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ホンダ オデッセイ ハイブリッドの購入前に知っておきたい要素を解説
#ロングドライブ試乗レポート_vol.46
#現行モデルは7年目
目次
ホンダ・オデッセイを再確認
オデッセイはホンダの高級ミニバン、現行モデルは4代目で2013年11月1日から発売されています。歴代オデッセイの中では最も長いモデルスパンとなっており、そろそろモデルチェンジの頃になりますが、現段階では新型の情報はない状況です。現行モデル発売から丸6年が経過していますが、2019年通期の新車販売台数は14,614台、登録車(普通車)全体の中での販売台数順位は41位とモデル末期に突入した車にしては堅調な人気を維持しています。今回のロングドライブ試乗で、この人気の理由を再確認してみました。
オデッセイの試乗先で取材
ちょっと小ぶりなボディサイズ
オデッセイのライバルとなる国産高級ミニバンは、トヨタ・アルファード/ヴェルファイア、日産・エルグランド。この3車種のボディサイズを比較してみました。(ライバル車は一番小さい数値)
ご覧の通り、オデッセイの方が一回り小さいことが明白です。オデッセイに試乗中、たまたまアルファードとヴェルファイアに挟まれる位置に駐車したところ、少し離れてみるとボディサイズの数値以上に、一回りコンパクトな印象を受けました。特に、全高が約25cm違うところは顕著です。
最小回転半径は5.4m
オデッセイの最小回転半径はライバル車に比べて最も小さいですが、ボディの全長、全幅の大きさの違いに比較すると最小回転半径の違いの差が開いているのが特徴的です。最小回転半径が20cm変わると、体感的だけでなく実際の小回りの違いに大きな差が出ます。
オデッセイ | アルファード ベルファイア | エルグランド | |
最小回転半径 | 5.4m | 5.6~5.8m | 5.7m |
広い室内空間。3列目シートも広く格納方法はライバル車に勝利
ライバル車よりも一回り小さいといっても、国産車では大きい部類。ミニバンの3列目シートは2列目シートとの格差問題が起きやすいですが、オデッセイはしっかりと設計されています。
3列目シートの格納方法ライバル比較
オデッセイは床下にすっぽり収まってフラットでスッキリした3列目シート格納状態をつくることができます。ライバル車はこの点残念。アルファード/ベルファイアは跳ね上げ式で後方側面のウィンドウを塞ぐ格好となり、荷物をたくさん積むときには邪魔になります。エルグランドは、単純に背もたれが前に倒れるだけの方式で荷室がフラットになりません。
オデッセイ | アルファード ベルファイア | エルグランド | |
格納方法 | 床下格納 | 跳ね上げ | 背もたれ前倒し |
インパネ
2列目シート
「i-VTEC+i-MMD」ハイブリッドの走り
試乗車のオデッセイは、2.0L i-VTECにi-MMDのハイブリッドを組合わせたパワートレイン。i-VTECとは、給排気バルブが上下に動く量の可変、開閉タイミングの可変をエンジン回転数に応じて自動制御をするシステム名称。ホンダファンならご存知、かつてはスポーツモデルにしか搭載されていなかったホンダ独自の機構を備えています。アクセルを踏み込み回転を上げると、いい感じでエンジン音が高まります。ファミリーユースのミニバンといえども、加速時にアクセルを深く踏み込むと、スポーティーな走りを楽しめるのがオデッセイ。
i-MMDは、駆動用と発電用のモーターを分離した2モーターハイブリッドシステムのこと。駆動用モーターは、駆動軸と直結した構造でブレーキ時には回生して発電を行い、発電用モーターはエンジンと直結。エンジンとモーターの動力をミックスさせるための複雑な機構が不要でトランスミッションが介在しないシンプルなシステム。一方、トヨタのハイブリッドシステム「THS」は遊星歯車を用いてエンジンとモーターの動力をミックスし、発電と動力に振り分けています。走行フィーリングは、オデッセイの方が気持ちよく感じます。これは、パワートレインだけでなく、車重の軽さ、重心の低さも影響しているからでしょう。
