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ランクル新型250系は意外なモデルの後継だった?“原点回帰”を掲げたランドクルーザーブランド、今後どうなる
世のランクルファンが“今”求めるものとは?
しかし、開発陣のメッセージを冷静に受け止めれば、250系がどういうモデルなのかが見えてきます。そもそも250系の開発がローンチするにあたっては、豊田章雄会長が「ランドクルーザーのど真ん中になるようなクルマを」というリクエストがあったと言います。そこで開発陣が掲げたコンセプトが“原点回帰”。
250系のチーフエンジニアである森津圭太氏は、250系のデザインなどについて「いろいろな過去のモデルからインスパイアしているが、特に40系を意識した」と語っています。まさに、この言葉どおりのイメージが250系のデザインに見て取れます。
顔付きは丸目モデルが40系であり、角目は60系後期だったり、80系だったりにも見えます。サイドは55/56型のようでもあり、歴代プラドのようにも見えます。いずれにせよ、確実に言えることはこれまでのプラドのようなどこかSUVが匂うデザインではなく、完全にオフローダーだということです。
これは300系と比べても同様です。300系も原点回帰した感があり、特にGRスポーツはオフロード色が強いクルマになりました。一方で、スタンダードなラインはラグジュアリーな雰囲気を残したステーションワゴンであり、多様なユーザーニーズに応えたラインナップになりました。
しかし、世のランクルファンが求めていたのは、さらなるヘビーデューティとラギッド感であったことは間違いありません。それはスズキ ジムニーの成功でも十分に理解することができるはずです。
世界的に自然回帰のライフスタイルが広がり、オーバーランドが流行している現在、「都会にマッチするクロカン4WD」というのは、もはやズレた商品になりつつあった気がします。
70系の後継となるのは“新型250系”?
250系はそのフォルム、形状を見てもリアルオフローダーを標榜するだけのことはあります。パーツをエレメント化することで、ぶつけた時でも狭い範囲で交換できることまで考慮されています。300系譲りの電子デバイスをさらに進化させて、特別なテクニックや知識がなくても、誰でもオフロードドライブができるシステムを開発しました。エンジン、ブレーキだけでなく、サスペンションまでも統合制御の輪の中に取り入れたのです。
300系が常にランドクルーザーシリーズを牽引する高級モデルとするなら、250系は新たな時代のワークホースとして誕生したのではないでしょうか。奇しくも、新型70系が同時にデビューしたので話が少しややこしくなりましたが、70系はどんなに進化しても、やはり前時代的なクロカン4WDであることは否めません。
その長い歴史とシンプルな機構ゆえに、未だに世界の僻地で絶対的な信頼を得ているわけですが、やがてその歴史が終焉することは自明の理。その時に70系の後継となるのは、実は250系なのではないかと個人的には感じています。
世界的なライフサイズの変化によって、クルマのボディサイズもどんどん大きくなっており、ランクルとは言えどその流れに沿う必要があります。ただアメリカのフルサイズを考えると、まだ300系や250系はコンパクトな方で、世界的に考えれば実は実用的なサイズと言えます。もちろん安全性への要求に対しての、アンサーとも言えます。
今回発表された250系はおそらく最上級グレードであり、海外向けにはもっとシンプルなモデルも用意されていることでしょう。そんなシンプルかつホワイトボディの250系が、UNの文字を入れて紛争地帯などを駆け回る姿を想像するのは、それほど難しくないのではないでしょうか。
70系は人気もありますので、当分の間はカタログモデルとして販売を継続すると思いますが、やがてステーションワゴン系の300系、ヘビーデューティ系の250系という2系統になるなら、まさにシリーズ全体が“原点回帰”したことになるのではないでしょうか。
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- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...