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車のエンジンの押しがけとは?メリット&デメリットからやり方までご紹介

車のエンジンの押しがけとは

©Peter Atkins/stock.adobe.com

車のエンジンの押しがけとは、車を押すことによってエンジンをかけることいい、一般的に人の力で押すことを指す場合が多いです。
タイヤが回転する力をドライブシャフトやミッションを介してエンジンに伝えることによってエンジンを始動するので、ガス欠やその他の箇所に故障がなく、バッテリーが弱ってセルモーターを回せない場合などに緊急的に使うことができます。
ただし、電子制御の燃料ポンプやインジェクターを装備した車では、燃料を送ったり点火することができないほどバッテリーが完全放電してしまうと、押しがけしてもエンジンを始動することは困難になります。

押しがけした経験のあるドライバーは多くはないでしょう。

「引きがけ」という方法もある

牽引ロープ
©Shutterstock.com/ Monika Wisniewska

押しがけのように外から力を加えてエンジンをかける方法に「引きがけ」というものもあります。
こちらは牽引ロープなどで他の車に引いてもらったりすることで、エンジンを始動するのに必要な勢いをつけます。

車のエンジンの押しがけのメリット

バッテリー
©koonsiri/stock.adobe.com

追加の機材が不要

通常、バッテリー上がりの応急対応ではブースターケーブルやポータブルバッテリー、救援用の車などが使われますが、押しがけでは車を押してくれる人がいれば他に機材はいりません。
押しがけでは、ブースターケーブルやバッテリーがすぐに用意できない場合でもエンジンがかかるかを試すことができます。

軽量な車なら1人でできる場合も

こちらの動画では、軽自動車を1人で押しがけしています。

平らな場所では動かすことが難しい場合でも、緩い斜面などを利用すれば小型車くらいまでならこの方法でエンジンをかけることができるかもしれません。
安全面からドライバーが押すことはあまりお勧めできませんが、どうしても救援を期待できないような場合の最終手段として、1人で押しがけするという方法もあります。

車のエンジンの押しがけのデメリット

基本的にAT車は押しがけできない

©birdlkportfolio2559/stock.adobe.com

AT
車に多く搭載されているトルクコンバータ式では、クラッチの代わりにオイルを介してエンジンの動力を伝えるため、押しがけをしたとしてもタイヤの回転をエンジンに伝達できない構造となっています。
また、走行状態によって最適なギアを選択するために、シフトチェンジも電子的に制御されるようになっていることや、PかNにギアが選択されていないとエンジン始動できないなど電子的にも物理的にも押しがけができない構造となっています。
AT限定免許でも乗ることができる、デュアルクラッチ式(DCT)などのオートマチックマニュアルトランスミッションにはクラッチがありますが、ドライバーが任意のタイミングでクラッチをつなぐことができません。

このような理由から、基本的にAT車では押しがけすることができません。

MT車でも100%押しがけが可能とは言えない

ECU
GMPX パブリック・ドメイン
出典 : https://ja.wikipedia.org/

近年の車では、搭載されたコンピューターによって、車両の状態に応じた高度なコントロールがされるようになってきています。
それに伴って、燃料ポンプや燃料噴射装置、点火装置などエンジンの始動にかかわる部分でも、電子的に制御されることが増えてきています。
したがって、MT車であっても押しがけが可能と断言することはできません。

パワーステアリングなどは使えない!

車を押しがけする時にまだエンジンはかかっていませんので、パワーステアリングによるハンドル操作のアシストは使えません。

また、フットブレーキを踏む力を低減してくれる倍力装置(ブレーキブースター)も働かないので、ブレーキペダルは重くなり、ブレーキの効きも悪くなります。

車の押しがけには安全な場所が必要

車の操作系が重くなるとドライバーの操作に対する車の反応も遅く、不十分なものになりがちです。
車を押しがけする場合は人や他の車に危険を及ぼさず、十分な広さのある場所で行うようにしなければなりません。

車のエンジンの押しがけのやり方

それでは、実際に車の押しがけする際のやり方について確認してみましょう。

下り坂を利用したMT車の押しがけ

1.車のキーを「ON」の位置まで回します。
この時、バッテリーに負担をかける電装品は使わないようにしましょう。

2.クラッチを切ったままギヤを1速または2速に入れて、パーキングブレーキを解除します。

3.車を押してもらい、小走り(10~15km/h)くらいのスピードになったらクラッチをつなぎます。

4.エンジンがかかり始めたらクラッチを切ってアクセルを踏み、エンストしないようにします。

5.エンジンが安定して回転するようになったら車を停め、しばらくアイドリングさせます。
※必要であればアイドリングより少し高めの回転を保ち、バッテリーを充電します。

車の押しがけのやり方は以上となります。

クラッチをつないだ時に押す人の負荷が増えますが、小走り程度のスピードを維持するのがポイントです。
ギヤ比によってエンジンがかかりにくいようなら、1つ上のギヤ(2~3速)を使ってみると良いでしょう。

車のエンジンの押しがけは最終手段と考えよう

©metamorworks/stock.adobe.com

車のエンジンの押しがけについて、その意味とメリット・デメリット、やり方について解説しました。
MT車では、バッテリーが弱ってセルモーターを回すことが出来なくなってしまっても、人が押したり坂道を利用することによって、エンジンを始動できる場合があることをお分かりいただけたと思います。

人力での押しがけには相応の力も必要になりますので、バッテリー上がりでは、まずロードサービスを利用するなどの方法を検討したほうが良いでしょう。
押しがけは最後の手段として、ハンドルなどの車の操作系が重くなっていることに注意して、十分に安全を確保できる場所で行わなければいけません。
普段からライトの消し忘れやバッテリーの寿命に注意して、不意のバッテリー上がりを起こさないようにしたいですね。

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執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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