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「アメリカ人がパジェロミニを作るとこうなる」小さくても実力は確かなハマーH3【推し車】

ハマー3兄弟の末っ子は「アメリカ版パジェロミニ」

若者向けピックアップトラックがベースとはいえ、悪路走破性はH2にも劣らない実力を誇るハマーH3

有名ブランドSUVの縮小版といえば日本では三菱のパジェロミニやデリカミニ、いずれも軽自動車で実現されていますが、アメリカ人も同じような考え方でハマーH1/H2の縮小版を作ってみた…というのが、ハマーH3です。

日本では小さくもないサイズとはいえ、アメリカでは学生向け小型ピックアップトラック、シボレー コロラドがベースなので、まさに「アメリカ版パジェロミニ」と言ってよいでしょう。

しかし、ハマーのカタチをしたがゆえの意外に良好な悪路走破性や、ハマーブランドの世界戦略車的位置づけという事もあり、アメ車らしからぬ実力も持っている、なかなかオトクなSUVでした。

最新「ハマーH1」中古車情報
本日の在庫数 8台
平均価格 1,547万円
支払総額 900~3,330万円

GMがいよいよ「ハマー」ブランドへ本腰を入れたモデル

過剰すぎるタフさのH1、豪華すぎるH2に対し、普及モデルとして小型で安価が魅力だったH3

軍用高機動車の「ハンヴィー」をベースに、メーカーのAMゼネラルが民生需要を狙ったのが元祖「ハマー」で、人気はあったものの過剰な軍用スペックで販売台数は今ひとつだったところ、有効活用を思いついたGMが「ハマー」ブランドを買い取ります。

GMの元でハマー改め「ハマーH1」となった民生用ハンヴィーとは別に、軍用イメージのゴツいデザインはそのままに、中身は市販SUVベースで快適性や実用性を高めたのが「ハマーH2」で、GMの目論見どおりにヒット作となりました。

ただ、「豪勢なワゴン型SUV」というだけではまだまだ高価ですし、アメリカ国外で売るにはH1とあまり変わらぬ寸法がデカすぎたのも確かだったので、あえてアメ車的な作りを捨てて、「世界中どこでも手頃に使えるハマー」として開発したのがH3でした。

ベースはGMグループ内に数多くの姉妹車を持ち、いすゞ D-MAX(初代)とも親戚関係にあるシボレー コロラドという小型ピックアップ。

ハマーらしい車体形状と、それゆえの高い悪路走破性に合わせてラダーフレームやサスペンションは強化、2.2tほどへ増加した重量に対してベース車同様の3.5~3.7リッター直5DOHCエンジンではやや力不足で、後に5.3リッターV8の「H3アルファ」が追加されました。

ただしV8のH3アルファはパワフルな代わりにかなり高額で、「H2を買う金銭的余裕はあるけど、大きすぎるからパワフルなH3があれば」というニッチ層向けだったようです。

2005年に発売されたH3は、GMの予想通りに「小型の廉価版ハマー」としてH2以上の販売台数を記録し、ハマーブランドの普及には大きく貢献しましたが、原油価格高騰に世界金融危機も追い打ちをかけ、2007~2008年にかけ販売台数は大幅に減少。

ダブルキャブ・ピックアップ版のH3T(2008年追加)もテコ入れにはならず、2009年に経営破綻して国有化、再建を図ったGMによって「ハマー」ブランド自体が整理されてしまい、2010年に生産を終えるという、意外な短命モデルとなってしまいました。

「ハマー」ブランドの高品質な世界戦略車

より現実的に世界へ売り込めるアメリカンSUVへ成長するチャンスだったが、GMの経営破綻でその機会が失われたのは残念だった

H3を日本車と比較すると、寸法が近くてセンターデフロックつきフルタイム4WDという駆動システムから、ランドクルーザープラドに匹敵する「ライトデューティーSUV」であり、同車をベースにしたFJ40ランクルリメイク版、FJクルーザーと似たポジションです。

アメリカ本国(H1/H2のようにAMゼネラルではなく、GMの工場で生産された)以外にも南アフリカで右ハンドル車が生産されており、本国ではパジェロミニ的な軽SUV、世界的にはプラドやFJクルーザー的なライトSUVとして展開する、世界戦略車でした。

そのため、サイズ以外に乗り味や内装のクオリティがイイ意味でアメ車的ではなく、日本やヨーロッパの同サイズSUVと同じ感覚で乗れて、満足度も高いSUVとなっています。

アメ車系のショップやメディアの評価でも、「どうしてもステータス性を求めてH1やH2が欲しいならともかく、性能や品質、使い勝手で満足したいならH3の方が上」と言われており、小さいからH2より格下…とは言い切れません。

さらに高額な自動車税を許容できるなら、V8エンジンのH3アルファは走行性能はもちろん、ブン回さなくとも走る分だけ燃費も優れており、高額車ゆえに走行距離が少なめの個体が多いので、中古車としてもオススメ、だそうです。

本来なら、「ハマー」ブランドを世界中にアピールする尖兵として2020年代まで販売していてもおかしくないクルマでしたが、GMの経営破綻で残念ながら夢で終わり、今やGMCブランド傘下のEV版「ハマー」へ、その名残を残すのみとなりました。

ステータス性では劣るものの、名を捨てて実を取るタイプのユーザーなら、ハマーH3は今でもよい買い物でしょう。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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