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「雪の女王」と呼ばれたクルマ、あなたは知っていますか?国産初の4WDターボマシン・マツダ ファミリア【推し車】

ファミリアがWRCで華々しく活躍した6~7代目

グループAでのWRC優勝こそ叶わなかったものの、グループNでは大活躍したマツダ323GT-Xこと7代目ファミリアGT-X

現在のMAZDA3、現行型へのモデルチェンジにあたっての改名前は「アクセラ」だったクルマの前身である「ファミリア」は、1963年に初代が発売されて以降、一貫してマツダの主力車種であり続けました。

1970年代オイルショックおよび、1990年代バブル崩壊後の2度にわたるマツダの経営危機という重要な局面でマツダを支え、2004年に生産を終えてアクセラを後継とした後も、2023年現在に至るまでライトバン(今はトヨタ プロボックスOEM)に車名を残しています。

マツダファンにとっても当然大事な車種であり、MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きがきになる名車」にもノミネートされていますが、今回紹介する6-7代目では、WRCなどで華々しく活躍した4WDターボ車を中心に紹介しましょう。

国産初の4WDターボはWRCで「雪の女王」と呼ばれた…6代目(1985年)

WRCグループA初年度の1987年、第2戦スウェディッシュラリーで最強マシンのランチア デルタ HF 4WDを抑えていきなり優勝、「雪の女王」と呼ばれたマツダ323 4WD(6代目ファミリアGT-X)

トヨタ カローラをも蹴落とす大ヒットで社会現象になり、1970年代の経営危機を脱したマツダ復活の旗印となった5代目「赤いファミリア」から約4年半、注目の中でモデルチェンジした6代目は3/5ドアハッチバックと4ドアセダンの2種を基本にキープコンセプト。

FRの4代目を継続生産したバン/ワゴンも6代目になって全車FF化、フラッシュサーフェス(平滑化)の徹底でより空力的に優れたモダンなデザインとなったものの、ライバルが販売面での「打倒ファミリア」を目指して同様のモデルをリリースしていた頃です。

後発のライバルにあってファミリアにまだ欠けていたもの…といえばスポーツ性で、WRCのグループA小排気量クラスに出場して好成績を収め、途中からターボ車も追加していましたが、6代目ではさらに大勝負!とばかりに4WDターボ車をリリース。

国産市販車初のフルタイム4WDに、1.6リッターDOHCターボを組み合わせたファミリアGT-XおよびGTは、WRCがグループB廃止、グループA時代の到来という時代の流れにも乗って、活躍していきます。

グループA時代の初年度、1987年シーズンに王者となってその後の一時代を築いたのは2リッター4WDターボのランチア デルタ HF 4WDでしたが、第2戦スウェディッシュラリーで優勝したのは、なんとデルタより小さく小排気量のファミリア(マツダ323 4WD)。

まだセリカGT-FOURもギャランVR-4もいなかった頃、ランチアやアウディとWRCで渡り合える日本車はファミリアくらいという時期があり、1989年にもスウェディッシュラリーとニュージランドラリーで優勝、「雪の女王」と呼ばれました。

後に台頭する国産車も含め2リッターターボ車ばかりの中、1.6リッターターボでパワー不足のファミリアですが、凍結/積雪路では過剰なパワーをもたない小型軽量ボディがモノを言ったのかもしれません。

WRCを舞台にした漫画「ガッデム!」(新谷かおる)に、トヨタに次ぐ日本車のエリートチームじみた扱いでマツダが登場(ただしあまりいい役柄ではなかった)したのも、この時代を反映した設定だと思えば興味深いものです。

なお、この代では時代の流行に乗った、歴代ファミリア唯一のカブリオレも登場した一方、この代のファミリアバン/ワゴンがマツダの独自生産型では最後のモデルになり、1994年以降は日産、2018年以降はトヨタのOEMとなって、ファミリアの名を継いでいます。

ファミリアGT-RのWRC未参戦は惜しかった!7代目(1989年)

WRCで戦い続けるパワーを手に入れるため前置きインタークーラーを採用するなど、ファミリア4WDターボの決定版として期待されたファミリアGT-Rだったが…

バブル景気でイケイケドンドン、トヨタに追いつくなら今しかないと、後になって思えば無謀な拡張期にあったマツダでしたが、その真っ只中の1989年にモデルチェンジしたのが7代目ファミリアでした。

バン/ワゴンが先代の継続生産で3/5ドアハッチバックと4ドアセダンのみ…かと思いきや、後にランティスへと発展する4ドアクーペ(テールゲートつきの5ドアハッチバッククーペ)&リトラクタブルヘッドライトの「ファミリアアスティナ」も登場。

これがマツダ323F(323はファミリアのヨーロッパ名)としてヨーロッパで発売されるやヒットとなり、323(ファミリア)シリーズ全体の販売を底上げ、バブル崩壊後に急激かつ深刻な経営危機に見舞われたマツダを支える功労者になった…というのはまた別な機会に。

この記事で注目したいのは、当初上置きインタークーラーのGT-X、後に前置きインタークーラー化でGT-Rとなった4WDターボモデルで、ライバルのように2リッターターボとはならなかったものの、1.8リッター化でパワー不足をいくぶん解消します。

1990年代からGT-Xが投入されたWRCでは惜しくも結果を残せず、経営危機により撤退したので「雪の女王再び」とはならなかったものの、市販車からほぼ無改造のグループNではタイトルを獲得するなど結果は残し、国内ラリー/ダートトライアルでも活躍しました。

特に前置きインタークーラー化でフロント周りを一新したファミリアGT-Rは、後の世で言うならば「ファミリアエボ」とでも呼ばれそうな、かなりいかつく迫力あるデザイン。

日産のパルサーGTi-Rともども、「メーカーの経営危機で真価を発揮せぬままWRCを去った、悲劇のマシン」であり、セリカやギャラン、レガシィなどと打倒ランチア デルタを目指し、フォード シエラを蹴落とす程度の実力はあったと信じたいところです。

なお、ファミリアそのものは1994年に8代目へモデルチェンジしますが、その際に「ファミリアNEO」を名乗った3ドアハッチバックの奇抜なデザインが日本では大不評、改めて普通の8代目ハッチバックが登場する1996年まで、7代目ハッチバックが継続販売されました。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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