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贅沢?それとも無駄の極み?世界最小V6エンジン・マツダK8-ZEと三菱6A10は”革命”だったのか【推し車】

贅沢の極みか無駄の極みか、小排気量V6エンジンとは

少なくとも量産市販車用としては世界最小、と言われる三菱の1.6リッターV6DOHC24バルブエンジン、6A10

今じゃクルマといえば猫も杓子も電動化路線、ハイブリッドなどで残るエンジンもしばらく前からダウンサイジング一辺倒で、それなりの高級車や高性能車以外は直列4気筒や3気筒が当たり前ですが、一昔前まで「気筒数が多いほどエライ」ような風潮もありました。

それを後押ししたのがエンジン横置きFF車でも大排気量化を容易にしたV6エンジンで、確かに直4エンジンよりは高級感があったので、バブルの頃には軽自動車用直4エンジンとともに、小排気量V6エンジンが「贅沢の象徴」のごとく開発されたものです。

実際には部品点数が多く高コスト、重いし気筒容積も非効率で燃費が悪く、後から考えれば「ムダの極み」でしたが、今回はそんなムダの限界に挑んだ国産小排気量V6エンジン搭載車を紹介します。

発売当時の世界最小V6、ユーノス プレッソ(マツダK8-ZE)

発売当時世界最小排気量のV6エンジン搭載車だった、ユーノス プレッソ

バブル時代、「トヨタに追いつけるとしたらこれが最後の機会」となけなしの力を振り絞り、最後は乾いた雑巾のようにボロボロになったマツダが、もっとも勢いのあった頃に華々しくデビューさせた1.8リッターV6DOHC24バルブ「K8-ZE」エンジン。

後述するようにすぐにその座を奪われるとはいえ、1991年6月にFF2ドアクーペの「ユーノス プレッソ」に搭載されてデビューした当時は紛れもなく「世界最小の市販車用V6エンジン」でした。

トヨタの1VZ-FE(1987年)や日産のVG20(1983年)のように2リッターV6エンジンは既にありましたが、それらが5ナンバーフルサイズセダンなどへ使われたのに対し、K8-ZEは1.8~2.5リッター級ミドルクラスセダン/クーペ用です。

姉妹車のオートザムAZ-3が「直4専用クーペ」として1.5リッター直4のB6-ZEを搭載したのに対し、プレッソは「V6専用クーペ」として発売。

「ユーノス」と「オートザム」では同じクルマでもブランドで差をつけた形で、後に両車とも互いのエンジンを追加したとはいえ、今ひとつスポーティでも安くもない中途半端さで国内向けの人気はイマひとつ。

他に2リッター版KF-ZE、2.5リッター版KL-ZE、世界初のミラーサイクルエンジンKJ-ZEMがあった中でも、安価な直4エンジンで廉価版向けとしては十分コト足りてしまう1.8リッターのK8-ZEはもっとも短命で、プレッソ/AZ-3とともに1998年で消えました。

今でも世界最小、三菱 ランサー6 / ミラージュ6(三菱6A10)

「ランサー6」の1台、4代目三菱 ランサーMXだが、外見上、「V6 DOHC 24VALVE」のサイドデカールと、「LANCER6」のエンブレム以外にV6エンジン搭載車を感じさせるポイントは全くなかった。

マツダK8-ZEがユーノス プレッソでデビューして8ヶ月後の1992年2月、「もっと小さいV6」として三菱 ランサー6およびミラージュ6へ搭載されたのが、1.6リッターV6DOHC24バルブの6A10。

「ランサー6」や「ミラージュ6」の名はエンブレム化され、トランクリッドにも誇らしげに貼られていましたが、正確なグレード名は別。

ランサーならMXサルーン、MXリミテッド、ロイヤルの3種で、MXリミテッドには1.5リッター車(直4)が、MXサルーンに至っては1.8リッターディーゼル車もあり、しかも外観からV6とわかるのはエンブレムとサイドのデカールくらいです。

一応、スペック上は140馬力と優れていましたが、1994年に1.6リッター直4DOHC MIVECの4G92エンジンがリッター100馬力超え175馬力のハイスペックを引っ提げ登場すると、1.6リッター級ではあまり求められない「むやみな高級感」だけのエンジンになりました。

結局、1995年10月にランサー/ミラージュがモデルチェンジされると、ギャラン / エテルナやエメロードの廉価グレード用だった6A11(1.8リッターV6SOHC24バルブ)へ更新、それ以来6A10ほどの市販車用小排気量V6エンジンは全く作られていません。

確かにV6エンジンは静粛性に優れて振動も少ないというメリットはあったものの、そのための複雑な機構と多数の部品、高価な価格に対して車格が全く引き合わないか、それらが許容される車格なら2リッター以上の動力性能が求められた、ということでしょう。

もう少し後の時代になると、可変バルブ機構やターボチャージャー、モーターが求められ、V型エンジン自体がより複雑化、吸排気系の取り回しも面倒になって直6が復活したほどですから、どのみち小排気量V6は長く作れるエンジンではありませんでした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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