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スパークプラグの交換時期はいつ?故障したときの症状は?
目次
スパークプラグとは?
スパークプラグとは、燃料と空気の混合気を爆発させる着火装置です。火花を出し、空気と燃料の混合気を爆発させます。スパークプラグの種類は3種類あり、それぞれ特徴があります。
近年、一般的となったイリジウムプラグは強度が高く、従来の物より大幅に寿命が延びました。壊れづらくなったスパークプラグですが、永遠に使えるものではありません。消耗品の一つであり、劣化や摩耗によりどうしても故障してしまいます。
故障すると、最終的にエンジンがかからなくなってしまうのですが、故障の種類によってはアイドリングが安定しない、加速がもたつくなどの症状が出ることがあります。
スパークプラグとエンジン
エンジンへ取り込まれる空気の流れは以下のとおりです。
- エアダクトから外気を取り入れる
- スロットルボディで空気の量を調整
- インテークマニホールドに取り込んだ空気にインジェクターで燃料を噴射し混合気を作る
- シリンダー内に混合気を取り込む
- ピストンにより混合気を圧縮
- スパークプラグで着火し爆発
- エキゾーストマニホールドに流しマフラーから大気に排出
このようにまず空気を取り入れ、燃料を噴射し圧縮、そのあとスパークプラグで着火という流れになっています。その爆発の起点となるのがスパークプラグなのです。
スパークプラグは電気により動いています。着火するタイミングで大電流を流し、火花を起こす仕組みです。今でこそあまり交換することのないスパークプラグですが、一昔前は定期交換部品の一つでした。
このようにスパークプラグはガソリン車では必須のパーツです。余談ですがスパークプラグはディーゼル車には搭載されていません。
スパークプラグが故障したときの症状は?
スパークプラグが故障したときの症状はいくつかあります。ただしここでお伝えしている症状は、必ずしもスパークプラグだけが原因であるというわけではありません。 あくまで原因の一つとして考えてください。
アイドリングが安定しない
スパークプラグの調子が悪くなるとアイドリングが安定しなくなります。アイドリング時にエンジン音が不規則になった状態をアイドリング不調と呼び、エンジン周辺のなんらかの装置が故障している可能性が高いです。
そして、スパークプラグがきちんと作動していない可能性も考えられます。
例えば、6気筒(シリンダーが6つ)のエンジンがあるとしましょう。そのなかで1番目のシリンダー内のスパークプラグが壊れ、火花を出せない状態の場合、このような症状があらわれることがあります。
エンストする
アイドリング時や加速時にエンストする場合も、スパークプラグの可能性があります。エンストと聞くとMT車のイメージが強いと思いますが、AT車でもエンストはします。
なぜエンストするかというと、動力源が絶たれエンジンが自己の力で動き続けられないからです。そのためアイドリング時などにエンストの症状が出た場合、エンジンの3要素である
- よい混合気
- よい圧縮
- よい点火
このどれかを疑い故障診断を行います。
エンジンがかからない
エンジンがかからない場合もスパークプラグの可能性を疑いましょう。多くのプラグが故障してしまうと、いくらエンジンスタートボタンを押してもエンジンはかかりません。スターターモーターは回るので「キュルキュル」という音は出るでしょうが、その後に続かないのです。
しかし、1つのスパークプラグが故障しただけであればエンジンがかかる場合もあります。例えば4気筒の車で3番目のスパークプラグが故障し、火花を出せなくても始動はできますが、アイドリング不調やエンストなど他の症状があらわれます。
加速がもたつく
加速がもたつく場合もスパークプラグが原因であることがあります。加速しようとアクセルを踏み込んでも、思うように加速せず時間差で加速したりすることを加速がもたつく呼びます。
爆発がうまく行われておらず、スムーズに動力を作り出せないことが原因です。スパークプラグだけが原因ではないかもしれませんが、原因のひとつとして考えられるので早めの交換をオススメします。
スパークプラグを交換しないと車の性能が大幅に低下する!
