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ロータリーエンジン初の普及モデル《ファミリア ロータリークーペ》とは【推し車】

マイカー時代に生き残りをかけた、高性能量販車への道

オーバーフェンダーによる大幅なトレッド拡大とワイドタイヤを採用した、1970年スパ24時間レース仕様のファミリアロータリークーペ

1966年、後に「マイカー元年」と言われたこの年に誕生した日産 サニー、トヨタ カローラの初代モデルが大ヒット、猛烈な販売合戦が始まります。

その一方で、ライトバンがメインながらもスタイリッシュなヨーロピアンデザインで売れていた800cc~1L級のマツダ ファミリアはサニーやカローラに押されて地味な存在となりかけ、1967年にモデルチェンジする2代目では強烈なアピールポイントが必要でした。

コスモスポーツへ搭載して派手なデビューを飾ったものの、高価すぎて量販に寄与していなかった10Aロータリーエンジンを実用本位の性能へデチューンし、生産性を高めたうえで搭載した「ファミリア ロータリークーペ」(1968年)の誕生です。

800cc級乗用車のベストセラー、ファミリアの苦境

マツダ ファミリアバン(初代)

1963年10月に発売された初代ファミリアは、当初ライトバンのみのラインナップでしたが、当時は商用車を休日にマイカーとして使うのが当たり前、カタログにもファミリーカーとして使われる姿が当然のように描かれた時代です。

安価で仕事に使うのはもちろん、マイカーとして使ってもカッコよくて快適なファミリアは、トヨタ パブリカやダイハツ コンパーノの苦戦をヨソに800cc級のベストセラーとなっており、ワゴンやセダン、クーペ、1,000ccエンジン車を追加して好調でした。

しかし1966年、日産からサニー、トヨタからカローラのそれぞれ初代モデルが登場すると、1,000級の立派なクルマでありながら現実的な価格と、立派に見えるデザイン、排気量の余裕や快適性をアピールして、ベストセラーの座をさらってしまいます。

1967年11月、2代目へとモデルチェンジしたファミリアも1,000ccエンジンを標準としてボディも拡大、カローラやサニーの同クラス車となりますが、販売力の差もあって、このままでは埋もれてしまいかねません。

その苦境に必要なのは「未来のエンジン」と呼ばれてもてはやされた、ロータリーエンジンが必要でした。

高嶺(たかね)の花になりかけていたロータリー

ファミリアロータリークーペ用の10Aロータリーエンジン

西ドイツ(当時)のNSUからヴァンケル・ロータリーエンジンの特許を買って、2ローターエンジンの実用化に成功、1963年に初の搭載車コスモスポーツのプロトタイプを初公開、1967年には市販にこぎつけたマツダですが、ひとつ大きな問題を抱えます。

初の量産ロータリー、「10A」のコスモスポーツ用初期型は生産にかなり手間をかけており、コスモスポーツ自体も量販を目指したものではなかったことから、高価すぎてそうそう買えるクルマではなくなっていました。

せっかく「未来のエンジン」ともてはやされたロータリーを実用化しても、富裕層以外には手が出ないのではマツダの技術力アピールになりませんし、何よりマツダは高級車やスーパーカーのメーカーではなく、大衆車や商用車のメーカーです。

つまり、誰もが乗れる現実的な価格の大衆車にロータリーを積んで、初めて目的を達成したと言えるわけで、コスモスポーツと同じ1967年に発売された2代目ファミリアは、その目的にピッタリでした。

もちろん、コスモスポーツの10Aロータリーをそのまま積んだのでは、いくら高性能でも高価過ぎ、量販大衆車というファミリアの車格に合いません。

まずは、職人が汎用工作機械を使って手作りしていたローターを専用機械で量産可能として、アルミ合金へ炭素鋼を溶射していたサイドハウジングも、特殊鋳鉄に高周波焼入れを施す低コストの量産方法を確立、性能も実用車向けにデチューンします。

こうして2代目ファミリア発売直前の1967年秋、全日本自動車ショーで「RX85」という2ドアクーペを展示、翌1968年7月に「ファミリア ロータリークーペ」として発売されました(なお、ルーチェロータリークーペのプロトタイプ、「RX87」も同時に展示)。

