、適切な操作を行えば事故を起こす心配は減らせるでしょう。
コーナーの進入前にブレーキを使う、あるいはアクセルを緩めるか離す操作が大切です。ブレーキとアクセルを上手に使うことで、減速を行ってからコーナーへ進入する状況を作れます。そうすることで、ハンドルを使った大きな修正をせずに走れるようになるでしょう。
オーバーステアとは?
コーナーを曲がっている最中に内側へ曲がり過ぎる現象
オーバーステアとは、車をコーナーで走らせているタイミングで一定のハンドル角を維持し続けていると、徐々に車体が内側へ切れ込み曲がり過ぎてしまう現象です。
速度が上昇すると同時に後輪が滑るようになり、内側へ切れ込む症状が強くなります。
症状が強くなり過ぎた結果、車体が後輪から滑り、スピンを引き起こして事故に繋がる可能性があるため注意しなければならない症状です。
FRやMR、RRレイアウトを採用した車に多い?
オーバーステアは、後輪駆動のレイアウトを採用した車で生じやすい現象です。
後輪駆動レイアウトには3種類存在します。それぞれエンジンの搭載位置が異なっていますが、駆動輪がいずれも後輪となっているのに注目です。
- FR(フロントエンジン・後輪駆動)
- MR(ミッドシップエンジン・後輪駆動)
- RR(リアエンジン・後輪駆動)
いずれのレイアウトでも、コーナーを許容できる範囲外の速度で駆け抜けようとすると、後輪がグリップ力を失って挙動を乱します。結果、後輪が滑って車体の動きがより内側に進むようになり、スピンを引き起こしてしまうでしょう。
FFや4WDのアンダーステアは前輪のグリップ力を失ってから曲がらなくなる症状が起こります。反対に、FRやMR、RRのオーバーステアは、後輪のグリップ力を失ってからハンドルを切った量以上に曲がってしまうのが特徴です。
急ハンドルとブレーキ・アクセル操作に気を付ければ問題なく走れる
オーバーステアは、丁寧なハンドル操作とブレーキ・アクセル操作を行えば問題なく走行ができます。
コーナーに進入するときの速度をブレーキやアクセルの操作で調節することが大切です。適切な速さで通過すれば後輪が滑る症状を抑えられるため、安全に走行を続けられるでしょう。
また、MRやRRのレイアウトを採用している車は、エンジンが車体の中心部から後方に設置されています。車体前方にエンジンを置いているFRよりも重量が後ろ寄りになっているため後輪に負担がかかり、オーバーステアとなりやすいのが特徴です。
MRやRRの車を運転する際は、急ハンドルにも注意するとよいでしょう。オーバーステアになりにくく、安全な運転が可能となります。
- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...