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「逆あおり運転」とは?該当する違反や対処法など!損害額3,000万円の事故も
逆あおり運転とは
逆あおり運転とは、走行する自動車の前方に割り込み(あおりハンドル)、わざと遅い速度で走行したり急ブレーキをかけたりする行為を指します。
後続車がクラクションを鳴らすと車を止めて恫喝してきたり、耐えかねて追い抜いた途端に速度を上げて後方から追いかけてきたりと、かなり悪質な危険運転です。
なぜ”逆”あおりなのか?
通常のあおり運転は、後ろから高速で接近してくる行為を指すため、前方を低速で走行する行為が「逆あおり運転」と呼ばれるようになりました。
本記事では、逆あおり運転による被害の例を簡単に紹介し、どのような罪に該当するのか、どう対策していけば良いのかを順に解説していきます。
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逆あおり運転による被害の例
これまで話題になった逆あおり運転の例を2つ紹介します。
一般道で大渋滞「10キロおじさん」
2020年にニュース番組で報道されたことにより話題となった「10キロおじさん」。
10キロおじさんとは、神奈川県清川村周辺の道路で、時速5km~10kmの「ノロノロ運転」を約10年間にわたって続けている男性のことです。
彼が出没する道路には追い越し禁止区間もあり、ひどいときには十数台の後続車が行列をつくることもあるようです。
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3,000万の損害が発生した例も
2021年では、1月19日に逆あおり運転による事故が発生しています。
被害に遭ったのは滋賀県・京滋バイパスを走行していた大型トラック。左車線を走行する大型トラックの前に、乗用車が突然割り込んで急ブレーキをかけました。
それを受けた大型トラック側は、急ブレーキかつ左にハンドルを切ることで、なんとか大事故を免れています。
しかし、回避時の衝撃でトラックの積荷が破損し、それによる損害額は3,000万円に登る可能性があるとのことです。
逆あおり運転はどのような罪になるのか
逆あおり運転をした場合、以下の交通違反に該当します。
- 追いつかれた車両の義務
- 車両通行帯違反(追い越し車線で発生した場合)
- 最低速度違反(高速道路の場合)
- 妨害運転罪(急ブレーキをした場合)
これらの違反を順に解説します。
①追いつかれた車両の義務
この義務は道路交通法27条で定められており、「追い越されている間に加速してはいけない」「後続車が追い越しやすいために道を譲る」という2つの要素から構成されています。
前者は相手の追い越しを妨げてはいけないという意図があります。追い越されている最中に加速をしてしまうと、相手と並走する状態となり、いつまでも追い越すことができません。
後者は、主に2車線以上の道路における話になりますが、要するに追い越しやすいように左車線に移るべきだということです。
1車線以上でも2車が通行できるスペースが有れば、歩道側に寄ってスペースを作る、路肩に一時停止するといった方法で道を譲りましょう。停止する際はウインカーやハザードランプなどを事前に点灯することを忘れないでください。
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②車両通行帯違反
追い越し車線を低速で走行していた場合の違反です。
道路交通法では、「道路が2車線以上の場合、高速道路などでは原則『道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯』を通行しなければならない」と定められています。
つまり、低速で走行することが問題ではなく、追い越し目的以外で追い越し車線を走行したことが違反にあたります。
逆あおり運転に関わらず、この違反は高速道路で発生するケースが非常に高いので注意が必要です。
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③最低速度違反
一般道には最低速度が設定されておらず、いくら低速で走行してもそれによって罪に問われることはありません。
しかし高速道路では、「本線車道で速度指定のない区間」に限り、時速50kmの最低速度が道路交通法により定められていて、これを下回る速度で走行した場合、以下の罰則が発生します。
自動車区分 | 反則金 | 違反点数 |
---|---|---|
大型車 | 7,000円 | 1点 |
普通車 | 6,000円 | |
二輪車 | 6,000円 | |
小型特殊車 | 5,000円 |
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④妨害運転罪
妨害運転罪は、あおり運転被害の増加をうけ、2020年6月に創設された新しい法律です。
他車の通行を妨害する目的での違反行為を取り締まる法律で、逆あおり運転が該当するのは主に以下の行為です。
- 通行区分違反
- 急ブレーキ禁止違反
- 車間距離不保持
- 安全運転義務違反
よく見ると先程紹介した違反も含まれています。しかし、妨害運転罪と認められることで、上記の違反よりかなり重い罰則をうけることになります。罰則は以下のとおりです。
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 運転免許の取消し(欠格期間2年、前歴や累積点数がある場合には最大5年)
中でも悪質な場合はより罪が重くなり、以下のようになります。
- 5年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 免許取り消し(欠格期間3年、前歴や累積点数がある場合は最大10年)
逆あおり被害に遭ったときの対策法
追い越し禁止の道路では、たとえ前走車がどんなに遅くても追い越しはできません。つまり、逆あおり運転に遭遇してしまった場合、その場においての有効な対策方法はありません。
しかし、その車が一時停止していた場合、障害物と見なされて追い越すことができるようになります。バス停に停まっているバスを追い越せるのと同様です。
結論、逆あおり被害には決定的な対策はなく、1車線しかない場合、相手が停車するのを待つほかないということになります。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...