スパークプラグを交換しないと、車の性能は大幅に低下します。具体的には以下のような悪影響があります。
- 燃費が落ちる
- 走る力が弱くなる
- エンジンへのダメージが蓄積され寿命が縮む
- その他の装置への負荷も大きくなる
特にエンジンやその他の装置へのダメージは、車の寿命に大きくかかわる部分です。スパークプラグを交換しても蓄積されたダメージは消えません。そのまま放置しておくと、最終的にエンジンをかけることができなくなってしまいます。
そのため、スパークプラグが故障している、もしくは長年使っていて寿命が近い場合、早めに交換することをオススメします。
イグニッションコイル故障の可能性も
スパークプラグが故障したときの症状をお伝えしましたが、同じ症状でイグニッションコイルが故障している可能性も考えられます。
イグニッションコイルとは、スパークプラグへ電気を流す装置です。スパークプラグを動かすためには、1~3万Vの電圧が必要になります。しかし、車に取り付けられているバッテリーは12Vしかありません。
そのため、イグニッションコイルを使い一時的に12Vを数万Vへ変換しています。つまり、イグニッションコイルの故障でもスパークプラグは正常に動かないのです。もしスパークプラグの故障を疑う場合、同時にイグニッションコイルの故障も疑わなければなりません。
簡易的な診断方法はあるものの、初心者がエンジンに関わる装置を触るのはあまりオススメできないので、整備工場へ持ち込み診断をお願いしましょう。
スパークプラグの種類と交換時期
プラグの種類 | 交換時期 | 特徴 |
一般プラグ | 1万~2万キロ | 昔一般的に使われていた プラグニッケル合金を使用 |
白金プラグ | 一般プラグと同じものから 高寿命の物は10万キロまで無交換でよいものも | 白金(プラチナ)を使用 |
イリジウムプラグ | 一般プラグと同じものから 高寿命の物は10万キロまで無交換でよいものも | 現在主流になっている プラグイリジウム合金を使用 |
スパークプラグは上記の表で書いたように、大きく3種類にわけることができます。そして、スパークプラグは消耗品です。耐久力が高く寿命が延びたスパークプラグでも永遠に使えるわけではありません。そのため適切な交換時期を知り、定期的に交換するようにしましょう。
イリジウムプラグは全てのタイプで、10万キロ無交換でよいという誤った知識が広まっていますが、10万キロ無交換でよいのは高寿命タイプのみです。高寿命タイプでない場合、一般プラグと同じ頻度で交換しなければなりません。
それぞれの特徴をご紹介します。
①一般プラグ
一般プラグとは、中心電極にニッケル合金を使用しているスパークプラグを指し、イリジウムプラグがまだ普及していない時代に最も使われていたプラグです。
中心電極とは、L字に曲がった金属と対面するようにチョコっと突き出している突起を指します。言葉で説明するのは難しいですが、実物を見てもらえばすぐに分かるでしょう。
この中心電極が摩耗することで、スパークプラグの寿命が訪れます。一般プラグの交換は1万~2万キロと頻度は高めです。そして3種類のなかで最も値段が安い代わりに、耐久力が低い特徴を持ちます。
②白金プラグ
白金プラグとは、中心電極にプラチナと呼ばれる白金を使用しているスパークプラグを指します。一般プラグより耐久力が高く、着火性能もよい特徴を持ちます。
着火性能がよいということは、一般プラグでは着火しづらかった温度でもスムーズな着火ができるということです。そのため、よりスムーズな加速や燃費の向上が期待できます。
白金プラグは高寿命タイプとそうでないものの2種類があり、高寿命タイプであれば10万キロ交換せずに使い続けられます。しかし、そうでないタイプは一般プラグと同じように、1~2万キロでの交換が必要なので注意しましょう。
③イリジウムプラグ
イリジウムプラグとは、中心電極にイリジウムを使用しているスパークプラグを指します。白金プラグと同様に耐久性、着火性共に高い特徴を持ちます。
近年、多くの車に使われているものがイリジウムプラグです。そのため、新車購入時から一度もスパークプラグを交換したことがない方も多いのではないでしょうか。
イリジウムプラグと白金プラグは多くの特徴が似ています。交換頻度に関しても白金プラグと同じく、高寿命タイプは10万キロ、そうでないものは1~2万キロで交換する必要があります。
スパークプラグの交換方法
自分で交換する
まず自分で交換する方法です。
自分で交換する場合のメリットは以下2つ。
- 工賃がかからないので安く抑えることができる
