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報われなかった「挑戦車」たち~孤高の軽GT~ダイハツ ソニカ(2006年)【推し車】

「そんな需要はなかった」という悲劇で短命に終わる

長距離高速巡航には本当に最高のクルマなのだが…短距離用途が多い軽にはそういうユーザーがあまりいなかったようだ

実はこのソニカ、筆者には少々縁深いクルマでして、発売早々にダイハツ車専門のジムカーナ競技会「ダイハツチャレンジカップ」の東北大会に宮城ダイハツから試乗車が持ち込まれ、希望者は休み時間にコースで試乗できるというので真っ先に手を上げ一番乗り!

試乗車はRSリミテッドだったので、ウキウキしながらCVTをマニュアルモードへセットし、周囲からの「トップバッターでいきなり壊すなよ~?」という冷やかしを受けながらスタートします。

ロングストローク高効率エンジンながらKF-DETはブースト圧とともに心地よく吹け上がり、コーナリングもどっしり安定志向ながら接地感が強く、とにかく運転しやすいイメージで試乗を終えました。

それから数年後に遊びに行った先の友人がソニカ乗りで、一見ルーフが低くて狭そうな後席が広くてやけに快適なのに驚き、それから10年ほどたって愛車リーザからの乗り換えを検討した時、真っ先に後期型2009年式のソニカ RSリミテッドを選んだのは当然でしょう。

今でも取材の足として長距離ドライブには重宝していますが、実はこのソニカ、2009年式が最後…しかも2009年5月で販売を終えているため、3年弱の短命で終わりました。

もともとエッセともども、「新規格軽自動車第2世代のプラットフォームへ、第3世代用のパワートレーンを組み込んだ実験的なクルマ」なので短命は致し方ありませんが、販売台数もイマイチで人気がなかったのは、少々奇抜なフロントマスクだけが理由ではありません。

要するに「見た目が狭く感じて、走りは軽快よりドッシリ安定志向、荷物がロクに積めずリア開口部も上下に狭いため積み下ろしにも不便、安くて燃費のいい仕様がないターボ専用車」という、ソニカが軽GTであるための全てが、市場の要求と逆だったのです。

こうして「誰も求めていない軽GT」はひっそり短命で終わり、一応は軽自動車らしい実用性と経済性に優れた自然吸気エンジン車もラインナップし、2011年まで販売されたライバル(セルボ)とは対象的な結果になりました…どのみち、どちらも一代限りでしたが。

ただし今も「長距離高速巡航が快適な軽自動車がいい」というユーザーからの根強い人気と、後継車不在で買い替える車がない悩みが続いており、何を隠そう筆者もその一人でして…たぶんBEV(電気自動車)でイイのが出るまで乗る、最後の内燃機関車かもしれません。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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