オデッセイ | アルファード ベルファイア | エルグランド | |
エンジン | ハイブリッド | ハイブリッド | V6ガソリン |
最高出力 | 329ps | 363ps | 280ps |
最大トルク | 490ps | 615N・m | 344N・m |
車両重量 | 1,890kg | 2,090kg | 2,000kg |
パワーウェイトレシオ | 5.74ps/kg | 5.76ps/kg | 7.14ps/kg |
ハイブリッド高級ミニバンでは、オデッセイのライバルはアルファード/ヴェルファイアしかない。パワーウェイトレシオは互角だが、車高の低さ、車重の軽さはオデッセイが一枚上手。
良好な燃費
ホンダ・オデッセイのロングドライブ試乗での総走行距離は456km。このうち高速道路が約200km、残り半々が市街地と山岳路といった割合の走行(高速道路では渋滞約30分)でのトータル燃費は15.1km/Lでした。市街地は信号の多い都心部での走行も多いため燃費が悪くなりがちですが、高級ミニバンとしては優秀な燃費といえます。
ライバル車とカタログ数値で燃費を比較
オデッセイ ABSOLUTE EX・HondaSENSING | アルファード ベルファイア | エルグランド | |
エンジン | ハイブリッド | ハイブリッド | V6ガソリン |
WLTCモード燃費 | 20.0km/L | 14.8km/L | – |
JC08モード燃費 | 24.4km/L | 18.4km/L | 9.4km/L |
WLTCモード燃費と実燃費の剥離は概ね2割。ライバル車と比較してオデッセイの燃費の良さがわかります。
モデル末期でも新車で買って大きな問題なし
オデッセイの不変の人気の理由は、
- ボディサイズ
- 室内ユーティリティ
- 動力性能
- 燃費
の4点となるでしょう。もうひとつ、モデル末期でも人気の理由にあるのが、「Honda SENSING」。自動ブレーキ、ハンドル操作支援、全車速対応アクティブ・クルーズコントロールなど、安全と楽な運転サポートを提供してくれる先進技術がきちんと備わっています。モデル末期に多いのが安全装備、運転支援系の装備のプアー感。オデッセイはこの点の心配がありません。つまり、モデル末期でも新車で買って大きな問題なしといえます。
試乗車のスペック・価格
Honda ODYSSEY HYBRID ABSOLUTE・EX HondaSENSING
全長 | 4,840mm |
全幅 | 1,820mm |
全高 | 1,685mm |
ホイールベース | 2,900mm |
車両重量 | 1,890kg |
乗車定員 | 7名 |
エンジン | 直列4気筒DOHC i-VTEC+i-MMD |
排気量 | 1,993cc |
最高出力 | 107kW[145ps]/6200rpm |
最大トルク | 175N・m[17.8kgf・m]/5000-6000rpm |
モーター最高出力 | 135kW[184ps]/5,000-6,000rpm |
モーター最大トルク | 315kW[32.1kgf·m]/0-2,000rpm |
駆動方式 | FF(前輪駆動) |
トランスミッション | 電気式無段変速機 |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
燃費 | WLTCモード燃費:19.8km/L ∟市街地モード:19.1km/L ∟郊外モード:21.4km/L ∟高速道路モード:19.4km/L ※インターナビ装着車 |
新車車両価格 | 税込4,279,600円 |
撮影・文:MOBY編集部 宇野 智
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- 執筆者プロフィール
- 宇野 智
- モーター・エヴァンジェリスト/ライター/フォトグラファー/ビデオグラファー/エディター エヴァンジェリストとは「伝道者」のこと。クルマ好きでない人にもクルマ楽しさを伝えたい、がコンセプト。元MOBY編...