- 愛車の知識が増える
それに対しデメリットは以下3つ。
- 工具を揃えなければならない
- 交換する手間が発生する
- 交換に失敗すると不具合が発生することもある
正直、スパークプラグの交換は難しい作業ではありません。しかし、新しいスパークプラグの電極周りを破損してしまえば、うまく火花を出すことができずエンジン不調になる可能性も。また、締め付けトルクを守らなければ、振動が出たり破損したりとトラブルの元です。
このように自分で交換する場合、ある程度のリスクがあります。そのため交換する際は、正しい知識を持ち交換するようにしましょう。
整備工場やディーラーにお願いする
一般的に選択されているのが整備工場にお願いする方法です。
整備工場でお願いするメリットは以下2つ
- 部品の発注など全て丸投げできるので楽
- プロが行うので失敗がない
それに対しデメリットは以下2つです。
- 工賃がかかるので費用が高くつく
- 整備工場へ持って行く手間が発生する
しかし、整備工場によってはスパークプラグを交換するだけでなく、簡単に点検をしてくれる場合もあります。また、もし何か気になる点があるなら相談できる点もメリットの一つです。
スパークプラグを自分で交換する方法
準備するもの
- 手袋
- ライト
- プラグレンチ(プラグに合った直径のもの、なおかつ磁石式が望ましい)
- ラチェット
- スピンナーハンドル
- トルクレンチ(角度で締め付ける場合は不要)
- エクステンションバー
- 周りのパーツを外すための工具一式(ラチェットセットなど)
- 新品のプラグ
スパークプラグだけを交換する場合でも、スパークプラグにアクセスできるよう周りのパーツを外さなければならないことがあります。そのため、ラチェットセットなどを購入しておくことをオススメします。
また、スパークプラグは全て同じ形ではありません。車種によって使える使えないが分かれるので、必ず適合表を確認するようにしましょう。この記事ではスパークプラグで有名なNGKとDENSO、2つのメーカーの検索サイトをご紹介しておきます。
Amazonなどで購入する場合、適合するかどうかを必ず公式サイトで確認し購入しましょう。
交換手順
1.イグニッションコイルまでアクセスできるようにする
まず、スパークプラグへ電気を送っているイグニッションコイルへアクセスできるようにしましょう。
車種によっては、むき出しになっている場合もありますが、エアダクトが手前にあり外さないと手が入らないこともあります。なかにはバッテリーを外さなければならないことも。
無理な体勢で交換するのは、失敗の元なので必ず広めのスペースを確保するようにしましょう。交換後は元に戻さなければならないので、忘れそうならスマホなどで写真を撮っておくことをオススメします。
2.イグニッションコイルを外す
作業スペースを確保できれば、イグニッションコイルを外します。イグニッションコイルには、それぞれ電気を流すためのカプラーが取り付けられています。カプラーには外れ防止のストッパーがあるので、ストッパーを押しながら抜きましょう。
また、固定するために10㎜のボルトが取り付けられているので同時に外します。あとは引っ張るだけで取り外せるので簡単です。
注意点としては、外したイグニッションコイルの場所を覚えておくこと。イグニッションコイルは気筒と同じ数あります。そして全てのイグニッションコイルは同じ形なので、適当に外してしまうと、どこに取り付けられていたのか分からなくなってしまいます。
そのため、外した順番に1、2、3、4などと番号を書いておいたり、外した順番で分けておくなどの工夫が必要です。また、古い車であればイグニッションコイルを固定しているボルトにアース線を固定していることもあります。元に戻す際は忘れないようにしましょう。
3.スパークプラグを外す
イグニッションコイルを外せば、スパークプラグを外すことができます。スパークプラグを外す際は、「プラグレンチ」と呼ばれる専用の工具が必要です。
プラグレンチを取り付け、ボルトと同じようにラチェットなどで外すだけですが、できればスピンナーハンドルで一度緩めたあと、ラチェットで緩めていくやり方を行いましょう。
ラチェットだけで作業を行うと、プラグレンチがうまく入り込んでいない場合に気づけないからです。交換する場合、スパークプラグを傷つけてしまっても構いませんが、角が取れてしまうと外すことができなくなります。
そのような失敗を防ぐためにも、一度スピンナーハンドルで緩めてからラチェットを使うようにしましょう。
