更新
《徹底試乗》タイパ重視の方は要注目!日産新型アリアを買うべき人と注意点は?
目次
他のBEVと比較してどう?
アリアの直接のライバルとなるのは、トヨタ bZ4Xとスバル ソルテラです。
2022年5月に登場したこの両車は、ボディサイズもほぼ同じで価格帯も近いため、激しいライバル争いが繰り広げられることが予想されていましたが、2022年9月現在、両車はリコール対策の遅れから販売を停止しています。
そうなると、現時点では、EVというカテゴリーのなかではアリアの直接の競合は不在です。リーフやサクラ、ホンダeなどの国産EVはアリアよりも航続可能距離が短く、価格も安いためライバルとは言えません。
反対に、テスラ モデルXやメルセデス・ベンツ EQCなどの輸入EVはアリアよりも車格が大きく、価格もかなり高いため、やはり競合とは言いにくそうです。
ライバルはEVよりも既存ハイブリッド車?
そうなると、現実的には同クラスのガソリン車やハイブリッド車からの乗り替えが多くなるでしょう。日産であれば、先代のエクストレイルはもちろん、生産終了となってしまったフーガのような上級モデルからの乗り換えも考えられます。
実際、アリアのハンドルを握ると、従来のガソリン車やハイブリッド車からの乗り替えを強く意識しているように感じます。
例えば、テスラ モデルXではスーパーカーをもしのぐ圧倒的な加速が体験できるようなチューニングがなされていますが、アリアではあくまで「現実的な」速感に終止しています。
もちろん、ガソリン車に慣れたユーザーからしてみれば、これほどの巨体がスムーズに加速することに驚きを覚えるかもしれませんが、モデルXほど暴力的ではありません。
ドライビングモードを「SPORT」にすることでさらにシャープな加速は味わえますが、それでも常識的なレベルです。
むしろ、「e-Pedal」モードを使用した際のワンペダルドライブのほうが未来感を感じることができるかもしれません。ただ、慣れれば便利な「e-Pedal」も、コツをつかむまでは強力な回生ブレーキに「ギッタンバッコン」してしまうため、使いこなすには少々練習が必要です。
【まとめ】アリアはこんな人におすすめ
正直なところ、現時点ではアリアはどんな人にでもおすすめできるクルマではありません。
そもそも自宅に充電設備が設置されていることを前提としているため、マンションやアパートなどの賃貸住宅に住む人のほとんどは検討することすらないのが現実です。
また、メーカー側で十分な検証は行われているとはいえ、事故や電欠などのトラブルが起こった際には、オーナー自身はもちろん、社会全体がガソリン車ほどのノウハウを持っていません。
自宅で充電できると時間の節約にもなる
このように、ガソリン車と比べると制約やリスクも少なくないEVですが、ある特定の人にとってはそれ以上のメリットを持っているのも事実です。
それは、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する人、例えば、忙しいビジネスマンや経営者などです。
わずかな時間とは言え、筆者がアリアとともに過ごしたなかで感じた最大のメリットは「ガソリンスタンドに行かなくて良いこと」です。
スタンドを探し、移動し、実際に給油する時間といった手間がなくなることは、タイパを重視する人にとっては非常にありがたいことです。さらに、年々ガソリンスタンドが減少していることを考えると、今後はますますガソリンスタンドで給油することが難しくなることが予想されます。
「自宅に帰ったら充電し、翌日には満充電になっている」という使い方は、スマートフォンではごく当たり前のことですが、クルマもそうなりつつあることを実感した今回でした。
ちなみに、アリアでガソリンスタンドに立ち寄ったら、スタッフの方は目を丸くされていました。もちろん、目的は給油ではなく洗車だったのですが、アリアをはじめとしたEVが増えていけば、スタッフの方が驚くことも少なくなるかもしれませんね。
日産の軽EV「サクラ」の試乗記事はコチラ!アリアと比べてみよう
日産の新型車情報はこちらから
その他の最新情報
秘められし『第5のクラウン』が登場するかも!どんなモデルになる?
- 執筆者プロフィール
- 瓜生洋明
- 自動車を中心としたクリエイティブ・エージェンシーである株式会社ピーコックブルー代表取締役社長。仕事柄、国内外の自動車業界の動向に明るく、EVや自動運転など最先端のテクノロジーを専門とする一方で、1996...