デチューンしてもパワフル!大衆向けロータリーロケット誕生

マツダ ファミリアロータリークーペ

市販型ファミリアロータリークーペの10Aロータリーは、コスモスポーツ前期型の最高出力110馬力/最大トルク13.3kgf・m(後期型は128馬力/14.2kgf・m)に対し、100馬力/13.5kgf・mと実用域を重視してデチューンされています。

しかし、通常の2代目ファミリアが積む直列4気筒OHV1,000ccレシプロエンジン(58馬力)はもちろん、後に追加される1,200ccエンジン(68馬力)、1,300ccエンジン(73馬力)に較べても圧倒的にパワフルで、市販大衆車ベースながら公称最高速度180km/hを誇りました。

同クラスで唯一パワー面で対抗できそうなのは、4キャブレター仕様で115馬力のホンダ 1300 99用の強制空冷1,300ccエンジンくらいですが、複雑で重たいメカニズムや、足回りの問題もあって完成度は低く、小型軽量のファミリアロータリークーペにはかないません。

もちろんクーペだけではファミリーカー需要に応えきれませんから、1969年7月には4ドアセダンへも搭載、「ファミリアロータリーSS」を名乗ります。

課題だったアメリカの排ガス規制対策(マスキー法対策)も、HC(炭化水素)を排気ポート出口で燃焼させるサーマルリアクター方式で乗り切り、輸出名「マツダ R100」として順調にデビューし、「ロータリーのマツダ」を世界中にアピール。

初期のサーマルリアクター方式は燃調を濃くしないと機能しなかったため燃費が悪く、第一次オイルショック(1973年)でガソリン価格が高騰して以降は「ガスイーター(ガソリン喰い)」と嫌われるものの、当初は環境エンジンとしても優秀とされました。

なお、2代目ファミリアは1969年7月にレシプロエンジン版が「ファミリアプレスト」と改名し、ロータリー版も1970年4月から「ファミリアプレストロータリー」を名乗っています。

海外レースでの活躍と、国内レースでの限界

この35号車は、1970年のスパ24時間レースで終盤にリタイヤするまで、優勝争いを繰り広げたマシン

マツダがさらなる成長を遂げるには、実用化したロータリーエンジン車を世界中へ輸出することが必要と考えていたマツダは、大々的な拡販を目的として海外のレースへ積極的に参戦していました。

特に「マラソン・デ・ラ・ルート84時間耐久レース」をはじめとする耐久レースは、すぐに壊れるイメージ(本家本元のNSUはこれに対処できず、自動車メーカーとしての寿命を縮めた)がつきまとった初期のロータリーエンジンの耐久性アピールの場として最適。

1969年、1970年と参戦したスパ24時間レースでは、2年連続で上位入賞を果たす活躍で、1970年には一時トップとなる快走を見せ、トラブルによるリタイヤはあったもののロータリー自体のエンジンブローではなかったため、耐久性アピールには成功します。

しかし、当初は国内レースへ参戦せず、海外からの情報が入りにくい時代で国外レースでの活躍も広く伝わっていなかったため、「勝てないから出場しないのだ」など、不参戦をいい事に陰口も叩かれました。

そこでマツダワークスはファミリアロータリークーペで国内レースへ参戦開始、敵はトヨタ 1600Gtを下して無敵を誇っていた、スカイラインGT-R(初代PGC10/KPGC10)です。

しかし、猛烈なロータリーパワーと、コンパクトで空気抵抗の小さいボディがモノをいうストレートではGT-Rを追い抜くものの、トレッド不足やレースに適しない足回りでコーナリングが苦手でGT-Rにまくられ、最終的に負ける「直線番長」を露呈。

後にカペラやサバンナで雪辱を果たすも、ファミリアロータリークーペ自体は「ロータリー普及を目指した量販大衆車」ゆえの苦い想いを強いられ、3代目以降のファミリアへロータリーエンジンが載る事はありませんでした。

しかし、小型軽量ボディにパワフルでチューンしやすいロータリーエンジンという組み合わせは人気があり、ドラッグレースが盛んな海外では4ローター、6ローターといったチューンドロータリーを積むR100が作られ、日本のメディアでも紹介されています。

最新「ファミリア」中古車情報
本日の在庫数 13台
平均価格 183万円
本体価格 50~750万円

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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