4.新品のスパークプラグを取り付ける
スパークプラグを外し終えたら、今度は新品のスパークプラグを取り付けます。作業手順は、取り外したのとは逆の手順で大丈夫です。
取り付け時の注意点としては、スパークプラグにプラグレンチを取りつける際、いきなりラチェットを使用しないことです。なぜなら、ラチェットを使うと斜めに取り付けていても気づかないからです。
まずエクステンションバーにスパークプラグを取り付け、エクステンションバーを手に持ち挿入する。そして、手締めをします。斜めなど無理な角度で入っている場合、手では締まりません。
もしおかしいなと思った場合、一度取り外し再度直角に取りつけましょう。そのあと手締めを行い、これ以上締まらなくなってはじめてラチェットを使います。ある程度締め付けたあと、トルクレンチを使い規定トルクで締め付けを行えばOKです。
規定トルクはスパークプラグや車種によって違いがあります。そのため、以下サイトなどで必ず確認しておくようにしましょう。
5.外した手順とは逆の手順で元に戻す
スパークプラグの交換が終われば、イグニッションコイルやその他の装置などを外した手順とは逆の順序で元に戻します。イグニッションコイルもスパークプラグ同様、正しい角度、正しい位置に取り付けましょう。
忘れがちなのは、アースの配線やカプラーです。装置だけでなく、配線も元に戻さなければなりません。やっと終わったと安心するのではなく、作業が終わっても取りつけ忘れがないか再度確認しましょう。
6.エンジンをかけ正常に作動しているか確認する
取付忘れがなければ、最後にエンジンをかけ正常に作動しているかを確認します。もし、イグニッションコイルのカプラーをつけ忘れていればアイドリングが安定しないなどの症状があらわれます。
また、エアフロセンサーなどを外したままエンジンをかけると、エンジンチェックランプが点灯することもあります。そのため作業が終わったあとは、取り付け忘れがないかの確認とエンジンをかけての最終チェックを必ず行いましょう。
スパークプラグ交換を整備工場にお願いする場合
スパークプラグ交換をお店でお願いする場合の交換工賃や作業時間をご紹介します。
ただし、ここに書いている内容は一例でしかなく、車種によって大幅に違ってくる可能性があります。特に水平対向エンジンの場合、一般的な工賃よりも高くなります。
交換工賃
交換工賃は1本あたり550円~5,000円ほどになります。この工賃+部品代がかかります。そのため、4気筒であれば4本分の部品代+工賃という形です。
作業時間
一般的な作業時間は50分から2時間程度です。ただこれも車種により違います。直列のエンジンと水平対向のエンジンでは、スパークプラグまでアクセスする作業量が大きく違い、当然、アクセスしづらい水平対向エンジンの方が作業時間が必要です。
そのため、作業時間や工賃を詳しく知りたいのであれば、車検証を持ち店舗に出向いた方がいいでしょう。
お願いできる店舗
スパークプラグ交換は、車を取り扱っている以下のような店であればほとんどの店舗でお願いできます。
- ディーラー
- 民間整備工場
- ガソリンスタンド
- カーショップ
スパークプラグの交換はよく行われる作業です。そのため、特殊な車両や特殊なカスタムを行っていなければほとんどの店舗で交換してくれます。
特殊な車であればディーラーでお願いする方が安心でしょうし、値段を気にするなら比較的工賃が安いカーショップやガソリンスタンドがいいでしょう。
おかしいと思ったら早めに故障診断を
スパークプラグとはエンジン内で爆発を引き起こすための着火装置です。ガソリン車では必須のパーツであり、スパークプラグがなければエンジンはかかりません。そして定期的な交換が必要な部品です。
現在では高寿命のイリジウムプラグが主流になっており、10万キロまで交換しなくてもよくなりました。しかし、いくら耐久性の高いイリジウムプラグでも、スパークプラグが故障することもあります。
エンジンがかからない、エンストする、加速がもたつくなどの症状が出た場合、スパークプラグの故障も視野に入れておきましょう。スパークプラグの故障はプラグを抜いて確認しないと分かりません。
そのため、おかしいなと感じているのであれば、早めに故障診断をしてもらうことをオススメします。
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- 執筆者プロフィール
- 山北吏(つかさ)
- 1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...